THE WHO(ザ・フー)のギタリストそしてソングライター、
ピート・タウンゼントのソロアルバム全曲解説。
紙ジャケでの再発が進んで来て嬉しいです!
彼の導師ミハー・ババ関連で発表された音源を再編集したアルバム。peteのソロアルバムではあるのだが、
全体の雰囲気は未発表デモ集といった感じ。しかし、この作品は悪くない。
むしろ僕の好きなタイプのアルバムだ。この作品を聴きながら僕はバッド・フィンガーのPETE HUMの未発表デモ集「7 park avenue」を何度も思い出した。どちらもRYKOから出されていることも共通だが、
曲が原型のままで、それを生み出したアーティスト自身の手で演奏されていることによる独特の空気が心を打つ。
[各曲解説]
1.PURE & EASY
「ライフハウス」からのデモ。デモとはいえ、アレンジは既にかなりの完成度。THE WHOバージョンは「WHO'S NEXT」のボーナストラックで聴ける。終わり際にパーカッションの音が聴こえる。2.EVOLUTION
ロニー・レインによるボーカル。二本のアコースティックギターによるアンサンブルが実に美しい。 peteがリードギターを弾いているが、ワイルドなコードストロークがさりげなくここでも登場。3.FOREVERS NO TIME AT ALL
ハンドクラップと重ねたコーラス、ややサイケ調のギターソロが60年代フラワーチルドレンの頃のような雰囲気であり、また、バッドフィンガーのようでもある。「NICHOLIS-LANBERT」というクレジット。4.LET'S SEE ACTION
8分で刻むピアノに乗せたポップなメロディーから始まる。アコギとボーカルのみのパートや、ビーチボーイズ風コーラスパートなどを挟んで目まぐるしく曲調が変わっていく。ラストはディレイのかかった、一人かけあいコーラス。5.TIME IS PASSING
カントリー調のナンバーだが、か細い声、密室っぽいサウンド、はかなさ漂う歌詞が、 一抹の切なさをにじませる。6.THERE'S A HEARTACHE FOLLOWING ME
ミハー・ババのお気に入りの曲を録音。三拍子のカントリーフォークナンバー。アコギ&ボーカルにピアノとエレピで味付け。7.SHERATON GIBSON
冒頭のムードやコーラス部分や間奏の感じが、サイモン&ガーファンクルを思い起こさせる曲調。 途中からアナログ・シンセが加わっていくが効果的かどうかは微妙。8.CONTENT
ピアノとマンドリンのみをバックに淡々と、しかし切々とうたうバラード。重ねられたマンドリンの音がストリングスのような効果を出していて美しい。9.PARVARDIGAR
神への思いを歌う曲。途中からシンセのループが加わり、ドラムが入り、バンドサウンドへ。 このドラムパートが、キースムーンが叩いていそうな雰囲気のフレーズ。10.HIS HANDS
ピアノ・アコギ・マンドリンによるインスト。「トミー」辺りの雰囲気の曲。11.THE SEEKER
THE WHO本体でお馴染みのAとDを基調にしたコード進行によるシンプルなロックナンバー。12.DAYS OF SILENCE
淡々としたピアノ、哀愁漂うハーモニカの音色が、 心にしみる。弱々しいpeteの声が何とも曲とマッチしている。 コードの響きも非常に美しい。アレンジ次第ではAORといっても充分通じる。名曲! こんな曲も書けるんだ!びっくりした。13.SLEEPING DOG
シンプルなフォークナンバー。ふとバーズ辺りのアレンジで聴いてみたくなった。14.LOVE MAN
アコギを基調にドラム、ベース、そして甘い音色のエレキのスライドギター。 バッドフィンガーみたいな雰囲気のポップで美しい曲。15.LANTERN CABIN
ピアノのよるインスト。これを聴いているとTHE WHOにせよ、ソロにせよ、 peteの和音の感覚ってギタリストというよりも、ピアニストっぽいと改めて感じる。
フェイセズのRonnie Laneとのクレジットだが、参加アーティストを見れば、 当時のイギリス勢による「楽しきアメリカ音楽セッション」という色彩が強いアルバムかもしれない。
総合的には非常に楽しめる作品だ。(ただし生っ粋のイギリス好きよりむしろ、 泥臭いアメリカ物が好きな人用かも。)
[各曲解説]
1.MY BABY GIVES IT AWAY
サザンロックの香りのする曲。アコースティック・ギターと、6thの響きを中心としたエレキギターのバッキング、そしてスライド奏法のエレキという3本のギターがからみ合う。エコー感の薄いドライなボーカルがのる。drumはCharlie Watts。2.NOWHERE TO RUN
オルガン、ブルースハープ、ハイハット中心のドラムス。 そしてバンジョーの響きが時に初期イーグルスを思い出させる。 リズムのノリとしてはオフビートを感じるレゲエっぽいグルーヴ。3.ROUGH MIX
