”こんな事なら、TOURになんて出るんじゃなかったぁっ!!
ハンドルを握ったまま、石井君(G)が絶叫した。半分冗談の一言に、一同
ドッドドッと笑い、もう半分の本音に深くうなずいたりした。
横浜から始まり、名古屋・京都・大阪・岡山と、我々BONSAWは、TOURにまわっていた。
TOURも終盤を迎え、本拠地である東京を残すのみとなった。
東京へ向かう帰りの中国道での事である。
思い起せば、腹のよじれる程笑い転げた・・・。そんなおもしろい事ばかりの短い毎日であった。
楽しくて、楽しすぎて、悲しくなった。
だからTOURは痛快なのである。
LIVEは勿論、移動中でさえ、眠りに就く瞬間まで、始終、笑い続けていた気がする。
京都の宿では、隣室に外国人女性客がいたがために、フリチンで覗きに行ったりもした。
岡山では、深夜まで暴れ続け、”喧しい ”と女将に叱られる始末。
すかさず死んだフリをしてはみたものの、そこは卓袱台の上に敷いた布団の上。
シャレにもならない。
翌朝の飯は、(当然だ?)おかずらしき物が見当らない質素なものだった・・・。
移動中ときたら、”こっちでない訳が無い”と、自信に満ちて道を誤り続けた。枚方に至っては、
茄子作一丁目(なすづくり)?びっくりするような土地に迷い込んだりもした。
それでも”計画通りっ!”等と訳のわからない開直りを決め込んだ。
各所 打ち上げでも確実に地元住民と親睦を深め、あまりに深まりすぎたために、別
れが つらくなり、宿までの車中、皆、無口になってしまった事もあった。
暗闇の淀川を横目に・・・デッキからは悲しくも「スプリングスティーン」の「リバー」
が流れ、いっそこのまま淀川真心中してやろうかと考えた瞬間もあったほどである。
残りの日程が少なくなるにつれ悲しく悲しくなって行く・・・。
(だいたいTOURっていうのが楽しすぎるのがイケナイッ!)
(知らない土地でLIVEして、盛り上がったりするからイケナイッ!)
(昨日まで知らなかった連中と意気投合してしまうからイケナイのだっ!)
(我々はただ、演奏旅行に出掛けて行った迄の事で、それだけの話で・・・。)
知合ったばかりの人や久しぶりに会えた人達と、どこの世界に心の底からすんなりと別
れることが出来る奴がいるとゆうのだ 。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆さし絵☆石井
崇(G) 
__________________________後編につづく |