さあ 新しい芝居がはじまる 客席にはうす暗い夕焼けみたいな灯り 僕は後ろをふりかえりながら きしんだ椅子に腰掛ける 最初に現れたのは着飾った犬だ 偉そうに帽子をかぶって 何でも知っているようにしゃべりはじめる “いいかげんであることを罪とするなら…” 出だしのひと言をしゃべり出したところで 三人の男が現れて 実は何も知らなかった犬の 飾りをとっぱらってそこから連れ去ってしまった 空っぽになった舞台には 玉乗りの玉だけが 乗ってくれる誰かを探すこともできず 次に何かが起こるのを待っていた BGMだけが鳴り続け やがてそのBGMもテープが終わり聞こえなくなった そこにはただ 何かがカラカラ回っている音と 夕焼けのような光が残っていた 新しい芝居なんて結局なかったんだ 解ったふりして見ていた僕こそが ずっと何かを演じていたのかもしれないトップページへ