アップテンポのインストナンバー。格好いいカッティングギターに導かれ、 砂ぼこりをあげて爆走していきそうな泥臭い世界。オルガンはいい音。 リードギターはクラプトン。こうなったらトニー・ジョー・ホワイトでも呼んできて歌わせたいね。4.ANNIE
アコースティックギター、アコースティックベース、アコーディオンそして、 フィドルによるじんわりしみてくる曲。イントロを聴いて「雨に唄えば」をちょっと思い出してしまった。5.KEEP ME TURNNING
メロディやコード感は明らかにPete Townshendの世界なのに、バックのサウンドはTHE WHOとはかけ離れたルーズなレイドバック気味の音で、明らかにdrumの感じなんかは某暴れ太鼓とは別世界。こういうのもいいね。6.CATMELODY
サックスと生ピアノが印象的な50'sっぽいというか、なんだかフェイセズっぽい曲調。というわけで、 ピアノはIanMcLaganかと思ったら、Ian違いでIan Stewart。ストーンズの幻のメンバーさんですね。こういうオーソドックスに泥臭いピアノ好きだな。7.MISUNDERSTOOD
ちょっとバディホリーっぽい?でも途中からいかにもPeteな感じ。アコギ中心の曲調でコーラスやパーカッションが加わっている。8.APRIL FOOL
ワンコーラス目は、アコギ&遠く聴こえるかすかに響くマンドリンで静かに始まる。2コーラス目からクラプトンのドブロギターによるスライドが加わってますます味わい深い。弓で鳴らしていると思われるダブルベースもいい音でアンサンブルを支える。9.STREET IN THE CITY
メロディアスなストリングスをバックに、peteがアコギ1本で弱々しく歌う。このバランスがなんとも言えなくいい。最初アコギvsストリングスのように聴こえるアンサンブルが、いつしか、Peteのアコギが指揮者となってストリングスを従えているように聴こえてくる。10.HEART TO HANG ONTO
静かにアコースティックギター中心に始まるのだが、徐々に楽器が加わって、とうとうブラスまで登場してくるダイナミックレンジの広い曲。途中から聴こえてくるフェンダーローズの音色が美しい。11.TILL THE RIVER ALL RUN DRY
カントリーな雰囲気の曲をみんなで合唱。アコギ・ピアノ・コーラスとくれば気分はイーグルス。
キース・ムーン死後の80年4月のpeteの本格的ソロ作品。全体的に非常に勢いのある作品。
また1曲の長さが短く、10曲入りで総時間も40分程度。
お得意のいわゆるロックオペラ的色彩もあるにはあるが、あまりクドくなくあっさりしている。
3分程度のキャッチーな曲の印象が強い。
[各曲解説]
1.ROUGH BOYSノリのよい勢いある8ビートナンバー。 コーラスやブラスも加わって、もう止まらない。 いさぎよいエンディングも格好いい。2.I AM AN ANIMAL自分はanimalだとかvegetableとか、内省的な歌詞をか細いボーカルで歌う。 ピアノとアコギの部分の響きは一瞬だけニック・ドレイク風に聴こえなくもない。3.AND I MOVEDディレイのかかったピアノ、16分のハイハット、オクターブで動くベース、深いリバーブをかけたコーラスパートが絡まりあって空間的広がりをつくる。4.LET MY LOVE OPEN THE DOORシンセループによるオープニングからシンプルなコード進行で歌う。 ジョージ・ハリソンの「SET ON YOU」辺りが近い感じ。5.JOOLS AND JIMドラムによるイントロからグリッサンドのピアノ。ジャカジャーンという感じのギター。 基本的にはE.street bandがやってそうなシンプルなR&Rナンバーだが、中盤にはpeteらしい展開も。6.KEEP ON WORKINGラテンっぽいリズムとコーラス、そしてマンドリンの響きが土着な匂いを漂わせる曲。 でも、さりげなくピアノ&ティンパニーのパートを入れてしまうのは、いかにもpeteのやりそうなこと。7.CAT'S IN THE CUPNOARDパーカッシブなオルガンと低音弦の響きを大切にしたギター、 そして何より歪み気味のブルースハープがワルを感じさせる曲。8.A LITTLE IS ENOUGH「シンセサイザー!」によるオープニング。今からすると微妙に格好悪いサウンド&ノリのドラム。 80年代がここに! そしてシンセソロ。うーん、こいつらの印象強すぎだ。他のアレンジで聴いてみたい。9.EMPTY GLASS力強いナンバー。ギターが同一コードかき鳴らしのパートが多いせいか、 随所にベースのフレーズが耳に残る。「behind blue eyes」風のマイナーコードのパートがアクセントとなって全体にメリハリを与える。10.GONNA GET YAエンディングにふさわしいスケールの大きいナンバー。 かけあいコーラスが効果的。 ピアノパートがいい感じ。ループシンセよろしくシーケンシャルなフレーズも弾くのだが、 やはり人間的なノリのフレーズがおりまぜられて格好いい。 途中の長いピアノソロが特にいい。 またピアノソロのバックでさりげなく音数少なく弾いているギターも、クール!
