NUMBER GIRL
SAPPUKEI
まずこのアルバムは物凄いアルバムとだけ言っておこう。音質にせよ曲にせよハイクオリティーな1枚になっている。
前回のアルバム『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』ではヴォーカル向井の声が小さく、全体の音もアナログな感じだった。それが悪いという訳ではないが。しかしこのアルバムは違う。アメリカに行きデイブ・フリッドマンによって手が加えられた音質はとてつもなく心地よいものになった。まず全体について今までナンバーガールに欠けていたものがより加わり殺伐としたものになっていった。また楽器も前回よりも本当に心地よくて、ストレートなものになった。それに伴ってヴォーカルの声も向井の長所がより引き出されていて聴く人達をバッサバッサと斬りかかるようなすさまじいサウンドになった。
曲といえば、まず前回のアルバムはバランスよく構成されている。名曲『透明少女』『タッチ』などが収録されているが今回はとことん「激しい」、この一言が1番単純且つ正確ではないのだろうか。やはり数曲ヤンワリしたものもある。もちろん曲調のこともそうなのだが、歌詞にせよその全体のビートが激しい。向井曰く「俺押さえ」のコードがナンバーガールらしさを出し、アヒト・イナザワの独特のフィルインがあり、顔に似合わずの田渕のガッツガツとしたギター、その一見ばらばらと見えるこの音の原子をベースの中尾によってひとつの集合体にしていく。このビートの塊がこのアルバム『SAPPUKEI』に収録されているのだ。
本当に1曲、1曲が先程言った通りに脳の細胞にナンバーガールのビートが日本刀で斬りかかる感じがする。まさに『SASU−YOU』。また歌詞がとてもストレートで独特なので飽きさせない。このアルバムで「ナンバーガールのサウンド」という固定名詞ができたであろう作品だ。
SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT
このアルバムはお気に入りの1枚だ。いきなりアヒトの「殺伐!」で始まるこのアルバムは曲の構成的にとても充実している。殺伐したものがあればセンチメンタルな曲もある。
音質的にはたしかに悪い。それはイイ意味で悪いと思う。曲のスタジオでの響きが出てるしそれを『タッチ』などの鋭い曲を表現できるのは素晴らしいことだ。アナログチックな感じもイイ。本当に悪いと全ての音、ギターのカッティングやシンバルなどが丸くボワァ〜と聞こえてしまう。こういう点では向井の音楽に対するセンスというものは凄いと思う。
このアルバムでのイメージは凄い爽やかだ。向井の作詞能力というものは本当にすごい。<少女>に対する歌詞がこっちで聴いてて普段日常に生きているイメージが浮かぶ。それは少女好きということではないと思うが、その「自分以外の他人」に対する普段の生き方の捕らえ方が素敵だ。『透明少女』などを聞くと本当に夏の晴れた昼前というような感じがする。また『転校生』は自分的なナンバーガールの中で結構好きな曲だ。サビ以外は鋭い感じでクールなんだけどサビに入るととても爽やかになるヘンテコ具合が逆にカッコイイ。歌詞もまたイイ。「都会の天井 ヘリコプターがうるさくて なにかあったの事件でも? ベランダから問いかける」、「君は転校生のような赤い顔をして恥ずかしそうに笑って 淋しそうになにか言いたげで 少女になって」というような日常的な感じが凄い好きだ。
このアルバムの曲はときには『狂って候』や『日常に生きる少女』のアタマのような激しさもある。それ以外にもギターの歪み具合、向井のガナりなど激しさの点でもないという訳ではない。こういう激しさで曲がより引き立つ。中でも引き立つ要因にシンバルがあると思う。アヒトのドラムは凄い特徴的で独特だ。拍の頭だけでなく『YOUNG GIRL〜』のようなシンバルの入れ方がカッコイイ。このスタジオ1発録りということもあるのだがシンバルのパッシャーンという音が際立っていてマッチしている。アヒトの叩き方はとても好きだ。あまりドラムについて詳しくはないがタムや各シンバルなどの使い方が上手い。痛快だ。
とにかくこのアルバムは激しさと爽やかさを併せ持つ名盤ということです!!