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小沢健二「LIFE」 |
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| 言わずとしれた小沢音楽史最大のヒットアルバムですなあ。これでもか、っていうくらいのシングルカット、もしくは先行シングルの雨あられ。「おやすみなさい」以外は全部シングルで世間にお目見え。そんな超露出過多状態のわりに、パーフリストからの評判は「犬キャラ」以上にすこぶる悪い一枚です。 だってこのアルバムって、どう見ても小沢の「ゲーム」なんですもん。パーフリでこまっしゃくれた渋谷系の神様やって、ソロの一枚目で小沢の本心(ではないかと勝手に想像する)を表すかのようなナイーブな作品作って、じゃあ次に何をやるか、っていったらそれがたまたま王子様、だった。 要するにそれしか思いついた席は残ってなかった。 それだけのこと。別に小沢自身あのキャラが腹の底から気に入ってずっとやってたのかと言われれば絶対そんなことはないだろうし (実際LIFEあとのシングルって「さよならなんて云えないよ」「痛快ウキウキ通り」ってほんのちょっとずつラブリーパワーが翳ってきて、で、そのあとはドラマタイアップがついた「僕らが旅に出る理由」のシングルカットで一応王子様は事実上終止符、 そのあとはジャズテイストで遊びがほとんどない「大人になれば」から「夢が夢なら」に流れていくわけでしょ・・・。要するに彼にとって王子様はアルバム一枚分だけの遊びだったのに、周りがへんに騒ぎすぎたんじゃないのかな・・・。) ダウンタウンとかとの絡みにして見たところで全部芝居が見え見えだった訳で、それで「ちょっとやり過ぎなんじゃん小沢さあ」とかマジで心配になったりしたパーフリストが一杯いたわけですよ。 しかし。それは・・・いや・・・確かに僕の年齢考えるとさあ・・・、LIFEのリリースのときには中学一年生な訳でさあ・・・。 ただCDTVとかMステとかポップジャムとか、あとは年齢的に興味を持ち始める音楽雑誌、 若しくは以降の三年間~カメファク運営開始前後(それでも十五歳!)に漁りまくった関連書籍やら資料の山やらひとつてなどでいろいろ学んだだけだから知識的にはきっと皆さんよりは深くないんですけど・・・、間違ってないと思うんですよ。 そのあたりを踏まえてこのアルバムを聞きなおしてみると、確かにひとつの印象を持ってしまいます。それはね、えーっと・・・なんつうか、 まあ・・・これは、「小沢であって小沢でない、要するにオザケンの作品」なんだなあ、ってほんとに。 歌詞。はっきり言って一枚目やパーフリのときに比べれば異常に分かりやすい。若しくは、分からなさ過ぎて意味を考えることがバカらしくなる(笑)。ラブリー、なんて裏の読みようがないもの。 「夢で見た彼女と会ってFEEL ALL RIGHT /誰かのちょっと待ってなんて知らない/LIFE IS A SHOWTIME すぐに分かるのさ / 君と僕とは恋に落ちなくちゃ/ 夜が深く長い時を超え」 ・・・この歌詞に裏なんか、あるとはどうしても思えない(笑)。単にハッピーな空気をもつ言葉を小沢の文学センスや構文構成力でまとめていって、一つに仕上げただけの印象。 勿論それは高尚な文学が急に現代文学というか、言い換えれば悩みに悩みぬいた谷川俊太郎が(爆)、躁病にかかった桂正和になったような(いや、桂正和は厳密な意味では文学者じゃないけど敢えて、漫画をひとつの文学と見做した上で)分かりやすさゆえの困惑と気まずさを見事なまでに演出してますよ。 ましてや小沢は天才なんだからさ、そのキャラに自分が没頭して言ったら周りもガンガン引き込む力発揮しまくっちゃってソロ以降にくっついた女の子なんてもう彼の発する匂いのひとつひとつに簡単にまいってっちゃったわけさ。 でもパーフリストは小沢にもともとそういう「気まずい遊びを平気でやる」癖があることが分かってるから、 「あの子ら、そんなことにも気付かないで尻尾振っててバカじゃないの」 みたいに離れて冷笑してたんだよね。このあたりから決定的になってくんだね、犬派と猿派の軋轢は(笑)。 だからきっと、このアルバムに接するときには、僕らはいらんことはほんとに何も考えちゃいけないんだろうと思う。 ただ表面的に世界に染まってたまに躁状態に突入したいときに大音量でぶちかまして、トリップする言ってみれば 「明るいドラッグ」 的なポジションにあるって考えた方が、猿派パーフリストや後発の女の子たちの関係をも全て丸く収める意味で一番良いと思う。 こうすれば、誰にも特にこれといった傷もつかないから。どれだけ優秀なクスリだって合う人と合わない人はいるだろうし。 とにかく、今此処で言えることっていうのは「こういう百万枚単位のスケールで遊べる小沢健二の度胸と勇気とすっとこどっこいさ」を、パーフリストももういちど考え直してみて納得してもらえるのが一番良いんじゃないかな、ってこと。 時間は、取り戻せない。そういう意味で小沢は、本当に罪作りなことをしたと思います。 |