邪恋

 

SIDE・KOJI

 

久しぶりの長期オフ。

KOJIの恋人であるLEVINは実家へ帰っていた。

KOJIは曲作りをする予定だったのだが、そんな気も起きず、ただボーっとしていた。

無意味な時間だけが、一秒一秒確実にKOJIの部屋に流れていた。

平日の昼間といえば、TVをつけてもワイドショーばかりで面白くもなんともない。

昼食用に買っておいたコンビニのおにぎりを食べながら、KOJIはふと思い出した。

TAKAが旅行でN.Y.に行っていることを。

つまり、HIROは今、一人で家に居るということを。

 

KOJIには恋人であるLEVINがいる。

しかし、もう一人の恋人がいる。

それがHIROだった

しかし、HIROにもTAKAという恋人がいる。

ハッキリ言ってしまうと、KOJIとHIROは「浮気」や、「不倫」といわれているような関係だったのだ。

バンド内で複雑に絡まりあった、このKOJIとHIROの関係は当人達以外、誰も知らなかった。

決して表沙汰になることなく、密かに愛し合っていたのだった。

 

LEVINは明日まで実家に、TAKAはしばらくN.Y.にいる。

この絶好のチャンスをKOJIが逃すわけがなく、急いでHIROの携帯に電話をかけた。

 

 

SIDE・HIRO

 

起きたばかりで、まだパジャマ姿のHIROは、洗面台に立って顔を洗っていた。

TAKAがいないので、朝食を作る必要がそれほどなく、昼過ぎまで寝ていたのだった。

今から何をしようか…そんなコトを考えていたとき、HIROの携帯が鳴った。

HIROは出るのが面倒だったので、無視しようと思ったのだが、電話の液晶画面に映し出された名前を見て、急いで電話に出た。

「もしもしっ。KOJI!?」

HIROの声は、好きな人と話をしている小学生のように、誰が聞いても分る程に喜びが溢れていた。

KOJIはくすっと笑って、

「HIROさん?今、そっちに向かっとんねん。…TAKA、おらんやろ?」

「ん…旅行行っとる…」

「今、コンビニの近くやから…あと5分くらいで着くわ。」

「わかった…」

「じゃ」

KOJIが電話を切っても、しばらくHIROは携帯を握り締めたままで、固まっていた。

 

KOJIが家に来る…TAKAが居ない間に…

ええ…よなぁ…

TAKA…急に帰って来たりせんよな…

あ、そういえば、今日はLEVINもいないんやったっけ…

そうか…じゃあ大丈夫…やな…

大丈夫やなかったら、KOJIが来てくれるわけがないよな…

 

HIROは、自分がパジャマ姿なのに気がつき、慌てて近くにあった服に着替えた。

ちょうどHIROが上着を着終わった時、玄関のチャイムが鳴った。

HIROは走って玄関に行き、急いで鍵を開けた。

ドアの向こうには、KOJIの姿があった。

「いらっしゃい…」

HIROは照れくさそうに言った。

「お邪魔します…」

ドアを閉め、KOJIは靴を脱ぎ、中に入った。

HIROは突然KOJIに抱きつき、KOJIの胸に顔を埋めながら言った。

「KOJIぃ…ずっと逢いたかってん」

「HIROさん…俺も…HIROさんに逢いたかった。だから、逢いにきたんやけど…迷惑やないみたいで嬉しいわ…」

KOJIはぎゅうっとHIROを抱きしめ、優しく頬にキスをした。

「ん…ちらかってるけど…入ってや」

HIROはゆっくりとKOJIから離れて、リビングへと案内した。

「HIROさん。玄関の鍵…ちゃんと閉めときや?」

KOJIが笑顔で言った。

「?うん、あぁそうやな…」

HIROは玄関の鍵を閉めに行った。

 

 

SIDE・KOJI

 

「やっぱ綺麗やなぁ…」

KOJIはソファに腰掛けて、台所に立ってコーヒーを入れているHIROを見ながら呟いた。

「ん?何?」

両手にカップを持ってHIROが歩いてくる。

「いや、なんでもないねん。さんきゅ」

自分に向かって向けられたカップを持っている白く細い手に、自分の手がわざと触れるようにして、KOJIはコーヒーを受け取った。

案の定、HIROはドキッとしたようだった。

HIROの顔が微かに、ピンク色に染まった。

 

