あっとゆーまに文化祭はやってきた。

準備は大変だったけど、楽しかった。

あんまり団体行動が得意じゃない私でさえ、そう思うくらい。

珪君も、割と嫌がらずにやっていた。

そうしてやってきた文化祭当日、私は廊下でたこ焼きを頬張っていた。

さっきまどりんに貰ったのだ。

タダ券あるから、別にいいのに。

クラスの店番もせずに、ここで何やってるかっつーと。

見張りだ。

治安部と刺繍されたダサイ腕章を腕にして、さっきからボーっと立ってるのだ。

所在なく、窓の外を眺める。

調度チアリーディングがやってた。

あ、なっちゃんだ。

すごいなぁ。

あんな投げられて怖くないのかな?

・・・・はふ。

問題起こすなら、さっさと起こしてよ・・・

そんなイケナイ事を考えていると、向こうから眩しい人物がやってきた。

文字通り眩しい。

そしてそれは見知った顔だった。

「レン!いたね?」

「しっきー・・・何してるの?」

「クラスの女の子達に着せられてしまってね。どうだい?」

「いや、美しいですが、それドレス・・・」

私の突っ込みなど気にもせず、しっきーは言葉を続ける。

「やっぱり僕は何を着ても似合ってしまうのだね。罪な男だ」

「女装することに抵抗はないの・・・?」

「レンは何してるんだい?立ち食いなんて行儀が悪いだろう」

「私はここで校内の治安を守ってるわけ」

言いながら腕章を見せた。

「さすがヴァルキュリア!戦乙女は常に戦を求めるんだね・・・」

「違うって」

不毛な会話を続けていると、すぐ近くで悲鳴が聞こえた。

「は、離して!」

「いーじゃん。俺らヤローばっかで寂しいんだよ。相手して?」

「嫌です。離して!」

見るからにヤンキーです、といった風情の男たちが、うちの女生徒の腕を掴んでいる。

「美しくない光景だね」

「そだね。これでやっと退屈から解放されるわ。あ、たこ焼きあげる」

しっきーに、半分ほど残っているたこ焼きの箱を押し付ける。

「なんだい?これは」

「まどりんが焼いたたこ焼き。おいしいよ」

「僕はこんなもの食べたことないよ」

「・・・嫌だったらその辺置いといて。私は行くから」

「レンから貰ったんじゃ捨てられないよ。勇気を出して食べてみよう」

「じゃよろしく」

少し会話が長引いてしまったが、律儀にもヤンキーたちは動いていなかった。

「はーい。ちゅうもーく」

視線が私に集中する。

「何だ?ねーちゃんが俺らの相手してくれんのか?」

「そ。じゃ、行こっかv」

まどりんが見たら一発で逃げそうな笑みを浮かべて、私は彼らを誘った。

これから地獄となるであろう、校舎裏へ。


ちなみに校内の平和は守られたことを追記しておく。