ジリリリリ。目覚ましの音。 また朝がきて1日が始まる。

「早く起きなさい!」 何も知らない母の声。

いつもと同じ始まり。 何も変わらない日常。

「やっぱり昨日のは夢だったんだ・・・・」

少しガッカリしながら、制服に着替える。

機械のように体が動く。行きたくない。でも行かなきゃいけない。

どうしてこんなにがんばるのだろう。褒めてくれる人なんてどこにもいないのに。

助けてくれる人も。

ため息をついて、部屋から出る。

さあ、ここから私は女優。 また1日完璧に演じてみせる。


学校へ続く通学路。絞首台に向かう囚人のような気分になる。

楽しそうに笑いながら歩く生徒達。 私はただ黙々と歩みを進めるだけ。

この時の私はどんな顔をしているのだろう。


一番後ろの自分の席につく。

だいたい私は俯いているだけだ。

目があったりしたら、因縁つけられるし。

「あーら、今日も辛気臭いわねぇ。あんたがいると空気が暗くなるんだけど」

いつものいじめっ子。主犯格の手下だ。

嫌な女。一人じゃ何もできないくせに。

「そうそう。何であんたみたいなのが学校に来てんの?」

「お前の顔なんて見たくねーんだよ!」

ガンっと音がして、机が蹴られた。

奴らは笑いながら、散らばってく。

周りを見渡すと、他の子が気まずそうに目を逸らした。

いつものことだ。ここじゃ私は透明人間なんだから。

そういえばいつもの主犯格がいない。

いつも真っ先に絡んでくるのに。

ま、いないほうが嬉しいけど。


チャイムが鳴って、先生が入ってきた。

いつもと様子が違う。

「・・・みなさんに悲しいお知らせがあります。高見さんが事故にあって・・・お亡くなりになられました」

教室がざわめきだす。

あいつが・・・・死んだ?

「そんな!嘘よ!」

手下達が叫んでる。

でも私の耳には入らなかった。

大嫌いなあいつが死んだ。

天使の顔が浮かぶ。

・・・私が望んだから?

昨日のは夢じゃなかったの?

驚いたのは一瞬で、すぐに喜びがわいてきた。

本当に力が手に入ったんだ!

私の苦しみを味わうがいいわ。

私の顔には微笑が浮かんでいた。

この場の雰囲気には場違いなほどの。