愛の形
ただ愛してただけだったのに
「別れよう」
俺がそう言うと、彼女は泣き出した。
「・・・どうして?」
「他に好きな人ができたんだ」
「どうして私じゃだめなの?嫌なところがあるなら直すから!」
「お前のことが嫌いになったわけじゃない。ただ俺の我侭なんだ。・・・ごめん」
「・・・・・」
これがすべての始まりだった。
俺は新しい彼女とうまくやっていた。
前の彼女のことは悪いと思っていたが、それもそのうち忘れてしまった。
1ヶ月ほどたった頃、変なことがおきはじめた。
常に誰かに見られているような気がするのだ。
でも回りを見渡しても誰もいない。
気のせいだと思うことにしたのだが、事態はだんだんひどくなっていった。
無言電話や、手紙が勝手に開けられていたりするようになった。
彼女に相談したら
「元カノじゃないの?ストーカーになっちゃったとか」
「まさか。おとなしい子だったからそんなことしないよ」
口では否定したものの、心には疑惑が広がっていった。
電話が鳴る。
また無言電話だ。
「・・・・美里か?」
俺が前の彼女の名前を呼ぶと、すぐに切れてしまった。
信じられない。信じたくない。
ストーカーは美里だったのか?
部屋の前には、猫の死体が捨てられている。
多分、美里だ。
電話の一件以来、エスカレートし始めたのだ。
一体なんでこんなことを?
今日も美里は俺をつけてきているだろう。
話をつけなくては。
そう思った俺は走って物陰に隠れ、後ろから来た人物を捕まえた。
・・・・美里だった。
俺は美里を部屋に連れてきた。
話をするために。
「何でこんなことするんだ?お前はこんな女じゃなかったろ?」
美里は薄笑いを顔に浮かべている。
「・・・何がおかしいんだ?」
「あなたは私のもの。こんなに愛しているのに」
美里の口が、口さけ女のように吊りあがる。
「誰にも渡さない!」
美里が飛び掛ってくる。
「うわあああああ!」
俺は恐ろしくなって、近くにあった鉄アレイで彼女を殴った。
我に返った時には、彼女は血を流して倒れていた。
息は・・・・していない。
殺してしまったという思いより、やっと終わったという安堵感の方が強かった。
俺は美里を近くの林の中に埋めた。
数日後。
トントン、とノックの音がする。
ドアを開けて、俺は息をのんだ。
なぜ?
「私から逃げられると思った?」
私達はずっと一緒よ