「今年の文化祭の出し物は生ジュース屋でーす!」

実行委員の言葉に、ぱらぱらと拍手がおきた。

生ジュース・・・ねぇ

「ジュースは元から生じゃないのか・・・・」

めずらしく起きていた珪君が聞いてくる。

「その場で絞るってことでしょ?フレッシュとか言えばいいのに・・・」

ジュースと言っても、ミキサーでフルーツをガーっとやってハイっと渡すだけ。

体には良さそうだけどね。

「衣装についてはまた後で意見を聞きます」

そこで話し合いは終了した。

この学校での初めての文化祭が、楽しみじゃないと言えば嘘になる。

クラスの出し物も、別にいい。

けど、気分を萎えさせるような仕事があるんだよね・・・

それは昨日のこと。


「あなたが大滝さん?ちょっといいかしら?」

上級生らしき人に、いきなり声をかけられた。

「?何か御用ですか?」

胡散臭げな表情で問い返した私に、その人はにっこりと笑った。

「私は生徒会の副会長です。あなたの腕を見込んで頼みたいことがあるの」

「腕??」

「治安部隊をやってもらえないかしら」

「ちあんぶたい?」

さっぱり話が分からない。

私にできるのは、マヌケに問い返すのみ。

「文化祭には大勢の人がくるわ。勿論、あまり歓迎したくない人たちもね。治安部は騒ぎを起こした人間を排除するのが役目なの」

「それはつまりぶち倒せということですか?」

「平たく言えばね。あなたの噂は聞いてるわ。だからこそお願いしたいの」

「ハァ・・・・でも面倒なことには関わりたくないんですが」

「面倒にしない為にあなたが必要なの。圧倒的に強い人間が」

この人言ってることめちゃくちゃじゃない?

「んなこと言われても・・・」

「あなたにはどんな権限も認めます。何をしても結構よ。それにお礼はちゃんとするわ」

副会長はどんどん話を進める。

「でも・・・」

「お礼はタダ券でどう?学校内の全てのものに有効よ」

「やります」

気づくと即答していた。

でもタダって言われると弱いってゆーか・・・

「良かったわ。詳しいことはまた伝えるから」

そう言って、彼女は去って行った。


いや、引き受けた私が悪いんだけどね。

何でこんな変な仕事・・・・

私がまた大きなため息をついた時。

「大滝さん」

横手から声が掛かった。

視線を向けると、10人くらいの女の子が立っている。

知らない子ばかりだ。

「ちょっとお話があるんだけど、いい?」

「・・・・分かった」

嫌な雰囲気がひしひしと伝わってくる。

うんざりしながら私は重い腰を上げた。

もう!私はめんどくさいことが大嫌いなの!