僕は常々Pete Townshendのギター弾き語りによるパフォーマンスは最高だと思ってきた。 ライブのワンコーナーなどではなくじっくりと聴いてみたいと思っていた。 最近になってこんなアルバムが出ていることを気付いた。 Raphael Ruddとのライブアルバムだが、 このアルバムは僕の聴きたかったPete Townshendのアルバムに極めて近い形のものだ。 ギター1本でも決してフォークにはならない強烈な個性を僕はrespectする。
[各曲解説]
1.RAGA
ハーモニクスが印象的なハープによる Raphael Ruddのソロ。2.DROWNED
PeteTownshendのアコギ弾き語り。説得力充分。ストロークの切れのよさが絶妙。3.THE SEEKER
ミュートをうまく組み合わせたリズム感がいい。アコギ1本だが、ビートが伝わる。4.MAGIC GRACE
Raphael Ruddのハープによるどこか物悲しいメロディー。5.WHO IS MEHER BABA?
Raphael Ruddによるジョージウィンストン風のピアノ曲。6.THE FERRYMAN
北欧系トラッドの雰囲気を持つ曲。Peteはギター&ボーカル 、Raphael Ruddはピアノ。7.KITTY'S THEME
優しさあふれたハープのソロ。8.A LITTLE ENOUGH
ピアノとギターのアンサンブルが効果的、PETEの声も張りがある。PETEのギターがビートをリードする。9.CONTACT IN SOLITUDE
Raphael Ruddによるピアノ曲。10.SLEEPING DOG
PETEによる感情を抑え気味にしたアコギ弾き語り。11.SOUND BARRIER
Raphael Ruddによるドビッシー風のピアノ曲。12.BARGAIN
泣く子も黙るTHE WHOの名曲。コードストローク一発目から既に雰囲気出てます。 完璧です。(ただしエンディングはあっさり。)13.LONGING FOR THE BELOVE
Raphael Ruddによる淡々としたピアノ曲。時折挿入される分数コードが美しい。14.TATOO
THE WHOの名曲。PeteTownshendのアコギ弾き語りの形態でありながら、しっかりとギターで裏メロを爪弾いているので、レコードバージョンを聴き慣れた耳でもアンサンブルの不足は感じない。15.LET MY LOVE OPEN THE DOOR
古き良きR&Rの雰囲気を持つシンプルな曲。 ハープによるオブリガードはどうなんだろう?16.AWAKENING
キリストやらブッダ、マホメットなど古来の聖人達の名が呼ばれるスピリチュアルな曲。 (もちろんミハー・ババも。) この曲はRaphael Ruddのピアノにあわせて、PETEがソフトに歌い上げる編成。17.WESTERN(AMERICAN)ARTI
Raphael Ruddによるハープソロ。18.O'PARVARDIGAR
Raphael RuddによるハープがWHO'S NEXTで聴けるシンセループのようにPETEのギターといい感じでグルーヴを出している。
PETE TOWNSHENDのシンセの使い方は好きだ。どんなにチープな音色でも、ポップな音色でもロックだ。
さりげなくいろいろな音楽の要素がちりばめられているこのアルバム。
もっと評価されていいと思う。ロックオペラ調の曲も健在。ラストナンバーが印象に残った。
[各曲解説]
1.STOP HURTING PEOPLE
ポップなシンセを中心としたトラックにのせて、ディラン調の「語る」ナンバー。2.THE SEA REFUSES NO RIVER
ロックオペラ系ナンバー。壮大な曲調の中でも、オブリガード的に入ってくるブルースハープと、 途中のギターソロが印象的。3.PRELUDE
静かなピアノから始まり、ソフトに歌い上げるまさに「PRELUDE」と呼ぶにふさわしい曲。4、FACE DANCE PART TWO
エレクトロなシンセに導かれるポップナンバー。 さりげなく変拍子(5拍子?)なアプローチをとりつつ絡まりあうメロディー。5.EXQUISITELY BORED
マイナーコードのアコギによる淡々とした部分と、エレキギターのストロークが盛り上げるサビが対称的。 随所にレゲエのエッセンスをさりげなくうかがわせる曲。後奏のアコギは音数が少ないが格好いいと思う。6.COMMUNICATION
