紫宙

 

 

 

地球の終焉のトキが近づいている。

先代の記録によると、この世紀末、全てが終わりを迎えるという。

それが、今まさに現実になろうとしていた。

 

街は原型を留めない程に崩壊し、至る所に死体が転がっている。

人々は互いに傷つけあい、殺し合う。

 

キリトは一人、街をさ迷い歩いていた。

道とは言えないような道を抜けて、ただアイジの待つ場所へ急いだ。

 

悲鳴の雨を抜けて会いに来たよ

不自然な微笑みを投げかけて

恐怖に麻痺したボクの精神を

そう、優しく癒せるのはいつだって君だけなんだから

 

廃墟と化した、ビルの非常階段を上る。

「アイジーっ!!」

喉が潰れるほどに、何度も何度も叫んだ名前。

 

アイジはビルの屋上の隅に、身を潜めていた。

誰にも見つからないように。

キリトダケは必ず、自分を見つけ出してくれると信じて。

 

「アイジっ!」

アイジの姿を視界に捕らえたキリトは、そう叫び、アイジの側へ駆け寄った。

カタカタと身を震わせていたアイジも、声を聞き、キリトの方を向く。

瞳にキリトの姿を映したと同時に、溢れ出た涙。

キリトはアイジの元まで辿りつくと、力いっぱいアイジの身体を抱きしめた。

 

小さな身体をそっと抱き寄せて

不自然な微笑みを返すのさ

どれだけ不安な夜を乗り越え

この時を君が待っていたのかが解るから

 

もうずいぶん前に、太陽は地平線の遥か彼方へ姿を隠していた。

それなのに、空は赤く染まっている。

あちこちで起きた爆発や地震により引き起こされた火事は、勢いを衰えさせることはなかった。

灰色の煙りと、真っ赤に燃える火・・・全ての色が夜の闇へと溶けていく。

そして、濃い紫色に変化し、空全体を覆っていた。

 

空を見てみなよ信じられない色に染まってるだろ?

あの日僕がいった言葉の意味にもうすぐ君も気付くよ

 

「アイジ・・・無事で良かった・・・」

「キリトぉ・・・っ・・・」

互いの存在を確かめる様に、何度もキツク抱きなおす。

乾燥した唇を、何度も何度も重ね合わせる。

 

どこまでも広がる可能性だけをイメージして

少しだけでいいからそこにあるラインを踏みだして

世界が壊れていくことなんて君は恐れないで

何もかも新しい景色はもうそこまで来てしまっているから

 

「待ってた・・・探してくれるの・・・ずっと・・・」

「あぁ、ゴメンな・・・心配させて。一人にして・・・」

キリトの服の肩の辺りが、アイジの涙で濡れた。

アイジを癒すように、キリトは背中をそっと撫でる。

「ううん・・・もう、いいよ・・・だから・・・」

アイジはふっと顔を上げ、キリトの瞳を見つめる。

「・・・・・?」

「もう、一人にしないで・・・・・」

途端に、アイジの瞳からは涙が零れ落ちる。

そして、その全てを受けとめるように、キリトは力強く抱きしめた。

 

空を見てみなよ信じられない色に染まってるだろ?

今、君と交わす次の約束もきっと守ってみせるよ

 

今から、どうしたらいいのか、何をしたらいいのか、誰にもわからなかった。

ただ、このまま野垂れ死ぬしかないのか・・・?

人々は死の予感を漠然と感じとっていた。

 

「行こう・・・?」

ドコへ行くわけでもなかったが、キリトはアイジを促した。

ただ、前に進むしか道は残されていなかった。

いつまでも、ここで立ち止まっているわけにはいかなかった。

アイジは、キリトの手を握り締め、ゆっくりと足を進めた。

 

どこまでも広がる可能性だけをイメージして

少しだけでいいからそこにあるラインを踏みだして

祈りを捧げるのはもうそれくらいで終わりにして

君が握り締めるこの手が君の救世主になるのさ、これから・・・

 

 

Fin...

 

 

 

 

 

 

*****作者の感想*****

「PURPLE SKY」をモチーフにした、甘々キリト×アイジでございます。

いや、この曲を聞いた瞬間、こんな感じで景色が広がってきてね・・・・・

それ以来、この曲はキリアイのテーマ曲にしか聞こえません(爆笑)

でも、俺の中では、「カナタヘ・・・」に続いて、PIERROTの中で2番目に好きな曲ですねー。

 

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