結局。

個人行動してた私達は、なっちゃんとまどりんに怒られた。

鈴鹿君は肩をすくめただけで何も言わなかった。

「探したんだからー!どこ行ってたのよ?」

「いやーなんか波に押されちゃってさ。ごめんね」

「おい葉月!蓮ちゃんに何かせえへんかったやろな!?」

「・・・さぁな」

「な、なんやと!?」

「ちょっとアンタ黙りなさいよ。もー二人して協調性に欠けるんだから」

「なっちゃんお姉さんみたいだね」

「アンタが心配かけるからでしょーが」

タマちゃんが笑いながら言う。

「奈津美ちゃんは本当に心配してたんだよー」

「そうなんだ?」

「蓮ちゃんがどっかで乱闘してるんじゃないかって」

「・・・・・・そんな人を野獣みたいに」

ニコニコとタマちゃんは言うが、笑えないって。

「もう勝手にいなくならないでよ。それじゃもうそろそろ帰ろうか」

こうして夏の思い出は終わった。


今日は新学期始まりの日。

もう夏休みは終わりかって?

あの後特に何もなかったんだよねぇ。

珪君と1回だけ水族館行ったくらい。

本当はもっと遊びたかったんだけど、珪君はどっかに行ってたみたい。

電話したらはばたき市にいないって言ってたから。

知り合いの家って言ってたけど、休みの間中何してたんだろ?

珪君以外とは、割とよく会っていた。

なっちゃんやタマちゃんと買い物に行ったり、まどりんと耐久カラオケをしたりもした。

特筆すべきことがあるとすれば、私はヒムロッチに「性格改善講座」と称するものを1週間受けさせられた。

ただヒムロッチの質問に答えるだけなんだけど、私が何か言う度に「分析する時間をくれ・・・」って言うんだよー。

この講座で私の性格が変わったとは到底思えない。

先生も頭を抱えてたし。

でも案外怖い先生じゃないことが分かった。

勉強を教えてくれたりしたし、息抜きに海に連れて行ってくれたりした。

先生は車に乗るのが好きみたい。

てゆーかさ、先生と二人で出かけていいのかな・・・?

他には部活帰りの鈴鹿君と学校でばったり会ったりした。

バスケしてるうちに仲良くなって、スズカーって呼ぶようになった。

本人は嫌がってたけどね。


「いつまでも夏休み気分でいないように。たるんだ顔を引き締めなさい!」

ヒムロッチが早速お小言を言っている。

「ねぇ」

いつものように、隣の珪君に話し掛ける。

「・・・お前顔が緩んでるぞ」

「えっそうかな?珪君に会うの久しぶりだからだよ」

「・・・・・」

「夏休み何してたの?」

「・・・知り合いの家に世話になってた」

「それは聞いたよ。そこで何をしてたのかってこと」

「ちょっとな・・・」

「なーんだ、秘密なの?」

「そのうち・・・話す。それよりお前、前・・・・」

珪君の言葉は途中で途切れた。

「大滝!」

「は、はい!?」

横にはいつのまにかヒムロッチが来ていて、私を睨んでいた。

「君は夏休みの成果がまったく現れていないようだな」

「ハァ・・・」

「私のやり方のどこが間違っていたというのだ・・・?」

そう呟くと、分析し始めてしまった。

とりあえず助かったけど。

ため息をついた私の横で、珪君がおかしそうに目を細めてた。


帰り道。

今日はめずらしく一人。

校庭をダラダラ歩いていると、隅の方にコスモスが咲いていた。

「もう秋だもんねー・・・・」

ぼんやりと花を見つめていると。

「コスモスお好きなんですか?」

「え?」

声のしたほうを向くと、小柄な男の子が立っていた。

優しそうなメガネ君だ。

「あ、ごめんなさい。この花僕が育てたんですけど、ちゃんと見てくれる人がいて嬉しくて・・・」

「そっか。綺麗だね。私コスモス好きだよ」

私の言葉に、彼が嬉しそうに顔を輝かせた。

「僕も好きなんです。植物全部が好きなんですけど。あ、すいません。僕1年の守村桜弥といいます」

「私は大滝蓮。同じ1年生。レンは蓮の花のレンだよ」

「素敵なお名前ですね。僕の名前のサクは桜と書くんです」

「じゃ花の名前同士仲良くしよう!」

私がそう言うと、守村君はあからさまに驚いた。

「えっいっいいんですか?」

「・・私そんなに変なこと言った?」

「いいえ!あの、嬉しくて・・・是非お友達になってください」

「うん。よろしく」

人との出会いに偶然なんてないのかもしれないって最近よく思う。