エコーたっぷりのドラムによるイントロ。かき鳴らされるアコギ、怪しい音階のピアノ、 ノイジー&不協和音のスパイシーなエレキギター。活気がありながらどこか狂気のにおいの漂う曲。7.STARDOM IN ACTON
THE WHOのOUT TAKEのような3分間ポップ。8.UNIFORMS
アナログシンセの音色に導かれるマーチ風楽曲。アイロニカルな歌詞。9.NORTH COUNTRY GIRL
詞はまさにディラン辺りでお馴染みの「北国の少女」。しかし曲はもはや原形をとどめていない、 まさにPETE調。PETE版トラディショナル。10.SOMEBODY SAVE ME
淡々としたAメロBメロと、 独特のコード感の中で「SOMEBODY SAVE ME」と来るサビのコントラストが印象に残る。11.SLIT SKIRT
かつてTHE WHOは「年取る前に死にたいぜ」と歌った。 そしてこの曲は、「I was just thirty four years」と始まる。 PETEはこの曲の中で、年老いていくことを、 slit skirtやripped shirtsなどをキーワードに歌っていく。
未発表デモ集。いいアルバムだよ。特に実際にTHE WHOがやった曲はデモ段階での完成度の高いものも多く、そのままでも充分感動できる。と、同時に、
こんなデモテープを持ってこられて、そして、そのデモを越えるレコードを作り上げていたTHE WHOというバンドの偉大さも知ることができる。
[各曲解説]
1.So Sad About Us/BrrrTHE WHOでは厚めの音だったが、ここではアコギのみのシンプルな演奏。メロディーの美しさがよくわかる。途中から一転して、リズムボックス・ギター・ピアノ等によるインストへ。2.Squeezeboxアコーディオンやマンドリン等などの演奏をpete自身が楽しんでいる雰囲気が伝わってくる。3.Zeldaフラッターエコーをかけられた変なストリングスの音にのせて歌う。2コーラス目からベースが入ってくる。 どことなくツェッペリンの3枚目を思い出させる。4.Politician広いエコーとギターの歪み、大袈裟なイントロや間奏がクリームのような感じの曲。5.Dirty Waterニック・ロウがやっていそうな、シンプルなR&Rナンバー。6.Circlesマイジェネレーションと近い次期に作られたという曲。キンクス風。7.Piano: 'Tipperary'ロシア民謡のようなピアノとボーカルによる作品。なんじゃこりゃ。8.Unused Piano: 'Quadrophenia'Quadropheniaの「cut my hair」の原型のような曲。ピアノのみでの演奏。9.Melancholiaブックレットには「本当にあの時はメランコリックだったのだと思う」とある通りダークな雰囲気の曲。 フランジングされた音像が実にメランコリック。10.BargainTHE WHOでお馴染みの曲。正規バージョンを聞き慣れた耳にはpeteの弱々しいボーカルが耳なれないが、 シンセのフレーズや構成などを含めて、デモの段階でここまで完成していることに驚かされる。 逆にこれ以上のバージョンを作り上げるTHE WHOというバンドは本当にすごかったのだと思う。11.Things Have Changed60年代のフォークグループのような、アコギとコーラスの曲。ブックレットには「記憶は定かでは無いが、当時のTHE WHOでやるには軽すぎるということでレコーディングされなかったのでは?」とあるが僕も同感だ。12.Popularラモーンズ辺りがやってそうな、パンクロック調。わかりやすくていい感じ。13.Behind Blue EyesTHE WHOの名曲。アコギとpete自身の多重録音コーラスのみで歌われる。「No one …」の歌い出しの枯れた雰囲気が既に鳥肌もの。14.The Magic BusこれもTHE WHOでお馴染み。怪しいパーカッションから、アコギが入ってボディドリービートへ。 むしろ、このデモバージョンの方が「マジック」という雰囲気。全体に深くかけられたエコーが幻想的。15.Cache, Cacheチャチなリズムボックスの音にのせて、パンクロック的世界が繰り広げられる。16.Cookin'ペダル・スティールとアコギがサザンロックな感じ。途中、サウンドエフェクトを駆使してドラムが機関車のような音を奏でる。