ymb-logo.jpg ELECTRIC MUD/MUDDY WATERS

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”おやびん”こと、マディ・ウォーターズ。シカゴ・ブルースのボスたるマディですが、キャリアの中には色々な企画版やいわゆるブルース・フォーマットから逸脱した音源も数多くあるんですが、それらの中でももっとも異臭を放つ音源のひとつがこの『ELECTRIC MUD』

時は60年代後半。黒人コミュニティから圧倒的な支持を受け、商業的にも華やかだった50年代を経て、黒人聴衆の関心はソウル、ファンク、R&Bへと流れていき、ガッチガチのブルースはコミュニティの中ですら『古臭い』ものとして捉えられりようになっておりました。
ところが、思わぬところでブルースは新しい聴衆を得ることになるわけです。それは、古くはジョン・メイオールやアニマルズ、エリック・クラプトン、ツェッペリン、ストーンズといったイギリスのミュージシャン達がアメリカ、いや、ブラック・アメリカンの音楽であった『ブルース』と出会うことによって生み出されたニューロックの聴衆である白人層。そう、この時期を境にして、多くのブルースマン達が黒人コミュニティ意外の場所へ出て行くことになります。

つまり、ブルースに影響を受けることによって生まれた、新しいロックが世界に受け入れられるようになるにつれ、今度はブルースマンがロックへの接触を始めることになっていくわけですね。いやあ、にわとりが先か卵が先か。。。う〜ん、ちょっと違うような気もしますが(笑)、そんなんで、マディもいわゆるロック系のミュージシャンとの競演などを音源として発表していくことになります。で、そんな作品を経て、『ありゃ?!ここまでヤルぅ?』と、当時、大いなる顰蹙(ひんしゅく)をかったのがこの音源。

内容はといいますと、当時のロックシーンを席巻していた『サイケデリック』なロックサウンドにのって、おやびんマディが吼えるというもので、代表曲でもある『I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU』や『I'M YOUR HOOCHIE COOCHIE MAN』なども、見るも無残に、もとい!見事にサイケロックになっておりますよ。
ぎゃんぎゃんのファズギターサウンドの嵐ですし、マディに影響を受けたはずの、ストーンズのナンバーを逆カバーなんかしたりもして、『おいおい!』っていう、まあ、当時のマディファン、ブルースファンが耳をふさいだ(笑)というのも、納得できるほどの強烈な音源です。

ただ、マディの最大の武器はその『声』そのものでありまして、まあ、どんな局面であっても、マディが『んぉ〜〜、いぇ〜♪』って、うなるだけで空気変わっちゃいますし(笑)、その声質そのものがこういうサウンドに異様にマッチするんだなあ(笑)これが。
この音源でもやってますが、『MANNISH BOY』など、マディの曲って、バリバリのロックになりえる要素が強いですからね。ギターに歪みを入れるだけで、そこいらのロックバンドが裸足で逃げ出すような資質は十分だものね。

まあ、個人的にサイケ系ってあまり聴かないもんですから、当時のサイケデリックロックバンドっていうのがどんなんか、その程度のもんじゃ?っていうのがよくわかってないんですが、『マディのこの声+このサウンド』っていう組み合わせは、ちょっとした奇跡を生み出したといっても過言ではないような気がします。裸足で逃げ出すのは誰だ?


  1. I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU
  2. I'M YOUR HOOCHIE COOCHIE MAN
  3. LET'S SPEND THE NIGHT TOGETHER
  4. SHE'S ALRIGHT
  5. MANNISH BOY
  6. HERBERT HARPER'S FREE PRESS NEWS
  7. TOM CAT
  8. THE SAME THING

MCA CHESS CHD-9364



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