'01/07/29 東京デージネーランドvol.3 @赤坂Electric Church LOVE

 

■ SET LIST ■

01

 金の星

02

 No more noise

03

 SUPER STAR (CARPENTERS)

04

 Dark path love

05

 Like a bird

06

 GEORGY PORGY (TOTO)

ピアノ弾き語りコーナー

 01-モツ 02-ミツタカ 03-テルボ 04-ダイチ

07

 宇宙

08

 Sympathy

09

 A WHITER SHADE OF PALE - 青い影 - (PROCOL HARUM)

10

 Shake ー愛の正体ー

11

 今日はなんだか (SUGAR BABE)

12

 アイタイ/キモチ

ENCORE

 のち晴れ

 Shake ー 愛の正体 ー


 記録的酷暑が続いた東京。しかし7月も終りに近づいたこの日、盛大に照りまくっていた太陽は一休みしているようで、ライヴ会場に向かう道程は涼しく快適だった。赤坂LOVEは昨年出来たばかりの、こじんまりした室内に上質な音楽が満ちあふれるごきげんなライヴ・ハウスである。 LOVEに辿り着くとすでにライヴ前の濃厚な熱気に(そして手始めにひっかけた1杯目に)誰もが酔っていた。ルナパークでのイベントはあったものの、きちんとした形のライヴでメンバー勢ぞろいするのは3月14日のワンマン以来である。いまや白い砂浜でぎらぎらした陽射しを浴びながら、青く澄み渡った海を目の前にしているようなものだ。走って行って早く飛び込みたい!思いきり波間にたゆたい、泳ぎたい!!

 

 海面に現れる人魚の誘い…もといステージに現れたるはthis ic、甘い歌声、甘いギターの『金の星』にてオーディエンスは音楽といふ海に身を投じけり。なぜか文語調。小粋なキーボード(ピアノ風)のイントロ… 自由に吹く風のようなイラミンの歌声。飾り気なくのびやかで、それでいて色っぽい。奏でるてるぼーギターはチェリーレッドのGibson ES335。柔らかく繊細なキーボードとギターはポロポロと気持ち良い旋律を紡ぎ出していくし、ドラムス&ベースは快活なJAZZのリズムをきざむ。this ic結成2周年、私がこのバンドと出会ったのは一昨年の9月であったが、あの頃にはこの『金の星』のイメージは無かった。ガンガンにはちきれそうだったあの頃に比べて、今はリラックスして大きくどこまでも広がって行く感じだ。

 MCをはさんでワウギターからの『No more noise』も今日は遅めなテンポで。ストラトが気持ち良く吠え出す。もちろんこの曲ではソロもたっぷりと聴かせてくれる。いつも以上にベースの音がクる。低く太く思いきり響いている。LOVEの音響の良さなのか?はたまた意図的にベースを大きく出すことにしたのか?私の気のせいか? ドラムスは軽く華やかなテイストで歌わせる。 すべての音をおとしてイラミンが語りかけるように歌う。そしてまたワイルドにフェイクする。

 と、ここでベースのクールなイントロから『SUPER STAR (CARPENTERS)』!全編ベースが印象的な曲で、音数少なにAORっぽい感じ?でアダルトに仕上げている。伊良皆ヴォーカルも妖しげな艶を帯びる。はりのあるその歌声がとことん気持良いのだ。ベースにキーボードがからむとそれがまた最高にいい雰囲気。ドラムスのソロで曲が終り、続く曲はまたもやスローで『Dark path love』。静寂の中に感じるドキドキしたときめき。鼓動を感じる。音の少ないシンプルなアレンジが、押さえた歌声が静かな情熱を雄弁に語る。

 MCでかなりラフな会話(笑)をはさんだ後、これでもかと『Like a bird』ブルースバージョンでスローに迫りまくる。this icの曲はどの曲も音がとても少なく余計なものをそぎ落とし尽くしているが、『Like a bird』は中でも非常に「らしい」1曲だ。時には押さえに押さえたベースとかすかなドラムスのみで、イラミンのシャイニング・ヴォイスを思いきり聴かせてくれる。てるぼーのギターは甘く澄んだ音できゅんきゅんくる。とどめはmozのヴォイスコーダー(でいいんだっけ?)を使ったコーラス。夕陽に赤く染まった空をなぜか連想する。

 肩の力の抜けたライヴだなぁとずっと思っていたところ、その通りのMCが。バンドのワンマンライヴというよりも、いかしたミュージシャンが丁度ここに集まったからひとつジャムセッションしようか!という雰囲気。ここでTOTOの名曲『GEORGY PORGY』 イラミンののど、絶好調です。思いきりドラマティックで甘いギターソロが泣きまくった。美しい!

