シンと静まった部屋の中で、ただ私の嗚咽だけが響く。

どうして私だけ?何も悪いことしてないのに。

いじめっ子も傍観者も何も気づかない両親も。

みんな みんな シンデシマエ


夜の闇だけが私の友達。月が私の涙を光らせる。

窓を開け放す。私の体も、この闇にとけてなくなってしまえばいいのに。

「ずいぶん悲しそうね」 その声は突然聞こえた。

「誰!?」びっくりして回りを見渡す。 部屋には誰もいない。

「ここよ。こっち」 声は窓の外からした。

さっきまで夜の闇が広がっていた場所に、女の人がいる。窓枠に座ってた。

ここは2階。登ってくる足場もない。

人間じゃない。 本能的にそう悟った。

雰囲気から。そして背中の大きな翼から。

「あなたは誰? 天使なの? それとも悪魔?」

おずおずとそう聞くと、彼女はにやっと笑った。

まるで、知ってるくせにと言いたそうに。

「さぁ。どっちでしょう? どっちだと思う?」

彼女は白いワンピースのような服を着ていて、とても綺麗だった。

私は天使だと思った。でも答えをだすのにためらった。

なぜなら彼女の翼は真紅だったから。血のように。

白でもなく、黒でもない。

私が困っていると、彼女は突然こう切り出した。

「あんたの願い。叶えてあげようか?」

 「え?」

「さっき言ってたでしょ?みんな死んでしまえって。叶えてげるわ」

「どうやって?」

「力をあげる。願えば嫌いな相手は消える。どう?」

私は混乱していた。いきなり現れた女が願いを叶えてくれるという。信じていいのだろうか?

「どうして私の所に来たの?何で私の声が聞こえたの?」

彼女は私を通り越してどこか遠くを見ていた。

「あんたが悲しそうだったから。それだけ。それより願いはどうする?恐くなった?」

いたずらっぽく聞いてくる。

恐い?ううん。恐いことなんてない。・・・二度とないチャンス。

「・・・私に力をちょうだい」 

静かにそうつぶやくと、彼女はなぜか一瞬悲しそうな顔をした。でもすぐに元に戻る。

「いいわ。今から消えてほしい相手を思い浮かべてみて。明日になったら分かる。じゃまたね」

「ちょ、ちょっと待って! お礼は? あなたは誰なの?」

私が言い終わらないうちに激しい風が吹いてきて、思わず目をつぶる。

目をあけると、そこには元のように闇が広がるばかりだった。

「今のは・・・夢?」

分けがわからなかったが、言われたとおりいじめっ子の一人を思い浮かべる。

一番嫌いなヤツ。あんな女消えてしまえ。

だんだんまどろんできて、そのまま眠ってしまった。