Rangemaster Treble Booster
By Shiro
ブライアン・メイのギター・サウンドを形成している主要な要素といえば、レッド・スペシャル、ヴォックス・AC30アンプ、そしてトレブル・ブースター、そして6ペンス・コインである。これらの組み合わせ無くして、あのサウンドを得ることは出来ない(弾き手がブライアン・メイであることが最も重要なのは言うまでもない!)。
ブライアンは1975年に、イギリスのエフェクト・エンジニアであるピート・コーニッシュ氏に、それまでブライアンが使用していたトレブル・ブースターの改良を依頼し、以後コーニッシュ氏が組み立てたトレブル・ブースターを近年まで愛用してきた(1998年からはグレッグ・フライヤー氏が製作した物を使っている)。
ここで問題なのが、ブライアンがそれまで使用していたトレブル・ブースターに関していくつかの異なる説があり、はっきりしていないという点である。ブライアン本人は近年のインタビューで、最初に使っていたトレブル・ブースターは自分で作った物で、ダラス社のレンジマスター・トレブル・ブースター(これについては後述)をベースにしたものだという。
しかし、レッド・スペシャルのリペアを担当したグレッグ・フライヤー氏のインタビューによると、ブライアンは元々レンジマスター・トレブル・ブースターを使っていたが、ある日のギグでローディが誤ってなくしてしまったため、ブライアンの父ハロルド・メイがレンジマスター・トレブル・ブースターの回路に手を加え自作した物を愛用していたという。
もうひとつの情報として、1975年にブライアンに依頼されトレブル・ブースターを製作したピート・コーニッシュ氏によると、ブライアンが元々使用していたのは、ジョン・ディーコンがレンジマスター・トレブル・ブースターを元にして自作したものだというのである。
このように最初のトレブル・ブースターに関して、ブライアン本人、そしてブライアンの為にトレブル・ブースターを製作したコーニッシュ氏、フライヤー氏の説明は食い違いを見せている。筆者にはどうしてもコーニッシュ氏とフライヤー氏が嘘をついているとも思えない(両氏はおそらくそのような説明をブライアン本人から受けてそう語ったのではないだろうか?)。というわけでブライアンが元々使用していたトレブル・ブースターは今だはっきりしないが、いずれの説が正しいにせよレンジマスター・トレブル・ブースターが基になっているのは間違い無いようである。
レンジマスター・トレブル・ブースターは1960年代中頃に、イギリスのエフェクター・メーカーであるダラス社のジョニー・ダラス氏によって作られたエフェクターである。このモデルはかのエリック・クラプトンが、ブライアンにとってのバイブルでもある名盤“John Mayall and Bluesbreakers”のアルバムで使用したといわれているし、故ロリー・ギャラガーが長年愛用していた事は有名である。(ロリーはブライアンに大きな影響を与えた人物で、彼もヴォックス・AC30アンプとレンジマスター・トレブル・ブースターを組み合わせて使用していた)。またブライアンの大親友であるブラック・サバスのギタリスト、トニー・アイオミも使用していたと言われている(ブライアンが後にピート・コーニッシュ作のトレブル・ブースターを使い始めたのと同様に、トニーもまたピート・コーニッシュ作のオーヴァー・ドライヴァーに換えたようだ)。残念ながら筆者はオールドのレンジマスターを実際に見た事は一度もなく、インターネット上でも殆ど画像を見た事はない。しかし現在このレンジマスターのレプリカが発売されているので、そちらのレプリカについて以下で紹介したい。
このレプリカはアメリカ、LAでギター・アンプ・エフェクターのリペア・販売を行っている、ドン・バトラー、通称トーン・マンなる人物が製作しています。このレプリカのインフォメーション・シートを以下紹介します。
RANGEMASTER'
This box is an exact electronic reproduction of the original Dallas Rangemaster Treble Booster made in the mid sixties by Johnny Dallas. Johnny later went on to form a partnership with Ivor Arbiter know as Dallas-Arbiter that developed the Fuzz Face, Fuzz Wah and Sound City Amps.
This circuit is a very primitive Treble/Gain Boost and can give you up to a 18db boost in signal. It also kicks the front of your preamp up and gives you harmonics that aren't normally there.
The prime example of this box can be heard on the John Mayall and the Bluesbreakers featureing Eric Clapton. This is the box that gave Eric that tone we've all searched for. It was unknown for several years as most people assumed that it was the combination of his Les Paul and Marshall combo that gave him that distinct sound. This is the missing link to that tone.
Rory Gallagher also used one in the mid sixties into the normal channel of his AC-30 VOX to squeeze out more sustain . As well, recent articles in major guitar magazines have shed light on the fact that Brian May and Tommy Iommi used the Rangemaster as well.
Original units are becoming increasingly hard to come by and the last price I was quoted was nearly $500.
USE: Plug guitar into input and patch cable into the output to your amp. Flick switch and adjust gain pot. This box is best used with an amp that's at moderate to high volume (from 4-8). Also use the normal channel of your amp, not the treble boosted channel. A guitar with humbucking pickups is best suited for this unit. Single coil pickups type guitars will work with this but will not gain the harmonic character as well. Being this unit is an exact reproduction of the sixties model, you may notice noise or hiss. This is normal with nearly all effects from that era. Anytime you add gain to a circuit, you will add some amount of noise. This is true with any gain or treble increase.
インフォメーション・シートの内容は以上の通りで、既に筆者が上で説明した内容と重なる部分が多いので、邦訳は省略しますが、ポイントはオリジナルを忠実に再現したモデルであり、ノイズ対策がまったく施されていないという点です。筆者はこうしたノイズに対しては無頓着で、まったく気にならないのですが、筆者が最も気に入らないのはフット・スイッチを踏み込んだ際のノイズの大きさです。踏み込んだ際の「カチッ」という音そのものがノイズとなってアンプから飛び出すのにはビックリしました。
しかしこのフットスイッチ、実はかのフルトーンの3PDTというフットスイッチを採用しており、オフの時には完全にバイパスとなり、ハイ落ちなどを防ぐそうです。しかしトレブル・ブースターは常にオンで、アンプの一部として使用するものと筆者は解釈しているので、あまり意味がありません。
肝心のサウンドですが、フル・レヴェルで使用してもブースト・レヴェルが18dbということで、わりとおとなしいと感じるサウンドで、音が暴れることも無く、インフォメーション・シートにある通り、レス・ポールとの相性には素晴らしいものがありました。特にPUセレクターをミドルにした際のクリスピーなサウンドは弾いていてかなり気持ちのいい音でした。
興味のある方はトーン・マンのHP(http://www.tone-man.com/default.htm)をご覧になってみてください。