ブライアン・メイの使用エフェクター:1982 to 1986

by Shiro






 このページではブライアン・メイが1982年から1986年までの間、ライヴ、レコーディングにおいて使用したピート・コーニッシュ氏製作のエフェクト・システムについて紹介します。

 以下で紹介している画像はコーニッシュ氏がブライアンのために製作したシステムのものです。
 

 次に紹介する資料は、コーニッシュ氏がこのHPに掲載するために筆者にFAXで送付してくれたものです。


PETE CORNISH ROUTING SYSTEM FOR BRIAN MAY - QUEEN.

I'm sure that the following brief description of that Brian May stage system I designed and built in July 1982 will be interest to you:
from the guitar:-
a) custom line driver;b) 100ft custom guitar lead;
c) custom FX pedalboard containing:-
1) Input isolator,
2) Permanent Treble Boost,3) Switchable Treble Boost 2,
4) Modified Phaser with foot operated speed pedal,
5) Modified Boss Chorus,
6) Outputs to remote rack unit,
7) Remote footswitches for rackunit.
d) Rack Routing Unit with feeds to 14 Vox AC30s all modified by me;
 2MXR digital delays;
 remote controls for 3 chorus amps;
 3 amps via Delay 1;3 amps via Delay 2 and 5 clean amps.
In addition I designed and built a power voltage regulator as it was essential to provide exactly 240Vac to each amp to maintain the tone day to day.
The system was illustrated and described in the August 1986issue of the US magazine “Guitar Player"

Yours Sincerely,
Pete Cornish


さらに次に紹介する資料は上の内容を補足するもので、これもコーニッシュ氏がFAXで送信してくださいました。


1) I designed a Line Driver to send, without losses, the signal from Brian May's guitar down the 100ft (33m) custom cable that I made. The Line Driver was situated on the guitar strap so the cable from the guitar was only 0.3m long and consequently loss free.

2) The second Treble Boost was added to allow for extra drive during certain solo passages - but please don't ask me which.

3) The Chorus was indeed a Roland CE-1 with some serious modifications added by me.


I can tell you that I did indeed fit Foxx Phasers into Brian May's pedalboards and the modifications I did are as follows:
1) As the Foxx speed control pedal was badly worn I moved the petentiometer to a Cry Baby chassis and fitted this on top of the pedalboard.
2) I replaced the Foxx bypass switch with one of our own heavy duty bypass switches which I fitted into the Cry Baby chassis.
3) I took the circuit board out of the Foxx chassis and fitted it into the pedalboard as it was too large to fit inside the Cry Baby chassis.
4) I built a 9Vdc supply also in the pedalboard to power the Foxx Phaser.
5) I did NO modifications to the audio circuitry of the Foxx.


Roland CE-1 mods involved level matching to allow the Treble Boost signal to pass through un-attenuated.

VOX AC30 mods involved upgrading the power supply to reduce the hum, removing all the tubes associated with the vibrato and the bright channel, cabinet modifications to improve the cooling air flow.



 

 以上コーニッシュ氏から頂いた資料をまとめてみましょう。
 まずギターからのシグナルはカスタム・ライン・ドライヴァーに送られます。
 ライヴではブライアンは長さ33mのシールドを使用することから、シグナルの劣化を防ぐ為にこのライン・ドライヴァーが使われました。
 このライン・ドライヴァーはストラップに固定されていたそうです。そしてエフェクト・システムのコントロール・ボードにシグナルは送られます。
 
 それではペダル・ボードの回路内をシグナルの通過順にご紹介します。
 

1)パーマネント・トレブル・ブースター:
 現在一般でも購入できるペダル・タイプの回路をそのまま組み込んだもので、ペダル・タイプ同様フット・スイッチは備わっていません。

2)スイッチャブル・トレブル・ブースター:
 ギター・ソロを演奏する際、より歪みを得る為に組み込まれたもので、回路自体は前述のものと同じですが、フット・スイッチが加えられています。

3)モディファイド・フェイザー(スピード・コントロール・ペダル付き):
 フォックス・ペダル・フェイザーにコーニッシュ氏が改造を施したもので、主な改造点は

4)モディファイド・ボス・コーラス:
 正しくはローランドのCE−1で、トレブルブースターからのシグナルが損なわれないようにレヴェル・マッチングのモディファイが施されています。


 以上がペダル・ボードの内部です。ペダルボード(画像)を見てもらえば分かりますが、ペダル・ボード右側に上で紹介したクライ・ベイビー以外のフット・ペダルを確認できます。これはイーヴンタイド社のハーモナイザーのコントローラーです。ハーモナイザーはどのエフェクター、アンプにも接続されておらず、PAシステムに接続されています。このコントローラーからのシグナルはマルチコア・ケーブルを通過してラック・ルーティング・ユニット(画像)に送られ、そしてPAシステムに送られます。

 通常のギターからのシグナルはこのペダル・ボードからラック・ルーティング・ユニットに送られ、ラック・ルーティング・ユニットから2台のMXR社のデジタル・ディレイにシグナルが送られます。(もちろんこのディレイのオン・オフ・スイッチはエフェクト・ボードに備わっています)。2台目のディレイは1台目のディレイ・タイムの2倍のディレイ・タイムに設定されており、これによりあの「サウンド・オン・サウンド」と呼ばれる独特のプレイが可能になるわけです。

 そしてこれらのエフェクトを通過したシグナルは、コーニッシュ氏の手による出力回路を経てVOX AC30アンプに送られるのですが、アウトプット端子は全部で14つ備わっています。
 

の、計14となります(ルーティング・ユニットの画像をご覧になれば分かりますが、クリーン用のアウトプットは3つしか見当たりません。これはコーニッシュ氏がこの写真を撮影した後にブライアンからクリーン用アウトプットを5つにして欲しいと依頼されたためです。クリーン・アウトプットのヴォリュームの横に2つのねじがあるのが確認できますが、ここに2つのアウトプットが追加されました)。この14つのアウトプットからシグナルを送られる14台のAC30は全てハム・ノイズを取り除くためのパワー・サプライのアップグレード、真空管の冷却効率を高めるためにキャビネットへのモディファイが施され、ノーマル・チャンネル以外で使用される全ての真空管は取り除かれています。

 それでは次に何故アウトプットが14つも設けられているのか?ということですが、たとえばライヴ演奏中にあるアンプが故障してしまった場合、あらかじめ予備のアンプにインプットしてスタンバイ状態にしておけば、いちいちアンプを交換しなくてもよいためと思われます。

 さて以上で述べたエフェクト・システム以外にもコーニッシュ氏は“a power voltage regulator”(いわゆる変電圧機:画像)も製作しています。というのもイギリスの電圧は240Vですが、アメリカでは117Vそして日本はご存知100Vとなっています。ギター・アンプやこういったエフェクト・システムにおいて、電力が音質に与える影響は大変大きいものです。そのため、どの国で演奏しても、常に一定のギター・トーンを保つ為には、こういった装置は欠かせないものなのです。

 現在入手可能なピート・コーニッシュ製品の情報は株式会社パシフィクスのホームページでご覧になれます。

 貴重な資料を提供してくださったコーニッシュ氏、本当にありがとうございました。
 
 

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