17.You're So Cleverいかにも80年代な、リズムマシン・シーケンサー・シンセサイザー中心の16ビートの曲。「マッカートニー2」を思い出した。18.Body Language打ち込みシンセ中心のトラックにのせて「語る」曲。ディラン…、いやルーリード風かも。19.Initial Machine ExperimentsTEACのハーフインチ8トラックのテストのためにYAMAHA CS80を弾いたとのこと。シンセのプリセットのデモ曲のような感じ。20.Maryコード感とメロディーが美しい。アコギ・エレキともにアルペジオで演奏され、浮遊感のあるサウンドもいい。21.Recordersかもめの声とかすかに響くリコーダー、以上。22.Goin' Fishin'ブックレットに「ビーチボーイズのスマイリー・スマイルのような雰囲気にしたかった」とあるように、まさにペット・サウンズ以降のあの感じの音、曲調も同様。いいムードの曲だが、確かにTHE WHOとはちょっと世界が違う。23.To Barney Kesselljazzっぽいギターソロ曲。24.You Came Backこのアルバム中1、2を争ういい曲では?ドラムなしでギターがリズムを刻む。 アコギ・ピアノ・コーラスのアンサンブルが実に美しい。25.Love Reign O'er Me名盤Quadropheniaのラストを飾る名曲。 peteが弱々しい声してさ、叫ぶんだよ。 で、それが本当に格好いいんだよ。
PETE TOWNSHENDといえば、ブリティッシュロックの巨匠だ。
でも意外とこのアルバムは随所にアメリカンミュージックの雰囲気がする。 全体として非常に華やかなアルバムだと思う。
[各曲解説]
1.GIVE BLOOD
リズミカルなギターと重厚なシンセ。どことなくフィルコリンズのプロデュースした頃のクラプトンを思い出す80年代な感じだが、格好いい!2.BRILLIANT BLUES
ブルース・スプリングスティーンがやっていてもおかしくないような曲と感じてしまうのは、シンプルなコード進行、ベル系の音色、アメリカンポップスな曲調、そしてタイトルのせいか?3.FACE THE FACE
ウォーキングベース、ピアノ、ブルースハープでジャジーに始まるイントロから、 クラビネット系シンセのバッキングが印象的なロカビリー調へ。 トランペットのソロから、ブラスセクションが入って、ブライアンセッツァーか!?と思わせるような展開。 ボーカルもcoolでhot!4.HIDING OUT
リズムとコーラスが南国風味の小曲。5.SECONDHAND LOVE
延々と繰り返すピアノリフとかけあうようなボーカルで散々ためておいて、 「give your love」とコーラスへと展開。再びリフvsボーカルの展開へ。 次第に様々な音が加勢してゆく。6.CRASH BY DESIGN
サビのコーラスの感じやイントロのシンセがプリンスを思わせるようなポップナンバー。 さりげなくギターソロに不協和音を絡ませる、遊び心も見える。7.I AM SECURE
和風シンセのイントロ。リフを繰り返した後は一転して、 「トミー」に入っていそうなアコギを基調とした淡々とした歌へ。8.WHITE CITY FIGHTING
印象的なギターのリフをバックにPETEとコーラスが「white city,white city,remember」と歌い上げる。 要所で使われるアコギの音色が曲にコントラストをつけていて、いい感じ。9.COME TO MAMA
心臓の鼓動をバックに、深みのあるシンセやかき鳴らすギターストローク、ティンバレス、ピアノなどによる壮大なイントロから、ファンファーレのようなシンセブラスに導かれてアップテンポな曲調へ。まさにロックオペラ的展開。もう少し長くても良かったかも。
未発表デモ集。「Another」と冠されているだけあって、クラシック的なオーケストラやブルース、それからシンセサイザーによるインストなど、「ロック」とは別の側面を強く伺わせてくれる。しかし、その中にあっても、シンプルな演奏でまとめられたTHE WHOの初期の曲のデモの輝きも見逃せない。
[各曲解説]
Disc 1
1.You Better You Bet
