貴方と私はとても似ていた
何が二人の運命を分けたのだろう
その夜は珍しく上機嫌で、口笛なぞ吹きながら家路を歩いていた。
通りには誰もいない。
風が頬を撫でていく。
否、風ではなかった。
普通の人間なら風だと思うだろが、は感じた。
何かがいるのを。
「・・・誰?」
何か、は躊躇うように一瞬辺りの気配に溶け込んだ後、ゆっくりと人の形をとった。
闇に見えるは、紅く輝く写輪眼。
写輪眼の持ち主と言えば、カカシかサスケか。
「先生・・・?」
違うのは分かっていた。
だって光は二つだったから。
そうだ。
もう一人知っている。
「イタチ兄・・・」
の呟きとともに、相手の姿が露になる。
まぎれもなく、イタチだった。
「大きくなったね、」
「そりゃ何年も経ってるし」
の言葉に、イタチがほんの少し表情を崩す。
「・・・相変わらず変わった子だね」
「何が?」
「俺は抜け忍だよ」
「知ってるよ。そんなの」
「もっと他に言うことがあるだろう?」
は少し考えて、言った。
「久しぶりだね。帰ってきたの?」
イタチは苦笑する。
「・・・・少し用があってね」
「ふーん。・・イタチ兄は変わらないね。あの頃と」
「は変わったな。上司はカカシさんか?」
「何で分かったの?」
「写輪眼を持つ先生、と言ったら彼しかいないだろう」
「そっか」
話が途切れる。
虫の音が聞こえる。
イタチがの顔を覗き込んだ。
「俺と同じ道を歩むと思っていたのに」
「・・・・・」
「幼い頃から暗部として生き、それ以外の術を知らなかった」
が初めてイタチと会ったのは、任務中だった。
人を寄せ付けず、突出した才能を持つ二人。
同じ匂いを嗅ぎ取ったのか、二人は何故か親しくなった。
あまり感情を見せることはなかったが、いつも優しかったように思う。
イタチが一族を滅ぼした日、は里を出て行く彼を見た。
絡み合った視線を振り切るように、イタチは走り去った。
「あの日・・・連れて行こうか迷ったんだ」
「私を?」
「ああ。でもやめた。関係のないお前を巻き込むのは酷だと思ったから。そしてそれは正解だったようだな」
「何で私を?」
「俺とお前は同じだからだ」
は目を伏せる。
「・・・そうだね。でも今は違う」
「分かってる。あの頃と目が違うよ」
「目が?」
「何も見ていなかった。全てを諦めていた。あるのは絶望だけだった」
「・・・イタチ兄は今もそうなの?」
「・・・・・」
沈黙は肯定だ。
「私はカカシ先生に救われたんだ。だからまだ頑張れる」
「・・・良かったな。俺には見つかりそうもないが」
がイタチを仰ぎ見る。
イタチがくしゃっと頭を撫でた。
「そんな顔するな。最近思うんだ。と過ごしたあの日々は、幸せと呼ぶのではないのかと」
「幸せ・・・?」
「・・喋りすぎた。見つかると厄介だ。もう行く」
「・・・うん」
「会えて良かった。もう会わないことを願ってるよ」
も声を絞り出す。
「次会った時は・・・・殺す」
「それで・・・いい」
イタチは小さく微笑むと、姿を消した。
さっきと何も変わらぬ風景が広がっていた。
チャイムを鳴らし、少し待つ。
「は〜い?」
恍けた声と共に現れたカカシに抱きついた。
「・・・どうしたんだ?忘れ物か?」
「ううん・・・どうしても先生の顔見たくなったの」
「そうか」
「先生・・・ありがとう」
二人の道はもう交わらない
イタチは二十代ということにしておいてください(笑)
多くは語りません。