なっちゃんに新しい友達が出来たことを告げると、びっくりされた。
「めずらしいね。あんたが友達の話するなんて」
「そうかな?」
「あんた交友範囲狭いでしょ」
「うっ・・・その通りだけど。あ、3組の子なの」
「私も3組に友達いるよ。何て名前?」
「紺野珠美ちゃんだよ」
「何あんた、タマと友達になったのー?」
「知ってるの?」
「知ってるも何も友達ってその子だよ」
「なーんだ。でもなっちゃんとタマちゃんが仲いいなんて意外・・」
「どーゆー意味よ?」
「へへ。何でもないよ。あ、そーいや変な男にも会った」
「変な男?」
「うん。教室でいきなり話し掛けてきてさー。ギャル男は嫌いだって言ってやった」
「・・・あんた結構言うね」
「だって本当のことだもん。別に好かれる必要ないし」
「あんた男に興味ないの?」
「ないね」
「・・・・」
「なっちゃん好きな人いるの?」
「何よいきなり。教えない!」
「えー教えてよー」
結局はぐらかされて、教えてもらえなかった。
なっちゃんモテるんだよねぇ。この前も告られてたし。
でも彼氏はいないみたい。何でだろ?

まったく・・・どうしたものか。
職員室で、氷室は考えていた。
葉月と大滝は扱いにくい・・・しかも隣同士だ。
授業中に大声で喋るなど、分かりやすく妨害されればこちらも怒れるのだが。
別にうるさいわけではない。喋っているのだってほんの数回くらいだ。
葉月は居眠りをするのを。
大滝は授業を聞いてないのをやめてくれれば問題はないのに。
特に大滝はうかつに問題もあてられない。
「なぜあんな難しい問題を暗算で・・・」
昨日から気になってしょうがなかった。
・ ・・よし。聞いてみよう。
私は大滝の前の学校に電話をかけることにした。
あそこには知り合いがいるから、何か教えてもらえるだろう。
「はばたき学園の氷室と申しますが・・・」
事務員にそう言って、とりついでもらう。
「もしもし?」
「私だ。氷室だ」
「お前か。久しぶりだな。どうした?」
「聞きたいことがある。お前の学校に大滝蓮という生徒がいただろう?」
「・・・あぁ大滝か。中学の時までいたよ。何でお前が知ってるんだ?」
「今はうちの生徒だ」
「そうなのか。まさかもう問題起こしたのか?」
「もう、とは何だ」
「え・・・いや何でもないよ」
「答えろ」
「・・・・ちょっと元気すぎるところがあってな」
「どういう意味だ?」
「そのうち嫌でも分かるよ・・・ところで何が聞きたかったんだよ?」
「あぁ。どんな生徒だったのかと思ってな。前から優秀だったのか?」
「優秀?あの子が?嘘だろ?」
「入試はほとんど満点だった」
「本当か!?いや、うちの学校じゃ普通くらいだったよ。ま、やればできたのかもしれないけどな」
「やらなかったということか?」
「ああ。宿題はほとんど出さないし・・・テストは赤点多かったし。学外の模試はよく出来てたけど」
「・・・・」
「いろんな意味で有名な奴だったよ。生徒には人気があったみたいだ」
「・・・そうか」
「忠告してやるけどな、あの子を理解するのは無理だ。教師に心を開かないからな」
「なぜだ?」
「さあな。とにかく関わらないのが一番だよ」

電話を切ってため息をつく。余計混乱した。
元気すぎるとはどういうことだ?
そんなにありあまるほど元気には見えないのだが。

この何日か後。
氷室は嫌でも友人の言葉の意味を知ることになったのだった。