犬神サーカス団「形而上のエロス」
~グロ文学は果たしてかくあるべきか











最新作はやっぱりインディーズでしたか。


そりゃそうですな。犬神サーカス団みたいに毒と怨念で戦う歌が評価されてたグループが、縛りだらけのメジャーの世界でやっていけるわけないもん。


レビューでは取り扱ってないんだけど、メジャー2枚目のアルバム「スケ番ロック」なんて滅茶苦茶しんどかったもん。シングル曲の「都合のいい女」は面白かったし、「サーカスの人魚」あたりに犬神の面影は残ってたけど、他はなんかただの垢抜けないヤボいロックって感じでさ。しかもスケ番、っていうネタのキャラ付けがいまいち不明確だったから、なんか聴いていて居心地が悪かった。


でも、この作品でグロい犬神が帰ってきました!


明らかに「地獄の子守唄」「見世物小屋口上」を意識して作られてる「今夜も呪いの幕が開く」から始まってとにかく鬱ロックのオンパレード。


とどめは「神隠しの午後」のオルゴールの音にあわせて絶叫する凶子。本気で嫌になる声。嗚呼。


だけど正直、戸惑うアルバムだと思う。なんか音といい歌詞といい洗練されすぎてる。他のファンの人たちはこのアルバムのことを「犬神初期」って言うんですけど、正直ほんとかよ、っていう。


なんかかっこよ過ぎちゃうんですよね。集録されてる「道行き」なんて文学だもん。


死場求め彷徨って たどり着いた木立のかげ 禁じられた恋の果て 
二人ついに覚悟を決める 

吹雪き荒れる夜の 最後のくちづけと 見つめ合う瞳は来世の誓い

光る刃物を喉に立て 互いの脈を切り裂けば 熱く吹き出す鮮血が
粉雪を朱に染める



…かっこいいですよね。本当にかっこいいですよ。垢抜けすぎてて、なんかドラマみたい。人間椅子が江戸川乱歩なら、僕はずっと犬神はシュールでグロな寺山修二で日野日出志だと思っていたので(余談だけど、日野日出志の「赤い蛇」は凄まじいですなあ。復刻版を読んでからしばらく、情緒が安定しなかったよ)、ちょっとこの差に衝撃、戸惑い。


確かに、それを乗り越えてこそ犬っ子なんだろうけど、ちょっと入って時間がたってない僕みたいなファンにはちょっときつい。昔三村マサカズが言ってたけど(引用元が悪すぎるけど)引越しの引越しは相当ややこしいよ。


だから僕は、純粋に作品を愛せる人にだけこのアルバムをお勧めします。余計な事を考えていると、後に続きません。





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