ボーカル違うなとは思うのだが、基本的にはTHE WHOバージョンとほぼ同じ印象。レコーディングバージョンに極めて近いデモ。2.Girl In A Suitcase「BY NUMBERS」の未収録曲。ミディアムテンポのゆったるとした曲。3.Brooklyn Kidsピアノと美しいストリングス、途中のダブルボーカルの感じといい、ギルバート・オサリバンたエルトン・ジョンのような雰囲気。4.Pinball Wizardトミー収録の名曲。アコギとギターとコーラスのアンサンブル「show play〜」の辺りは一部リズムが揃ってないが、大した問題ではない。5.Football Fugueストリングスのみをバックにうたう、トムウェイツ風のメロディ。6.Happy JackTHE WHOバージョンとkeyが違う。遠く聞こえるアコギをバックにしたシンプルな演奏。7.Substituteイントロからそれと分かる名曲のデモ。コーラスやギターパートなどのベーシックな部分はすでに出来上がっている。8.Long Live Rock「ODDS&SODS」に収録されたシンプルなロックナンバー。レコーディングバージョンと極めて近い感触。9.Call Me Lightningいかにも60年代のリッケンバッカーの響きにのせた、初期ストーンズのような雰囲気の曲。10.Holly Like Ivy後期ドゥービー・ブラザースのようなポコポコしたリズムマシンとピアノの響き。低い音域で歌われる。11.Begin The Beguineミハーババに捧げられたコールポーターの名曲。アコギ1本の弾き語りバージョン。peteのアコギの表現力の高さを味わうことができる。12.Vicious Interludeアコギとセリフ。13.La-La-La-Liesオルガンやベース、コーラスの響きがビーチボーイズ風サウンド。曲調はキンクスのよう。14.Cat Snatch西遊記のオープニングのような(山から岩が生まれたところのような)リズムマシン&シンセループ。トランスできる。Disc 21.Prelude #556
ニュースのオープニングのようなシンセによるファンファーレ。2.Baroque Ippaneseリズムマシン、シンセによるリズムバッキング、航海のイメージ。3.Praying The Game「STEET IN THE CITY」と同時期に作られただけあって、近い雰囲気。オーケスストラをバックにアコギの弾き語り。美しい。4.Driftin' Bluesいにしえのブルースの先人達のように、アコギ1本で力まず渋く歌う。5.Christmas「TOMMY」収録の曲。ここではコーラスなしで、アコギ&ピアノのシンプルな編成。6.Pictures Of Lilyドラムは入っていないが、もうかなり完成している。いい曲はシンプルな編成でも充分説得力がある。7.Don't Let Go The Coatケニージョーンズがドラムを重ねている。まとまっていて悪くは無いが、あまり面白みはない。8.The Kids Are Alrightこれもギター・ベース・コーラスのみだが、充分にいい! 初期の曲はシンプルな編成でも伝わってくるものがある。9.Prelude, The Right To Write美しいピアノの響きのバックでストリングスが聞こえる。実はシンセサイザーを16個のスピーカーから出してマイクで録音したとのこと。実にいい空気感が出ている。10.Never Ask Meストリングス&ピアノをバックに歌うスケールの大きい曲。バンドでレコーディングされなかったので、シナトラのためにクインシー・ジョーンズに送ったが、何も聞かなかったとのこと。11.Ask Yourself「風の谷のナウシカ」のBGMのようなシンセサウンドにのせて、コーラスやジャラーンとしたギターの音が入ってくる。ディレイのかかった広がりのあるサウンド。12.The Ferryman怪しいオーケストラの響きにのせて語り、歌う。ロックオペラというより、もはや「オペラ」の領域かと思わせる曲。13.The Shoutパキッとした音色のアコギ。暖かみのある音色のリズムマシンの感じやコーラスの入り方も相まって、どことなく民族音楽の香りがする。
テッド・ヒューズによる童話をロックオペラにしあげた作品。peteのソロというよりも、
pete劇団によるミュージカルといった印象。THE WHO名義の曲も2曲収められている。
ちなみに、この作品の姉妹版とでもいうべきピート・タウンゼント総指揮によるアニメ映画「アイアン・ジャイアント
」は感涙もの。ストーリーは単純だがいい映画だ。