何気なく自分の隣に腰掛けてきたHIROは、自分よりも小さくて、細くて、綺麗で…。

そこら辺の女性より断然、魅力的だった。

そらはLEVINの魅力とも違う、言葉にするとしたら、完成された美しさとでも言うのだろうか…とにかくHIROにはそれがあった。

そんなHIROが、たまらなく愛しかった。

すぐにでも、押し倒して、自分の腕で抱きしめたかった。

 

普通の会話がしばらく続いた。

「なぁ、HIROさん…」

コーヒーをガラステーブルの上に置き、KOJIが言った。

いつになく真剣なKOJIの顔に気づいたHIROは、不思議そうに返事を返した。

「なに?どうかしたん?」

「俺、HIROさんが大好きや。でも、こんな形でしか逢われへんやん?これからも、ずっと、こんなんやねん。せやから、今は、俺にHIROさんを一人占めさせてくれん?」

 

実際、HIROが幸せそうな顔をしているのを見ているだけでも良いのだが、それはそれで、TAKAに対して嫉妬で狂いそうになることも在る。

自分もLEVINと楽しくやっているから、心の中に留めておいたのだが。

 

HIROも手にしていたコーヒーカップをテーブルに置き、KOJIの方を向き、笑顔で言った。

「別にええけど…その代わり、俺にもKOJIを一人占めさせてな?」

KOJIはHIROを抱き寄せて、HIROの耳元で囁いた。

「当たり前やん。それより…な?」

そしてHIROをゆっくり押し倒した。

 

 

SIDE・HIRO

 

