密着ドキュメント デンパサル国際空港 深夜0時
直撃! 出国審査官
---入国カードの紛失にご注意。バリでは入国時の申告カード
がホチキスでとめられていません。このため旅行中に紛失し、
帰国時にカウンターで係官にいじいじ苛められている風景を
良く見かけます。結局はお金で解決するしかないのですが、
嫌な思いをしないためにもカードは管理に充分ご注意。
--- 某HPより無断転載 ---
現地時間夜12:00
航空会社の受け付けを済ませ、出国手続きへと向かう。
深夜にもかかわらず、オーストラリア人、日本人でごった返
す構内。出国審査受け付けの行列に並ぶ。
オーストラリア人の女の子2人組が審査官と揉めている様子。
2人組は怒りの形相で引き返す。
自分の順番。若い審査官。
「パスポートを」
「はい」
「イミグレーションカード(出国証)」
「は?」
「イミグレーションカード」
「何ですかそれは」
「無い?」
「持ってません」
「イミグレーションカードが無いならだめだね」
「どういうこと?」
「飛行機には乗れないね」
「!」
「明日出直して」
「いやー、それは・・・(日本語)」
「カードを無くしたんでしょ」
「ええ」
「もう一度言うと、イミグレーションカードが無いなら出国
できません。英語わかる?」
「あ、ちょっとだけ。でも、この便に乗らなければならない
んです。どうすれば・・・」
「出来ないね」
「あー、あー、あー・・・(言葉にならない)」
「・・・(インドネシア語)」
「あ、お金? (ポケットから財布を出す)」
「こらこらこらこら。隣の窓口に行って! 隣!」
隣の窓口に割り込む。40歳ぐらいの係官。神経質そう。
「あのー、イミグレーションカード無くしたんですが」
「飛行機には乗れないね」(以後ずっと目を合わせない)
「どうすれば・・・」
「明日出直してきなさい」
「この便に乗らなきゃならないんです」
「無くしたんでしょ? 今日のフライトは無理だよ」
「あのー・・・(言葉にならない)」
「ふぅーっ(ため息)」
「どうしたら・・・」
「まぁ、これだね」(何かのゼスチャーをする)
「え? 何ですか」
「君、ホントに英語わかる?」
「あ、ちょっとだけ」
「これだよ」(机にマジックで「¥」マークを書く)
「ど、ど、どれくらいですか?」
「2千」
「あ、はいはい」
財布を取り出すが、 日本円は1万円札が2枚。10ドル札 1枚。
1ドル札3枚。5,000ルピア札2枚。当然「お釣りを下さい」と
いうのは通じないと判断、同行の友人にに千円札と1ドル札を4
枚借りる。
(「かなり取り乱した様子で、ひったくるようにお金を持って
行った」神宮貢氏談)
「あの、これで・・・」(1,000円札+1$札×7枚)
「こらこら、見せちゃだめ・・・うひゃーっ、こんなに!」
わざとらしく驚いた様子でお金を手早く自分のバッグにしまう。
「え? 多いの? あ、あ、あ・・・(日本語)」
審査官、今までのつっけんどんな態度を一変。急にかしこまる。
「ここに白紙のカードがある。いいね?」
「はい」
「少し待ちなさい。今から私がカードを作るから。」
「・・・」
「いやぁー、君、私と出会えて良かったよ。私がカードを作る。
君は無事出国できる。カンペキだよ」
「・・・」
「はい、出来た。いやー良かった。君、飛行機に乗れるよ」
「・・・サ、サ、サンキュー・・・」
「私のおかげだ。君の安全は私が保証する」
「・・・」
「君の安全を祈っているよ。いやぁ、本当に良かった」
握手を求められ、初めて彼と目が合う。口は笑っているが目は
笑っていない。
「さぁ、行きなさい。さようなら。良い旅を」
「・・・」
(「周りにいたオーストラリア人達は全員非難の目で見ていた
よ。係官の方じゃないよ。みんな刺すような目つきだったよ。
怖かったなー」神宮貢氏談)
一時間半後、ガルーダ便に乗り込む。同行者たちとは離れた窓
際の座席。午前 1:40 離陸。窓の向こうにライトアップされた
大きな寺院が見える。祭りのためだろうか、見事なオレンジ色
に輝く寺院からのびる一本の道が地平線まで続く。飛行機は急
上昇を続け雲をぬけた。楽しかった日々、仲良くなった人たち
の顔を思い出す。「宿のみんなはもう寝たよなぁ」ため息をつ
いてうつむくと、ズボンのチャックは全開だった。 (了)
慈悲の心