カカシは、原っぱのような場所に立っていた。
昼が夜に変わる前の一瞬。
血のような夕焼けが、空を染めていた。
あまりの静けさに顔を巡らせて見れば、ちらと人影が見える。
少年と少女だろうか?
少年の顔を見て、カカシが目を見開く。
一人はイタチだった。
抜け忍になる前だ。
ということは、自分は過去を見ているのだろうか?
これは夢・・?
もう一人の少女を見て、カカシの心臓が跳ね上がった。
あの面影は・・・だ。
彼女の幼い頃の姿を見たことはなかったが、絶対にそうだという確信があった。
今より髪が長く、そして無表情だが。
二人は特に会話をするでもなく、並んで座っている。
しかし親密な空気が漂っていた。
はイタチと知り合いだったのか?
何故よりにもよってイタチと・・というカカシの気持ちを逆撫でるかのような出来事が起きた。
草を手で弄んでいたが、急に手を引っ込める。
切ったのだろうか?
顔をしかめるの指をイタチが取り、唇に含む。
夢なんだ、という言葉は慰めにもならなかった。
言い様もない焦燥感と、怒り。
これは嫉妬だ・・・。
なすがままになっているにも腹が立ったし、覗きのようなことをしている自分にも腹が立った。
冷静になれば気づいたはずなのに。
彼女の表情が、先ほどから全く変わっていないことに。
でも、正常な思考ができる状態ではなかった。
俺以外の男を見ないでくれ・・・
悲鳴にも似た想いと共に、いつの間にか足が動いていた。
背後に立つカカシを、イタチがゆっくりと仰ぎ見る。
目の前のイタチは幼い姿ではなく、この前会った時の姿になっていた。
「そいつから離れろ」
「それは出来ません」
イタチがの手を取り、立たせた。
彼女も、カカシが良く知っている普段の姿になっている。
但し、いつもの笑顔はない。
「・・・俺にこんな夢を見せて、どういうつもりだ?」
カカシの言葉に、イタチが口の端を上げた。
「俺が見せているんじゃない。貴方が望んだんですよ」
「何だと!?」
「貴方が"一番見たくない"と望んだ夢です」
「手前っ!!!」
カカシは殴りかかろうとしたが、体は石のように動かなくなっていた。
「忘れたんですか?俺の術の中にいるのを」
痛いほどに唇を噛み締めた。
「まだまだ序幕ですよ。これから先を楽しんでいただかなくては」
イタチが、カカシからに視線を移した。
嫌な予感に、肌が粟立つ。
「に触るな!」
無駄だと分かっていても、叫ばずにはいられなかった。
「俺は彼女の過去を持っている。貴方は彼女の現在を持っている」
ここで一旦言葉を切った。
あるかなしかの微笑が浮かんでいる。
「でも、未来まで一緒だという保証はない」
イタチがコートの中にを引き寄せた。
「・・・やめろ」
白い指が、の顎にかかる。
「やめてくれぇぇぇぇぇ!!!!」
絶叫がこだました。
もっと絶望の悲鳴を聞かせて
まだ悪夢は始まったばかり