「…こおじぃ…」

「HIRO…綺麗やで…」

HIROは照れて顔を反らした。

自分でも顔や耳が赤く、熱くなっていくのが分った。

「恥ずかしいやんかぁ…」

「そんな照れんといて…」

HIROの顎を持ち、KOJIは自分の方へ向かせ、軽く唇を触れさせた。

「これから、もっと恥ずかしいコトするのになぁ」

イタズラっぽくKOJIが言う。

KOJIの言葉の一つ一つに反応してしまう。

早くKOJIに抱かれたくてしかたなかった。

そんなHIROに気づいてか、KOJIはHIROに言った。

「HIRO、服脱いで。早く…」

「えっ?脱がせてくれんの?」

「何を甘えたこと言っとんねん。俺は自分のんで精一杯や。ほら、早く…」

KOJIは自分の服を脱ぎ始めた。

HIROも仕方なく、自分の服を脱いでいった。

既に全裸になったKOJIは、脱いでいる途中のHIROに手招きをし、こっちに来るように言った。

「何?」

HIROは内心、KOJIに何をされるか期待でイッパイだった。

KOJIはどこからともなく、ネクタイを取り出し、HIROの目を覆い、頭の後ろの方できつく結んだ。

「恥ずかしかったんやろ?見えなくしたんやから、もう大丈夫やな?」

HIROは本能的に目隠しを外そうとして、手を上に上げたが、KOJIに掴まれてしまった。

「あっ…」

「大丈夫やて。恐く…ないから。…な?」

KOJIは脱ぎかけのHIROの下着を脱がせて、HIROをベッドに寝かせた。

昼間で、外は明るいはずなのに、何も見えないという恐怖感がHIROを襲う。

「あっ…やぁ…」

「何がイヤなん?嬉しいくせに…」

KOJIはHIROの足の間に、自分の足を無理やり割り入れ、膝でHIROのモノをぐっと押した。

KOJIに、自分の一番敏感なところに触れられたソレはもう硬く大きくなりはじめていた。

「HIRO…まだ早いって。そんなんやったら、身体が持たんで?…今日はずっと俺のモノになるんやから…ずっと…」

KOJIはHIROに覆い被さり、HIROの顔をそっと撫でる。

「ほんまに綺麗や…」

KOJIは、HIROの唇をその長い指でなぞる。

「キス…してもええ?」

HIROはKOJIをじっと見つめていた。

そして、ゆっくりと頷いた。

そのHIROの仕草をOKの合図とみたKOJIは、HIROの髪の毛を上げ、ゆっくりと自分の唇をHIROの唇に重ねた。

「ん…KOJIっ…」

KOJIは舌でHIROの唇をなぞった。

そして、HIROの口内に舌を入れていった。

「んっ…ぅ…っはぁ…」

HIROの口からは、甘い吐息と唾液が溢れてくる。

そして、KOJIのものか、HIROのものか区別がつかない程に混ざり合った唾液が、HIROの頬を伝ってシーツの上に流れ落ちる。

「HIRO…最高にイヤらしいで、綺麗や…」

「うっっ…やぁ…んんっ…」

 

 

SIDE・KOJI

 

目隠しをされ、ベッドの上を全裸で喘ぐHIROは、とても妖艶だった。

「…ホンマに綺麗やで?HIROの姿をビデオに撮って、世界中の人に見せてあげたいくらい」

KOJIは溢れた唾液を舌で絡め取りながら、だんだんと舌をHIROの首筋に移動させる。

HIROの長い髪の毛を指に絡ませながら、ゆっくりと首筋を舐める。

喉仏の回りも、ゆっくり優しく舐めまわす。

「ぁ…ん…あぁ…くすぐったいっ…」

ビクッと身体を跳ねさせ、感じてくれるHIROをもっとイヤらしく、淫らにしたい…そう思うと愛撫も自然と丁寧になってくる。

「HIRO…」

HIROの鎖骨を舐め、細い身体を両手で撫で廻しながら言う。

「あっ…ぁ…っ…こぉじ…」

KOJIの手が、HIROの胸にあるピンク色の突起物を撫でる度、身体を跳ね上げ、くねらせて感じている。

「そんなに感じてくれんの?嬉しい…」

KOJIの唇が、HIROの乳首を捕らえ、容赦なく舐め、吸い上げる。

「じゃあ、今夜はキ●ガイになるほど…愛してあげる…。明日、HIROが立てなくなるくらいに…」

KOJIは起きあがり、カーテンを閉め部屋を暗くすると、HIROの目からネクタイを外した。

 

 

絡み合う二つの躯

空いた時間の隙間を埋め尽くす程

深く深く愛し合う

狂おしいくらいの愛情で

愛する貴方を包み込む

オレンジ色の満月だけが

二人の全てを見つめている

絡み合う二つの躯…

 

 

翌朝、KOJIはHIROのベッドの中で目を覚ました。

自分の左腕の中で眠っていたはずのHIROの姿は既に消えていて、KOJIはとりあえずベッドから出て服を着た。

「あ、おはよぉー」

リビングへ行くと、エプロン姿のHIROが朝食を作っている最中だった。

寝起きの悪いKOJIは、「おはよ。」と返事だけしておいて、まだ覚めきってない目を擦りつつ、顔を洗いに洗面所へ行った。

 

いつもと違う朝の迎え方に、少しだけ顔が緩んでしまっている自分の顔が鏡に映し出される。

そんな気持ちをHIROに悟られないように、頬をパシっと叩き自分自身に喝を入れリビングに戻ると、HIROの手作りの朝食が湯気を上げて並んでいた。

「KOJIは和食のが好きやろ?こんなんしか作れんけど、まぁ食べて?」

KOJIを椅子に座らせ、熱いお茶を入れながらHIROが言った。

「うん。いただきます…」

KOJIは味噌汁を一口飲んだ。

「どぉ?美味しい?」

「ん…まあまあやな。」

にっこりと笑顔でKOJIが答えた。

 

KOJIの心の中では、TAKAを羨ましいと思う気持ちでイッパイだった。

毎日、こんなにHIROの愛情の詰まった手料理を食べることができて羨ましいという…

しかしKOJIは、あえて口には出さなかった。

 

 

SIDE・HIRO

 

