雪見
「ねぇ、キリト・・・」
冷たいアスファルトの上
宙を見上げる二つの生命体
キリトと呼ばれたほうが薄笑みを交えながら呟いた
「・・・待てないの?」
太陽が見えない夜の闇の中
真っ白な吐息
外気にさらされ完全に冷えきっている腕時計
既に午前2時を指している
「だって天気予報は・・・」
「なぁ、アイジ・・・」
言葉を遮って発せられた言葉
「何?」
カタカタと震え始めた歯
瞬間
後ろから身体を包み込んだ暖かさ
前に廻された腕にぎゅっと抱きしめられる
そして
耳元で囁かれた甘い・・・
「俺より、気象予報士のオッサンを信じるわけ?」
ふわり
ふわり
天から舞い降りた白い物体
少し季節外れの白い結晶
街灯に照らされた小さな花
地の裂け目に埋められている根
春を告げる黄色い固く閉じられた蕾
限界まで広げられた緑葉に触れ
状態変化
“
誰”にも気付かれることなく
液体化
そして敷詰められたアスファルトに溶けていく
「無理だよ。こんな時期に・・・」
「・・・・・」
「諦めて帰ろう?」
「・・・・・」
「キリト?」
「・・・・・」
何も答えずに一点を見つめる
目の前の俺を通り越している視線
彼の瞳を追いかけてみる
「うわ・・・・・マジで・・・」
辿りついたところは黒い空
幾億もの白い結晶の乱舞
「じゃ、帰るか・・・」
すっと離れていった温もり
ふいに身体を刺す冷え切った空気
“
家”であるコンクリートの塊へと歩いていく二本の足
「あ、待ってっ・・・」
追いかける
「ねぇ、次はいつ?」
期待で目を輝かせ尋ねる
身体を反転させ密着
睡魔に襲われている
いつもの不機嫌そうな顔が答える
「・・・・・11月まで無理」
「そっか・・・・・」
残念
「いいから寝ろっ・・・」
抱きしめられる
さっきと同じ
この体温に抱かれて眠ろう
「おやすみ」
「あぁ。おやすみ」
「愛してるよ」
「・・・・・」
「大好き・・・キリト・・・」
「・・・・・」
「おやすみ」
Fin...
****作者のコメント*****
キリト×アイジです。何故、妃路がキリト×アイジを書くと、ゲロ甘になるのでしょう…(苦笑)これは設定が解り難いっすね。季節は、
初春。もう雪なんて降るはずがないのに、降ると言い張るキリト氏に連れられ、深夜、外で雪を待つ二人…って感じです。はい。
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