「あー!!カカシ先生!何してるんだってばよ!?」
長閑な町にナルトの声が響き渡る。
声を掛けられた当人は、少し懐かしそうに目を細めた。
「ナルト・・・に、サスケにサクラか。三人でどうした?」
「一楽でラーメン食った帰り〜。な、先生は?」
「ちょっとナルト!少し落ち着きなさいよ」
なおもカカシに詰め寄るナルトを、サクラが引き戻す。
「・・・お前がいないから、ロクな任務がこない」
サスケにまで恨みがましく言われ、カカシは頬を掻いた。
「んなこと言われてもなぁ・・・。お前らは三人で大丈夫だろ?」
「新しい子って問題児なの?マンツーマンなんでしょ?」
「良く知ってるな」
「そりゃあ噂で聞くわよ。ね、すっごい術が下手とか?」
カカシはどう答えるべきか迷った。
問題児といえば問題児だが、弱いからマンツーマンなわけではない。
「んー・・・。ちょっと特殊な任務しててな」
「なーなー。それって暗部みたいな仕事!?」
「馬鹿ね。暗部ならいるじゃない。それに先生はもう暗部じゃないわ」
「そりゃそーだけどさ。つーかさ、暗部ってどんな仕事するんだってばよ?」
無邪気に問うてくるナルトを見ながら、カカシは苦笑した。
この子は、暗部が暗殺特殊部隊の略称だということを知らないのか?
いや、知っていたとしても具体的な仕事内容は本人たちしか知らない。
忍は影だと言われるが、暗部はまさに影。
主の影としてのみ生きるのだ。
ひっそりと。
誰にも知られることなく。
自分が暗部だった時には何とも思っていなかったが、今考えれば淋しい生き方だ。
ただ誰かを殺すために生きているなんて。
いや、自分は生きていたくなどなかったのかもしれない。
暗部は、いつでも死の匂いがしていたから。
ナルトを見やれば、期待に瞳を輝かせている。
カカシがナルトの歳だった時には、無邪気などもう持ち合わせていなかった。
希望なんてどこにもなかった。
この子のように、火影になる!なんて一度でも思ったことがあっただろうか?
「んー・・・それは」
「それは?」
「秘密」
口元に指を当てて微笑むカカシに、ナルトが怒り出す。
「何でだってばよー!?」
知らないほうがいいのだ。
お前には無縁の世界だから。
穢れを知らない金色の子供。
どうか闇に染まらないで。
お前には、里を照らす光になって欲しい。
最愛の恋人は、もう救えないから。
せめて罪滅ぼしをさせてくれ。