「まあまあ」なんてことを言っておきながら、おかわりまでしてくれたので、嬉しかった。

TAKAと違って素直ではないのだけれど、そこがKOJIの可愛いところでもあった。

KOJIをに“可愛い”と言ってしまうと、怒って拗ねてしまうだろうから、言わなかったけど。

 

「KOJIぃ…今日はこれから、どうするん?」

ソファに深く腰掛け煙草を吸っているKOJIに、食器を洗い終わったばかりで、今から休憩しようとし

ているHIROがエプロンを脱ぎながら尋ねた。

「ん?あぁ、もうこんな時間か。今日は家で曲作ろうと思っててん。LEVINも帰って来るし…」

「あぁー。俺も曲作らな間に合わんわぁ…で、曲のほうは進んどるん?」

HIROはKOJIの横に座った。

「それが、俺も間に合いそうにないねん…まだ全然やってへん。煮詰まってたから。でもな、今ならええ曲ができそうや…これもHIROさんのおかげやなぁ」

無邪気なKOJIの笑顔が愛しくて、HIROは耐えきれずKOJIに抱きついた。

「HIROさん…」

KOJIは、自分の唇を、優しくHIROの唇と重ね合わせた。

HIROは、ゆっくりとKOJIの身体から離れると、俯いたまま言った。

「もう…KOJI帰らなあかんよ…?」

「あぁ…」

KOJIはゆっくりと立ち上がり、玄関へと向かった。

HIROも、その大きな背中を追いかけるように立ち上がり、玄関へ向かう。

KOJIは靴を履き、HIROに言った。

「じゃ、また…」

「あぁ…気ぃつけや」

バタンッと音を立てて閉まったドアの方を、振りかえることなくHIROはリビングへと戻った。

テーブルの上には、さっきまでKOJIが吸っていた煙草の吸殻と灰が入った灰皿が、ポツンと置かれていた。

HIROは灰皿を片付けると、自分の部屋へと入って、曲作りを始めた。

 

ギターを手にして、曲を作りながら美しいメロディーと共にふと頭に浮かんだのは、愛する二人の…TAKAとKOJIの顔だった。

 

 

SIDE・KOJI

 

HIROの部屋を出て車を止めてある所に行く途中、HIROの部屋を見上げてみたが、HIROの姿はなかった。

そこに、HIROの姿を少しだけ期待していた自分が、何故かとても恥かしかった。

帰り道、渋滞の流れに身を委ねてゆっくりと国道を走っていると、携帯が鳴った。

発信者はLEVINだった。

「はい、もしもし?」

「…あ、KOJI?俺やけど…」

「おぉ。何?どないしたん?」

「悪いんやけど、東京駅まで迎えに来てくれん?」

「あ?今からか?」

「いや、えぇっと…二時過ぎには着くと思うんやけど…来れそう?」

「あぁ、わかった。二時やな」

「うん。じゃあ着いたらまた電話するわ。じゃ。」

KOJIは電話を切り、車を東京駅へと走らせた。

 

愛しいLEVINを迎えに。

愛しいHIROへの気持ちを抱えたままで…

 

 

SIDE・××××

 

「離れたくない…」

「もう少しだけ一緒にいたい…」

「もっと抱き合っていたい…」

「もっとキスしていたい…」

「俺の…俺だけのモノになって欲しい…」

 

愛しすぎる故、口にしてはいけない言葉

愛しすぎる故、口にできない言葉

 

心の中で留めている

「独占欲」という名の貴方への愛

 

あまりに純粋で壊れやすくみえる

決して崩れることのない貴方への愛

 

世間では邪道と言われているこの愛

「世間なんて関係ナイ」

そんな甘い考えなど通じない

「浮気」は「浮気」でしかなく

「不倫」は「不倫」でしかない

 

この愛が「邪」である限り

苦しいくらいに貴方を愛している限り

貴方への本当の気持ちは言えないままで……

 

Fin

 

 

 

*****作者のコメント*****

長編(?)のKOJI×HIROです。とある方への贈り物として、書かせていただいた物です。

この設定には色々リクエストがあったんですよ。ちょっと言えないですけどね〜♪(笑)幸せにな

れない二人の切なさを感じて下さい…

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