「愛劇」
第四話〜『この小説、いつまで続くん?』って
言わないで!お願い!!の巻〜
シュコー、シュコー・・・・・・
ピーッ、ピーッ・・・・・・
今、景子の耳に届くのはそんな定期的に繰り返される無機質な機械音。
今、景子の肌に感じられるのは静かで冷ややかな、どこか張りつめた空気と鼻を突く臭い。
アルコールだろうか?ツンと頭の奥に刺さるような感覚。
隆志は・・・静かに寝息を立てている。
真っ白なベッドに、いくつもの管を体から生やして。
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『あの日』の朝刊にはたった数行、こんな言葉が横たわっていた。
”昨日未明、会社員・田中隆志さん(23)の運転する軽自動車が誤ってガードレールに衝突・・・・”
そこまで読んで景子はすぐに自分の携帯を探し、
『電話帳』のいつもの名前を押した。
が、繋がらなかった。
事故で一緒に壊れたのか・・・・景子はその思いを断った。
「隆志が事故にあった」と考えたくなかった。
まだ心のどこかで「何かの間違い」だとか「同姓同名」とか
「印刷ミス」とか「じゃ、いますぐ新聞社に電話して『ここ、誤植ですよ』って抗議しなきゃ」とか
「これを機にマスコミがいかに間違った情報を流すか、人々を混乱させるかを説いて
全国を旅して同志を募り、やがては全国8000万人の『マスコミは信用できないの会』を
発足し、自分がもちろん会長になるだろう?と思ってたら生意気な会員のひとりが
『あなたには統率力がない』とか言いやがって自分が会長になろうとするので選挙しよう!
ってことになって、選挙の前にそいつを『消そう』と考えて世界一のスナイパー・ゴルビー13に
依頼して・・・・・」
・・・止めた。
バカらしくなったのもあるが、それ以上に徹夜の疲れがあって
それ以上続けられなかったのだ。
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とにかく。
なんやかんやで、今。景子は隆志の入院する『高島総合病院』にいる。
後で聞いた話だが、隆志は景子の家に向かう途中の事故だったらしい。
それを聞いて、景子は2度泣いた。
・・・・・隆志の寝顔は、可愛い。
ふいに、景子は思った。
そして、そのベッドに横たわる可愛い寝顔の隆志を見ていると、
いろんな点滴の刺さっている隆志を見ていると・・・・
ふっ、とイケナイ考えがよぎった。
『針、抜いてやろうか?』
・・・やはり、景子だった。
すっと景子の右手が点滴の方に伸び・・・・
止まった。
何とか良心の呵責に絶えかねたらしい・・・・と思ったら、やっぱり動いた。
景子のちょっぴりお茶目でデンジャーな悪戯心のまえには
もはや良心など無力なのだ。
あぁ、もう手前の点滴に手がかかる。。。。と、その時
「ガチャ」
ドアの擬音を言葉に出しながら病室に入ってきたのは
(自称)『白衣の聖母マリア』・杵倉
千代子(68)だった。ちなみに当医院の婦長である。
彼女のおかげで隆志の寿命は延びた。
景子はいつの間にか、右手を元の自分の膝の上に戻していた。
次回、「『電子炊飯ジャー』、略して『デンジャー』」!!!
おたのしみに!
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