Brian May Fryer Mayhem
Overdrive Pedal
 

By Shiro





 このページではフライヤーのオーヴァードライヴ・ペダル“メイへム”についてご紹介したいと思います。
 
1:成り立ち

 話は1999年の12月にさかのぼりますが、当時僕はすでにフライヤーのブライアン・メイ・トレブルブースターを手に入れそのサウンドにとても満足していました。ブライアン自身が他の歪み系のペダルを用いずにあの素晴らしいサウンドを作り出していた事実と、僕自身もペダルの歪みは真空管の歪みにはかなわないと確信していたことから他のペダルを用いることなく、トレブルブースターを常にフルアップにして使用していました。このトレブルブースターのみで得られるサウンドで僕は満足していたものの、ブライアンのようにAC30のヴォリュームもフルにすることは狭くて防音装置のない我が家では不可能であり、やはりリードなどを弾いている時に、「もう少し歪みが欲しいな」と思わずにはいられませんでした。そうなるとやはり歪み系のペダルをさらに接続して歪みを得るしかないわけですが、なかなかこれといった歪み系のペダルが無かったため、僕はブライアンのなめらかな歪みを再現するためのペダルの必要性を強く感じていました。それゆえ当時僕はフライヤーさんに対してブライアンのサウンドを再現するためのオーヴァードライヴを製作してみてはどうかと提案しました。僕がフライヤーさんに要求したのは、

@トレブルブースターと併用することを前提としていること
Aヴォックス AC30に接続することを前提としていること
Bギター側のヴォリュームを絞った際にクリーン・トーンが得られること

の3点でした。
 そして当時フライヤーさんも僕と同じく正しくブライアンのサウンドを再現することが出来るオーヴァードライヴ・ペダルの必要性を感じており既にディーキー・アンプの回路をもとに、ゲルマニウム・トランジスターを用いたオーヴァードライヴ・ペダルの開発に取りかかっていました。当時は“ディーキー・ドライヴ”というモデル名によって開発が進められていました。これから試行錯誤が繰り返されていくわけですが、フライヤーさんは僕からの提案も聞き入れてくれてギターのヴォリュームを絞った際にクリーン・トーンが得られるようにしてくれました。また完成直前の段階になってディーキー・アンプのサウンドも再現することが可能になるように改良されました。そしてフライヤーさんはブライアンにテストしてもらって判断を仰ぎ、ブライアンから発売の許可を得て、ブライアンと話し合った結果“メイへム”と命名して発売するに至りました。
 発売されるにあたってはブライアンと日本のファンとの強い関係をフライヤーさんが考慮し、また僕がいろいろと口うるさく要求したこともあって初回限定色のブライト・レッドを日本で、それも我がRed Special HPで先行発売することが実現し、とても嬉しく思いました。以下は“メイへム”の説明書、もちろん英語です。


Brian May Fryer Mayhem
Overdrive Pedal

When used with the Brian May Fryer Treble Booster or Ringmaster first in line, the "Mayhem" pedal gives the full volume overdriven VOX AC30 Brian May sound without the need to have loud amplifier levels. "Mayhem" is footswitched on-off.
 


2:仕様

 続いて“メイへム”の仕様についてですが、もともとブライト・レッドは初回限定のはずだったのですが、どうも基本色になってしまったみたいなので色はブライト・レッドになります。操作系はヴォリューム、トーン、ゲインそれぞれのノブとオン・オフ・フット・スイッチです。もちろんオン・オフを示すインジケーターも備わっています。電源は9Vの電池を使用し、ACアダプターなどは付いていません。これはフライヤーさんが電池の方がより安定して電力を供給することが出来、ACアダプターを使用すると音色が悪化すると判断したためです。

3:サウンド

 さて肝心のサウンドですが、音に関して伝えるというのはとても難しいのですが、僕が思うにとても個性的なペダルだと思います。
 まずフル・ドリヴンAC30サウンドを再現する場合ですが、前述のようにトレブルブースター(それもフル・アップしたトレブルブースター)と併用することを前提とされているので、トレブルブースターなし単体で使用するとどうも気が抜けたような感じすらします。しかしトレブルブースターの後に接続してやるとトレブルブースターからのシグナルに変に色を加えることなく素直にドライヴさせていると思います。そしてよくあるオーヴァードライヴのように変に音が濁る事がなくAC30らしい透明感をしっかりと保って、心地よい歪みを与えてくれていると思います。
 しかしセッティングがかなり難しいとも思います。僕としてはまず“メイへム”のノブを全てセンターにし、スイッチをオフにしてギターのヴォリュームも絞り気味の状態でのサウンドの音色と音量をきちんとチェックし、次に“メイへム”をオンにしてオフの時と同じ音色・音量になるようにそれぞれのノブを調整してみます。とりあえず音色・音量がオフ時と同じになったら、ギターのヴォリュームを上げて、今度は自分の好みの歪みに合わせてゲインを調整してやります。こうしてやればまたギターのヴォリュームを下げた時にわりとスムーズにクリーン〜クランチと変化させることが出来ると思います。
 次に伝説のディーキー・アンプのサウンドを再現する場合ですが、この時は“メイへム”のゲインとトーンをフルにしヴォリュームはアンプ・“メイへム”ともに抑え気味にしてやればOKです。これはかなりコンプレスされたサウンドで確かにクイーンの数々の曲で聴くことが出来る“あのサウンド”にかなり近いと思います。あの少しチリチリした感じが良く出ています。まあディーキー・アンプの回路をもとにして設計されているので当然といえば当然なのでしょう。
 最後に少し注意点を書いておきます。“メイへム”の特徴のひとつは小音量でフル・ドライヴされたAC30のサウンドを再現することですが、いくら小音量といっても限度があります。このペダルの性能をフルに発揮してやろうと思ったらやはりトレブルブースター・AC30と併用し、必要最低限は音量を上げてプレイするべきです。その時のサウンドたるや本当に素晴らしいものです。このような歪みは他のギター、アンプ、ペダルでは得ることが出来ない、まさしくブライアン・メイのサウンドです。そして最近はブライアン本人もこの“メイへム”を愛用しています。“メイへム”を使えばAC30のヴォリュームをフルにしなければ得られなかったサウンドがわりと音量を下げた状態で出す事が出来る、この事はブライアン本人にとってもとても喜ばしいことだったのです。なぜならブライアン自身もAC30は音が大きすぎると考えていたのですから。とにかくこのペダルは画期的なペダルだと僕は思います。手に入れる価値は十分にあると思います。
 
 

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