Fishmans/宇宙 日本 世田谷
この『宇宙 日本 世田谷』というアルバムは何と言われようが、フィッシュ マンズの最高のアルバムだ。 (1曲づつの単品勝負だとか、あの曲が収録されてるとか、他のアルバムのスゴ さを言い出されると、切りは無いです。まぁフィッシュマンズの曲も彼等自体も 凄いのだから、その辺は勘弁ということで許してください。) 『宇宙 日本 世田谷』はアルバムという型においての最大限の魅力を発揮し ている。一貫して胸の中に響きわたる静けさ。収録されている曲、その曲の並び 順、最初から終わりまで聴いた時のなんとも言えない流れの心地よさ。全てが計 算しつくされ、聴くもの皆に何らかの思いを残させる。 POKKA POKKAいきなり一曲目からすごいです。しーんとしてるイントロ20秒、そこから佐藤 伸治の歌声が入って、そして「眠ってる顔が一番好きだからーあぁ〜」と歌いき るまで。この一分間こそ、とっておきのお気に入り箇所です。この一分間って、 音が限り無く少なくされているから、その分、余計に声が響いてくるというか心 に突き刺さってきます。何回も聴き続ける度に「あぁ参るな〜」と思ってしま う。曲の方は静かでしんみりしてて、「そ〜っとしててね」みたいな感じです。 (う〜ん、自分でもよく解らん表現なんですけど、ごめんなさい) 歌詞の方は、前向きな気持ちで「どうにか楽しく暮らしていければね」というよ うな希望みたいなものにもとれるし、やっぱり暗いというかちょっぴり悲しい影 をどこかに落としている一面も窺えると思います。 こういった内容の歌詞に すごく共感してしまって、本当に自分はこれでもいいのかな?と。 不安に感じるけれ ど、やっぱりフィッシュマンズが大好きなんだなぁ〜とつくづく感じてしまいま す。 このPOKKA POKKA、素敵な歌詞と音楽、一曲目に本当に相応しいですね。 WEATHER REPORT「水の中をふわふわとただよっている感じ」と、誰かがフィッシュマンズのこと を例えていましたけど、この曲はまさにそんな感じなのかな?フィッシュマンズ だなぁ〜という代表曲だと思います。大きく広がりながらふくらんで、流れ吹い ていく風に飛ばされる。歌詞のイメージが通り抜けながらも飄々と浮かびます。 この曲を聴きながら、夏とも春とも思える季節が迎えにきてくれれば、これから ものんびりと生きていけますね。 どうしてこうも暮らしの中で見逃してしまうことが多いのだろうかと自問してし まいます。たくさんの楽しいこと、嬉しいこと、幸せなこと、当り前のこと。 在 り来たりの日々がどうして輝いてくれないのか? と、フィッシュマンズを聴く度に思 ってしまう。生きていくうえで、感じ取りかたやものの見方を少しだけ変えてい ければ、それはそう難しくないことだとは思うのだけど・・・ うしろ姿珍しい感じだと表現すれば、 あまりにも安易すぎるかもしれませんが・・・フィッ シュマンズの曲には無いタイプの曲だと思うけど、今までにも聴いたことあるよ うな演奏は随所には見られます。登り下りがあまりないというか、ずっと高いと ころにいるみたいな感じで流れていきます。多分、アルバムの前後関係からも、 考え計算しつくされてこう作られたのでしょう。テンポの良さと気持ちいいリズ ムの繰り返し。言うまでもなく心地よい曲なので大好きです。前から感じてたけど佐藤さんって、犬派なのかな?白い犬とか子犬という歌詞は 何回か登場してるけど、猫という言葉は出てないよね?どっかにあったかもしれ ないけど・・・(関係ないけど、たしか蛙はあった) IN THE FLIGHT名曲。まさに迷惑なほどまよいまどわされてしまう。以前はこの曲がとっても大 好きだったのね。今も好き嫌いで分けるのなら好きの部類だろうし、聴く度ごと の印象も良い曲だとは思うんだけど、なんだかな…。こんなにも好きになってい いのかな?と疑問を感じ始めてきた。 