Treble Boosters!!!

By Shiro




 この項ではレンジマスター・レプリカ、ギルド・ブライアン・メイ・ブースター、コーニッシュ・トレブル・ブースト、フライヤー・ブライアン・メイ・トレブル・ブースター、4台のトレブル・ブースター(画像)の筆者によるサウンドの比較の結果を報告したい。

 まずこの比較を実際に行ってみて、筆者は本当に良かったと現在感じている。というのも筆者は長い間コーニッシュをメインとして使用し、ほとんどギルドとレンジマスターを使用することは無く、それらのサウンドをすっかり忘れてしまっていた。しかし今回こうして新たに他のモデルと弾き比べてみることによって、正直言ってギルドもレンジマスター・レプリカも捨てたものではないと実感できたからである。

 比較するのに使用したのはギルド・ブライアン・メイ・シグネチャー・モデル、ヴォックス AC-30、シールドはEx-Proである。筆者は基本的には各トレブル・ブースターをフル・レヴェルで使用、またアンプのチャンネルは“ノーマル”チャンネルを使用、イコライザーはいじっていない。
 
 

1.FRYER BRIAN MAY TREBLE BOOSTER
 

 まずは現在ブライアン・メイ本人がメインとして使用しているフライヤーである。

 現在ブライアンがメインで使用しているだけあってこのトレブル・ブースターをかましただけで、非常にブライアンに近いサウンドがアンプから飛び出してくる。

 高音域をブーストし、音にエッジを与えてくれるわけだが、決して耳障りではない。特にクリーン・トーンにおけるそのサウンドの美しさは他のモデルを圧倒している。

 このモデルの最も特筆すべき点は、その豊かな中音域である。高音域をブーストしていながらも、中音域が非常に豊かなので、決して音が細くなるようなことは無く、シングル・ノートにおいても、あたかもコンプレッサーがかかったかのような心地よい伸びやかなサウンドを与えてくれる。

 ブースト・レヴェルであるが、このモデルは割と控えめな印象を受ける。これは中音域が強いために、あまり高音域が暴れない為かもしれない。

 とにかくこのモデルは素晴らしい。やはり4台中もっともブライアンにニュアンスが近いといえる。中音域が強いという点でとても弾き易く、ただしくコーニッシュの進化系といった印象である。
 
 
 

2. PETE CORNISH TREBLE BOOST
 

 次に1975年以来ブライアンが長年愛用してきたコーニッシュである。

 このモデルはとにかくブースト・レヴェルが他を圧倒している。また非常に倍音が豊かなので、“Hammer To Fall”のコード・リフを弾いた時の気持ち良さは格別である。これは他を、フライヤーをも圧倒していると言える。

 とにかくこのモデルは良く歪む。エフェクト内部にブースター以外にオーヴァードライヴが内蔵されているのではないかと思うほどである。これは前述のとおり倍音がとにかく多いためであろう。

 またこのモデルはフライヤーに比べて高音域が強い印象を受けるので、音が暴れるような印象を受ける。しかし音が暴れると言っても、制御不能といった暴れ方ではなく、ロック・ギターには欠かす事のできない荒々しさをもっているのである。

 とにかく音が太い!是非ともヴォックスをフルにドライヴさせて弾きたいと思わずには居られなくさせる。またこのモデルの特筆すべき点は実はレス・ポールとの相性が抜群に良いという事である。レス・ポールにこのモデルをかますと、素晴らしく美しい歪みを生み出してくれる。それだけでもうあの「ジミー・ペイジ」のサウンドなのである。とにかくこれはエフェクターなどでは無い。完全にアンプの一部なのである。
 
 
 

3. GUILD BRIAN MAY BOOSTER
 

 お次はギルドである。筆者は長い間使用することは無かったのだが、久しぶりに使用してみると意外なことに「使える!」と感じてしまった。

 フライヤー、コーニッシュと比較すればギルドは明らかにコーニッシュ・スタイルである。これも高音が強く、少々音が暴れるような印象を与えるからである。

 フライヤーとギルドの差は明らか、その中音域である。しかし正直言ってコーニッシュとギルドの違いは分かりにくい。とくに今回のようにフル・レヴェルで使用した場合はである。ではレヴェルをきちんとアンプのヴォリュームと合わせてみるとどうだろうか?こうするとコーニッシュとギルドはやはり違うものだと確信せざるを得ない。ギルドの方がどうも音が細い印象を受ける。

 またコーニッシュの時のように“Hammer To Fall”のコード・リフをプレイしてみても、何かが違うのである。倍音の出方が違うのか、どうも硬い印象を受けるのである。

 しかしこうして改めて使用してみると、そんなに悪くはない。フル・レヴェルで使用した時の気持ち良さは十分にある。
 
 
 
 

4. RANGEMASTER TREBLE BOOSTER REPLICA
 

 さて最後にレンジマスター・レプリカである。

 これも意外だったのはこうして比べてみると、フライヤーにニュアンスが似ている、いやそっくりなのである。つまりあまり音が暴れることなく整合感があり、わりと中音域が豊富なのである。またブースト・レヴェルもフライヤー同様に控えめである。

 しかしやはり少々フライヤーとは違うようだ。フライヤーよりも若干倍音が少ないようだ。またクリーン・トーンにおいてもやはりフライヤーとは異なる。少々音が硬いのである。

 しかしこのモデルもヴォックスに程よいトレブルブーストを与えてくれ、心地よくドライヴさせてくれる。

 音の太さにおいてはフライヤー、コーニッシュにはかなわないが、手に入れるだけの価値は十分にあると思う。それにレス・ポールにかました時のクリスピーなサウンドはとても魅力的である。オールド・スタイルのロックンロールにはうってつけのモデルといえる。
 
 
 

5. RESULT
 

 それでは4台を弾きくらべての結果であるが、やはりニュアンスが最もブライアンに近いのはフライヤーである。値段もそれほど高くは無いので、ブライアンのサウンドに近づきたい方は迷わずこのモデルを購入されるべきである。

 しかし、もしもあなたが金銭的に余裕があり、フライヤーよりも強烈な歪みが欲しければ、そしてエリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、デヴィッド・ギルモア、ポール・マッカートニーらも使用しているという感動・優越感を味わいたければコーニッシュを購入することをお勧めする。しかしブライアンのニュアンスへの近さにおいてはフライヤーに少々ひけをとることは忘れずに。

 次にギルドであるが、これは現在非常に入手が困難であるので、もしもあなたがブライアン馬鹿…、もとい熱心なブライアンのファンならば、中古楽器店で見つけたら迷わずに購入すべきだろう。しかしもしあなたがすでにフライヤー、もしくはコーニッシュのオーナーだとしたら、ギルドをメインとして使用することはまず無いだろうと筆者は推測する。

 最後にレンジマスター・レプリカであるが、これは現在でも入手は可能である。もしあなたがエリック・クラプトンの“ジョン・メイオール&ブルースブレーカーズ”でのトーンが欲しければ、このモデルを試してみてもよいだろう。もっともフライヤーでも十分に“あの”サウンドを再現できると思うが…。

 
 
 

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