 

 ステージにmozを残してメンバー退場。しっとりとキーボードが『戦場のメリークリスマス』を奏で始め、オーディエンスはしばしその美しさに聞惚れた、が、これが本ワンマンのお楽しみコーナー1番手だった。メロディに合わせて山手線の駅名を歌いあげるmoz。こういう人だったのね、mozさんて。新発見。 続いてみったかくんがてるぼーのギター(Godin)片手に片岡大志さんが19歳の時に書いた曲『煙草の灰が』を弾き語り。てるぼーはキーボードにてTHE BOOMの『中央線』(宮沢和史作曲)を弾き歌う。(てるぼーは矢野顕子さんファンとちょっと聞いたことがある。もしかしたらアルバム「スーパーフォークソング」で矢野さんがこの曲をカバーしていたのを意識したのかも?)てるぼーのやさしい声とやさしいキーボードがムードたっぷりにマッチしていてステキ♪ そしてこのコーナーのオチとして紹介されたダイチくん。『Just the two of us』(Grover Washington Jr.)がとっても声に似合っていて、オチどころかかっこいいトリだった。

 

 リズミカルなギターのカッティングで『宇宙』から後半スタート。個人的に私はこの曲の歌詞が最高のお気に入りなのだ。とても力強いヴォーカルの一語一句が空気を震わせる。じっくり歌い聴かせた後は各ソロがたっぷり楽しませてくれる。キーボードやベースのクールなソロと、ドラムスのホットなソロが一体となって小宇宙が構成される。ギターを鳴らしながらフレーズを自らも口ずさみ歌うてるぼー。縦横無尽。自由自在。イラミンがフェイクして加わりグルーヴ感溢れるスーパーセッションという感じに盛り上がる。続く『Sympathy』で歌声がさらにワイルドに広がる。シャープに刻まれる速いリズムにのる歌の翼よ、気持よくどこまでも〜…!!

 この日強烈な印象を残したのが、カヴァー曲なのだが『A WHITER SHADE OF PALE - 青い影 - (PROCOL HARUM)』ではないか。静かなオルガン音、マイクを遠く(ウェストのあたりまで)離して歌うイラミン。生に近い声が、いつもより身近な魂を感じさせる。サビ部からマイクを戻しガーンと盛り上げると、足下からざざっと感動が(鳥肌が)頭まで駆け登った。真っ正面から歌いに歌う曲である。イラミンの美声・歌の魂が、思いきり泣かせたギターが胸に鋭く突き刺さる。this icのオリジナル曲ではありえないド派手な爽快感が新鮮。マイクにもいつもよりリバーブかけたりして、とにかく華麗! 時々こういうの、やってほしいです。

 『Shake ー愛の正体ー』もスロー目に迫り来る。ファンキーでソウルフルに光るイラミンの歌声。セクシーヴォイスだねぇ。この曲を1回演るごとに色気…というよりいやらしさ(?)を増すてるぼーのギター。今日は全曲に渡ってそうなのだが特に音数が少なめに、同じ音や簡単なリフだけでぐぐぐーーーっとひっぱたり、1音のチョーキングでとどめを刺したりという弾き方が目立っている。それが強烈にかっこよく色っぽく…!!!たまらないです。(笑)mozのキーボードがその後を続けて初めはクールに、そして徐々にがーっと興奮の盛り上がりへと導いて、「シェイクシェイク」のオーディエンスとのかけあいに。さらにラスト、テンポがあがって場内は大いにシェイクされてしまう。

 もう1曲カヴァーをと言って始まったのが『今日はなんだか (SUGAR BABE)』とは。this icと山下達郎。今日の選曲の中ではちょっと意外。おぉ!ES335にワウワウ言わせるとこうなるのね!というギターのイントロ。今日はなんだか…てるぼーのギターが始終キレイな音だな。その音が紡ぎだすニュアンスをあえて言葉に説明しようとするなら(来られなかった人達のためにね)「シンプルで澄み渡っていて少しだけガンコ(?????)」。なんか違う? じゃあ「甘く透き通ったきれいな音の中にきらりと光る渋さ」こっちの方がいいね。