[各曲解説]
1.I Won't Run Any More
遠く聴こえる鐘の音、 コーラスに続いて叫び声、そしてジャカジャーンとPeteのギター。 かすかに聴こえるシンセのシーケンスフレーズ。 オープニングにふさわしくpositiveな言葉が並ぶ。 森の生き物達に取り囲まれた、主人公のHOGARTHと森の生き物達とのかけあい。2.Over The Top
アコギに続いてエレキのオブリガード。 バラバラになっていたIRON MANの体がひとつに集まる。 solidier達のコーラスを従え、ジョン・リー・フッカーが渋い声で歌う。 「自分の命がどこで始まったか知らない、でも僕は恐れを知らないIRON MANだ」。3.Man Machines
IRON MANは彼の行く至るところで金属を喰らう。 次のdigへの橋渡しのような曲。4.Dig
IRON MANに罠を仕掛けるシーン。 THE WHO名義。「won't get fooled again」をソフトにしたような雰囲気の曲。 もちろんストーリー中では罠のために穴を掘るという意味だが、 IRON MANの物語を離れても深読みできる歌詞。5.A Friend Is A Friend
か細い声でpeteが歌う美しいメロディー。加わってくるコーラス、フルートの音色などが、 ドラマを盛り上げる。HOGARTHを一度は信頼していたIRON MANを欺いて罠にかけてしまった彼が「友達」であることとはどういうことかについてあれこれ考えるシーン。6.I Eat Heavy Metal
地中から蘇ってきたIRON MANが金属を喰らう。繰り返すギターのフレーズ、 鋭いシンセの音色、シタールなどが機械っぽさ、無気味さを煽る。7.All Shall Be Well
HOGARTHはIRON MANを説得してスクラップ場に住んでもらおうと思い付く。 静かなピアノから始まる曲だが、 やさしく歌う声が徐々に力強さを増してゆく。 サビは「ALL SHALL BE WELL」と歌うコーラスと主旋律の絡みが格好いい。8.Was There Life
HOGARTHは地球にむかってくる星を見あげ、 そこに美しい少女の顔を見た。彼は恋に落ちた。 切な気なピアノのイントロ。「ブラックマジックウーマン」のようなリズムにのせて、 恋心が歌われる。時折り絡む怪しい和音が危険な恋を予感させる。9.Fast Food
星は地球に到達した。でもそれは恐ろしいスペース・ドラゴンだった。 地上の武器は通用しない。スペース・ドラゴンは「Fast Food」を欲しがる。 でもその「Fast Food」は…「生き物」だった。このままではこの惑星は破滅してしまう。 オルガンの音色が怪しさを盛り上げる。NINA SIMONEが怪演。10.A Fool Says...
ガット弦のギター、アコースティックベース、低音のピアノ。パーカッション。 怪しいラテン系の雰囲気。「Was There Life」の続きのようなリズムに乗せて、 HOGARTHは不用意な恋心を恥じる。ストリングスが加わって、ラストはコーラスと叫び声。11.Fire
HOGARTHはIRON MANに助けを求める。IRON MANはスペース・ドラゴンと闘うことになった。勝負は「熱」への耐久。IRON MANは融点ギリギリの炎に、 スペース・ドラゴンは太陽の炎に挑む。世紀の一戦を盛り上げるTHE WHOの演奏。 ハード・ロック!って感じのサウンド。シンセブラス、固めのベースの音、ドバーン!と響くドラム。パワフルなボーカル。プロレスの入場テーマにしてもよさそうなアレンジ。 (あまりTHE WHOっぽくないかも。)12.New Life/Reprise
降参したスペース・ドラゴンはひどいやけどをした。IRON MANはヒーローとなった。 IRON MANはスペースドラゴンに月の裏側で平和に暮らすようにすすめる。 平和の訪れを告げるポップなメロディー。 まさにミュージカルのエンディングという感じの曲調。 最後は「All Shall Be Well」がリプライズされてフィナーレ。
Ray Highという年老いたロックスターに自らを重ねた自伝的アルバムとされるが、
ここに描かれたストーリーは奇しくも、
後のpete自身の例の児童ポルノ疑惑逮捕を予言するようなものとなっていた。
ここに作られた筋そのものよりも、この筋の隙間からにじみ出てきている、pete自身の様々な心情が心を打つ。
