浅葱

 

 

1999年11月17日

 

「アイジ、いい加減止めとけ」

キリトの手が、ビールの入ったグラスを口に運ぼうとしていたアイジの腕を捕らえる。

「お前、ほんっと飲み過ぎ・・・」

「あぁ・・・まぁ、別に誕生日ぐらい・・・」

アイジが全てを言い終わらないうちに、キリトが言った。

「ちょっと来い」

アイジから奪い取ったグラスを、勢いよくテーブルの上に置く。

メンバーとスタッフ達は、既にでき上がっているようだった。

キリトは、ぐいっとアイジを腕を引っ張ると、何も言わずアイジを連れ部屋を出た。

 

 

さすがに11月にもなると、夜の風が冷たい。

「寒いっ・・・帰ろうよ?」

アイジが身体を震わせながら、キリトに訴える。

「あぁー?少しは酔いが醒めたのか?」

ついさっきまで、薄いピンク色に染まっていたアイジの頬。

今は・・・落ちついて白くなっているようだった。

キリトは、自分の上着をそっとアイジに掛けた。

 

5分程歩いて、近くの公園に入っていった。

黙ってベンチに腰掛けるキリト。

アイジも黙ってキリトの横に腰掛けた。

暗く澄みきった空には、細い月と、無数の星が輝いていた。

二人の間を、沈黙が走る・・・

 

ようやくキリトが、重い口を開いた。

「アイジ・・・誕生日おめでとう」

アイジは「えっ?」といった表情をしてキリトを見つめる。

「だからっ、おめでとうって言ってるだろ?」

少し照れたように、キリトが言った。

「あ・・・ありがと」

アイジも照れているのか、俯きながら答える。

「よしっ。じゃ、これプレゼント・・・」

キリトは小さな箱を、ズボンのポケットから取り出し、アイジの顔の前に差し出した。

「くれるの?・・・ありがとぉ・・・開けてもいい?」

「あぁ・・・」

綺麗にラッピングされた箱を、丁寧に開けていく。

 

箱の中から出てきたのは、少々ゴツめのシルバーリング。

「キリト・・・これ・・・」

「ん?気に入ったか?高かったんだからなぁ・・・」

アイジは、リングをじぃっと見ている。

「貸せよ。つけてやるよ」

アイジの手から、箱ごとリングを奪い取ると、アイジの右手の薬指にはめた。

「おぉ・・・ピッタリ」

キリトは満足そうに言う。

アイジは不満そうに言った。

「普通はさ、左手じゃない?」

「婚約指輪か?」

少しおどけた表情でキリトが言う。

「好きな人からの指輪って、左手の薬指につけたくない?」

右手に輝くリングを見つめながら、アイジが言った。

「んぁ?関係ねぇーだろ、そんな事は・・・」

キリトの冷えきった唇が、アイジの冷たい唇に重ねられた。

 

コイツは全然わかってない

俺はアイジにそれをしてて欲しい

肌身離さず

だから右手につけた

左手につけたらギターが弾きにくい

と、いう事は、ギター弾くときに外さなきゃいけない

やっぱり右手で良いな

 

キリトは、心の奥で呟いた。

 

Fin...

 

*****作者のコメント*****

はっぴぃばぁすでぃアイジ君記念に書いた、キリト×アイジです。弦楽器を弾く方ならわかる、左手のアクセサリーの邪魔さ(笑)

それと、キリトのアイジに対する優しさを…結局甘×2路線に突っ走ってしまいました。

 

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