 そして遂に『アイタイ/キモチ』となってしまった。お決まりのラストソングだが、あくまでも自然体で大袈裟になることのないやさしい曲である。しかしオーディエンスも合唱する「ラララ〜」もあり、ライヴのたび違った味となる。その日のライヴを映す鏡みたいな1曲である。今日は軽快なムードで盛り上がり、ワンマンライヴ本編終了。しかし拍手が鳴り止むはずがない。

 

 アンコール。まずはイラミン、そしててるぼーがステージに戻り、アコースティックギター1本で『のち晴れ』。パーカッションを思わせるてるぼーのカッティングでイントロが始まるとオーディエンスの熱狂は爆発。アコギ一本で最高にノレて踊れるラテンな魅力。素晴らしい!それに何が変わったのかわからないが、新曲として聴いた頃よりも大人の曲になってきたような気がする。歌い方、のような気もする。歌う心、なのかもしれない。

 最後は『Shake ー愛の正体ー』でとことんシェイクとなる。ワンマンのラストとなればそりゃ必然。会場はファンキーなディスコと化す。イラミン・ヴォイスはじけ炸裂。しぶく決めるギターソロとそれに軽く合わせからむキーボード、ベース・ドラムスの一体感、気持ち良さにしびれる脳髄が麻痺しながらもこう考える。「なんてうまい人たちなんだろう。」何を今更。this icに何もかもが一体化して、とにかく一瞬をいとおしむようにシェイクし続けた。曲の終りに、MCでは照れ屋さんなイラミンが叫んだ「愛してるよー!」がとってもかっこよく響いたのをオーディエンスはしっかと胸にキャッチして、誰もが幸せいっぱい帰路に着いたのだった。

 

 と、ライヴを最後までレポとして書き起こしてみて思ったこと・・・なんてどでかいライヴだったんだろう。書いても書いても終わらない。ライヴの最中には一瞬にして永遠・永遠にして一瞬と言おうか、とにかくまっただ中で何も考えていなかったんだけどね。今回カヴァー曲が多かったが、有名な名曲をthis icならどうやるのかという所で、ある意味ではオリジナルをやる以上にthis icの個性がわかりやすいライヴとなったとも言える。以下はあくまでも私個人の意見なので見当外れかもしれないけれど、広い心で読んでやって下さい。

 その個性とは?今日の印象は一言で言うと"グルーヴ感あふれるフュージョン"かな。前半は特に70年代テイストを感じるクロスオーバー…AOR、ソウル、ファンク、JAZZ…と様々な味が交錯してthis icという1つの音楽となっていた。普段は時々顔を出すROCK色は今日は全くなりをひそめていた。これは知念ギターがそうだった、ということでもあるんですよね。いつもははしばしに見え隠れするROCK味が本日1度も感じられず。(まぁ、大きい意味で言えばROCKも含まれるという部分はあるんですが)そうは言ってもこのギタリスト、今日そうだったからと言って次回もそうとは限らない。十中八九別な顔して出てきますからね。そこがかっこいい、と言えるのもその根底に「てるぼーギター」という世界・音をきっちり持っているからであります。とにかく目が離せないギターを弾く人です。1度だってライヴを見逃したら大後悔。

 またレポ前半にも書いたことですがみったかベースの音がいつも以上に前に出ていたのが印象的でした。体調不良とは思えぬそのノリ!大地くんのホットで軽快なドラムスと共に一層絶妙なリズム感を出していました。そこに moz: cool&sweet !!この人のキーボードにはいつも言葉を失います。微妙、繊細、これでもかと言うほどかっこいい。ぴったりの呼吸で最高のセッション、それがthis icのライヴであり、今日のライヴは特にそれが強く出ていたように思えます。

 そしてヴォーカル伊良皆誠。どんどん皮を脱ぎ捨てて大きくなっていく歌声だ。次回ワンマンまでほぼ1ヶ月。「まだ次のことなんて何も考えていないよ」と笑って言うかも知れないが、"this icの明日"という形での"次"は彼等の中にあるだろう。さぁ、どうなってしまうのか?今(8月9日)の時点で次回ワンマン(9月1日)まで3週間とちょっと!

 

☆ 最後に…私のうといジャンルについて色々教えてくれた美緒ちゃん、MMちゃん、ヒロベ〜、その他レポ書きにあたって協力してくれた皆様、FU〜ちゃん、Thank you !!

 


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