(この作品はドラマ・セリフ入りの「通常盤」と、
それらをカットした「music only盤」の2種類がある。ここではmusicの解説に絞っていくつもりだが、歌詞との関連等で必要と思われる点についてはドラマの内容にも多少触れている。)
[各曲解説]
1.ENGLISH BOY
Ray Highを60年代の化石と口汚くののしるラジオDJのコメントと闘うようにして叫ぶ。 「きちんとしつけられた英国の少年さ」と始まる詞は、 teenの代弁者だった初期のTHE WHOを思い出させる。2.MEHER BABA M3
Ray Highが70年代に作った曲を聴き返す場面。ギターのかけあい、歓声、そしてWHO'S NEXT風シンセ。ただしドラムのサウンドはやや後の時代風か?3.LET'S GET PRETENTIOUS
評論家を揶揄するような詞。POPシーンとの闘いに挑むロックスター。Ray Highの心に秘めた決意を歌う。 サウンドは80〜90年代初期のクラプトン風。ブラスも入って華やかな曲。4.MEHER BABA M4
「Who are you?」辺りを彷佛とさせるシンセループ。じっくりと聴いているとトリップする。5.EARLY MORNING RDEAMS
機械っぽいコーラスから、「フラワー・イン・ザ・ダート」の頃のポール・マッカートニー風のポップなメロディーへと展開。中間部を聴いていて「SELL OUT」のラジオジングルを思い出した。6.I WANT THAT THING
王道ブルース進行に従って、「that thing」が欲しいと歌う思わせぶりな詞。間奏のアンサンブルは、どことなくバグパイプ風。7.OUTLIVE THE DINOSAUR
アコギのカッティング。16ビートファンク調のクールな曲。 生命の栄枯盛衰を歌い「俺は恐竜よりも生き延びたい」と歌う。8.now and then
崇高な感じのオルガンのイントロから、リズミカルなベース、パーカッション、シンセクラビが入り、ファルセットによるコーラスが聴こえてくる。淡々と歌うパートはピーター・ガブリエルのような雰囲気。9.I AM AFRAID
この「I AM AFRAID」と次の「DON'T TRY TO MAKE ME REAL」はどうにも例の児童ポルノ疑惑事件との関連で聴いてしまう。15才の少女との交際が明らかになるシーンという設定で使われているこの曲は、プリンスのようなリリカルなピアノと下降するベースライン、切ないベル系の音色がどうにも心に染みてくる。10.DON'T TRY TO MAKE ME REAL
「ロリコンの変態でも構わない」と少女への恋を悲壮なまでの決意で歌い上げる曲。この曲はフィクションのストーリーの中の1曲なのだが、ついつい深読みしたくなるテーマだ。例の事件の真相はよく分からないし、興味もないけれど、もしこの曲がpete自身の隠された心情をフィクションに託して歌われた曲だったとしたら…。「現実の恋人にはなれないよ 俺を生身の存在にしないでくれ」というメッセージはあまりにも突き刺さってくるものがある。11. PREDITABLE
16分のノリで細かく刻むアコースティックギター。古きよきロックンロール調のコーラスとブラスの絡むリズムのノリが面白い。12.FLAME
ロズリンド・ネイサンのナンバーワンヒットという設定の曲。確かにいかにもヒットチューンな感じの曲。 大映テレビのドラマで麻倉未希辺りのカヴァーが主題歌になりそう。13.MEHER BABA M5
ちょと古臭いシンセの音。まさに「WHO'S NEXT」調。14.FAKE IT!繰り返すエレキギターのアルペジオ、フレットレスベース、ミュートしたギターがリズムを刻む。サビでは分厚いコーラスで「FAKE IT!」と皆で歌う。「お互いみんな分かっていて演技しあっている」という内容。この「サイコデリリクト」の物語のひとつのオチとして考えればつまらん展開だが、本編ドラマを離れて、ひとつの楽曲として考えてみると非常に深いメッセージではないだろうか?15.ENGLISH BOY(REPRISE)
1曲目のものよりも長尺。ドラムとブルースハープによるイントロ。後半は1分強のハードロック調ギターソロに合わせて、「stand up!」と叫ぶ。次第に熱さを増すボーカル。ラストはイギリスの朝を思わせる犬の吠える声や鳥のさえずりのSE。