WAVE'95(SINGLE CD)/The StreetSliders 
| ブルースらしさとか、ブルージーとかいったことではなく、紛れも無い<ブルース臭>を発散する数少ない<ロックバンド>がThe
StleetSlidersとは前回のレビューでも書きましたが。そして、<ブルースの生臭さ>を体言しているのは、やはり紛れも無くハリーの言葉であるとも書きましたが。 ブルースを体言する<歌>を聴き、<憂鬱を共感する>っていうことは、すなわち、歌っている人間の体臭を嗅ぎ取るような行為なんだろう。。。極めて個人的なことに干渉して、共感することなんだろう。。。なんてことを思ったりもします。う〜ん、ちょっとくさいかな(笑) そういった意味では、数ある彼らのマテリアルの中でも、もっとも体臭がキツイ部類に入るのがこのシングル盤に収められた『Higurashi(日暮し)』なのではないか?なんて思います。 もともと、ボーカリストとしてのハリーの歌声ってのは、とにかく強力。アタックが強くて、とてつもなく鋭利。ただ、その鋭利さっていうのが一癖も二癖もあって、例えるならば同じ切れ味の鋭さを持っていても、手ごたえも無くスパッと切れる日本刀のような鋭さではなく、う〜ん、なんだろう?ザラザラとした感触を手に残しながら、それでも鮮やかなまでの切断面を見せる『ガラス切り』(笑)のような切れ味?よくわからん例えだが、兎も角、ボーカリスト、ハリーの魅力と個性はその一点にあるわけです。 この音源でも、1.WAVE’95や3.カメレオンで、その醍醐味は十二分に堪能できるはず。 ただ、この『Higurashi(日暮し)』は違う。 何が違う? ハリーの歌が<心もとない>のだ。 不安定という言い方をしてもよいかもしれない。 ロックバンド、The StreetSliderのボーカリスト、ハリーの姿がこの曲では見えない。ここで歌っているのは、村越弘明という憂鬱を抱えた一人の男。ステージで客を煽るロッカーの叫びではなく、<ふらりと何処かへ出かけ>てしまいたいと思っているただの男のつぶやきが聴こえる。 ブルースはどこまでいっても、<個>でしかあり得ないし、<個>からしか発せられないメッセージだよね?そして、それを等身大で受け止められるのも、やっぱり<個>である聴き手であるわけで。 くたくたに疲れ果てて、駅のホームで列車を待っていた時、やはり<個>であった私の中にすっと入ってきたのは、ウォークマンのイヤホンから流れていた『Higurasi』でしたよ。
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