嬉しいはずなのに。

もう自由なのに。

どうしてこんなに心は重いんだろう。


「どうしたの?」

その声に振り向くと、いつかの彼女が立っていた。

「嬉しくないの?」

私はゆっくりとかぶりをふった。

「・・・分からない」

「どうして?嫌いな奴らはみんな消えたんだよ」

「そうだね。みんないなくなった」

あいつらがいなくなれば、幸せになれるんだと思ってた。

でも何も変わらなかった。

私は一人のまま。

「どうしてそんなに悲しそうなの?」

「悲しい・・・・?」

ああ。そうか。

やっと分かったよ。

認めたくなかったのだ。

あいつらが消えても、幸せになんかなれなかったことに。

「・・・私が一番消したかったのは、弱い自分自身だったんだ」

涙が溢れた。

「なんで泣くのよ。私はあんたに泣いてほしかったんじゃないわ」

「ごめんね・・・・気づくのが遅すぎたんだ」

「・・・人間はめんどくさいわね」

「・・・え?」

「力を持つ前に戻してあげるわ。でも、またあんたはいじめられっこに逆戻りよ?」

「・・・それでもいい。私ね、分かったよ。人生は人に変えてもらうもんじゃないって」

「そうよ。自分の人生を決められるのは自分だけ。つらくても悲しくても、主役はあんたしかいないんだから」

「私が・・・主役?」

「そう。降板なんかしたらつまんないわよ」

「最後に一つだけ聞いてもいい?」

「なーに?」

「あなたの羽根はどうして赤いの?」

彼女は何とも言えない表情をした。

「これはね・・・あんたの涙の色」

「涙?」

「もしまた会えたら、白になってることを願うわ」

彼女は微笑むと、窓の外へ消えた。

赤い羽根を一枚残して。


学校に行くと、今までのことは夢だったんじゃないかと思った。

全てが元通りになっている。

「あーらまだ来てたのぉ?目障りなんだけどー。そうだ、勉強できないようにすれば来なくなるわね」

そう言うと、机に置いてた教科書を破られた。

「ごめんなさーい。手元が狂っちゃったわー」

私は無言で立ち上がると、そいつの顔を思いっきりひっぱたいた。

「なっ!」

「・・・いつまでもいい気になってんじゃないわよ」


彼女がくれたのは勇気だったのかもしれない。

今までずっと閉じ込めていたもの。

ないと決め付けていたもの。

恐れることなんてなかった。

だって、ホラ。

こんなに気分は晴れてる。

あたしのドラマは誰にも譲れないわ。

end