曲調はもの悲しくてさびしいくらい。 歌詞の方は少し不思議なんだけど、胸にきち んと伝わるものがある。 歌詞をなんと例えるべきか解らないけど、あえて言えば たぶん部分否定的人生だと考えてみる。未来の自分にウソを感じもながらも今の 生活はそんなに悪くもない。どうにか暮らしてゆければいいなぁ〜と、そんな思いで いたいのだけど、どこかで救われたい気持ちで居続ける。 『IN THE FLIGHT』って、フィッシュマンズを知らない大衆など、 みんなで真剣に 聴くような曲でないわけでしょ。 なんだかいけないことのようで、一人で聴いて おこうという感じの曲だと思ってしまう。 この曲のキーワード的なものが大まか だと「人」。一人の個人、自分やその内面、世界との接がり (全部曖昧でいい加 減な表現なんだけど、そんなかんじのものと思ってください) だと思うから、一度共鳴させられれば、素晴らしい体験となるとは思う。そうし てたくさんの誰かに、何気にそっとさり気なく聴く機会が訪れれば、きっと感じ るべき人には届くものなのでしょうね。 こうやっていろんなことを感じ考えているんですね、他人も私も。歌詞からの想 像を通して見えてくる世界は自分にかなり近いものがある。でも似ているけど決 して同じではなかった。感じ方や考え方でいくら共感できる部分があろうとも、 それはただの錯覚。この歌もそう、結局なにも語ってはいなくて、 「あぁそうなんだ〜」 と、納得して終わりになりました。これまでのこの行為自体にはかなりの部分で 自己否定も含まれているとは思う。この曲に対しても他の曲に対しても、ある部 分では求めているものが大きくなり過ぎて、それだけじゃ もう自分の中のいろい ろをなんにも解決できなくなってしまった。 すでに自分の底に辿りつけたかもし れないから、もうこれからは惰性で走り終わるのを待つだけなんだろう。 MAGIC LOVEこのアルバムでの頂上だと思う。前4曲からのつながりで盛り上がった気持ち。 そんな思いもこの曲によってため息をつかせられます。詳しくは こっち(シングルのところ)にあります。 バックビートにのっかって (→ 今の「バックビートにのっかって」)
この曲は今日もまた、ただ夜に鳴り響いています。静けさとか寂しさ。泣けてく
るほど膨らむ不安。瞳を閉じて耳をすませば、音は心の隙間をうめるように、そ
っと忍び込んでしまいます。だれもが抱える小さな不安とかどうにもできない思
い。悩みとか自信の無さを、ふっと忘れさせてくれたり、ちょっとなんだけど暮
らしの中で、一歩をふみだせるようにしてくれるものが音楽なんですかね?
最後に『宇宙 日本 世田谷』を買ってからの思い出 発売日当日、夏期補習の帰りがてらに行き着けのレコード店に駆け付けてみれ ば、初回盤はラスト一枚しか残って無くて、危ないところだった。 (当然買うな ら初回に限る。) 帰る電車の中で友達と二人で聴いていたら、この友達は「この 曲より前半の方がいいね」と言われた。この友人は音楽に関しては尊敬できたの で私は「そうきたか」と妙に納得してしまった。この当時、私の知人の中でフィ ッシュマンズを知っていたのはこの人だけだったし、好きなジャンルは違えど、 やはり音楽バカのすごい人だった。 夏が来るたびに、この『宇宙 日本 世田谷』を思い出す。ぜんぜん夏らしいイ メージなんかないのにね。ただこのアルバムが発売されたのは97年7月24日 だったから。この年の夏は暑かった。クーラーもまだ無かったあの部屋で、暑さ と戦いながらもこのアルバムを聴き続けていた。そんな毎日が私の懐かしい夏の 日々。きっとこれからも、夏らしい暑い日が来るたびに『宇宙 日本 世田谷』 を聴き続けると思う・・・ 08.28.1999 文 lucystone |
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