「ねーママ!勇者様がいるよ!」
「しっ!見ちゃいけません!」
「なぁ・・・あの人カカシさんに見えるんだけど・・?」
「・・・・俺は信じないぞ。あのかっこいいカカシさんが、あんな格好を・・・!」
一般人の言葉にチクチクと刺されながら、勇者様ご一行はドラゴンの元へ向かっていた。
「・・・もっと早く移動できないのか?」
「ノンノン!大人数でちんたら歩いてモンスターに襲われるって昔から決まってるんだから!」
「お前激しく勘違いしてないか?」
「RPGなんてそんなもんよ。ね、サスケ君?」
「・・・・そうかもな」
サスケが文句も言わずについてきていることが、カカシにとっては驚異だった。
しかも変な格好までして(ド○ゴンボー○の衣装みたいだ)。
一行は森の中を進んでゆく。
唐突に前方が開けた。
そこにいたものに、カカシが目を見開く。
「ド、ドラゴンです・・・!」
律儀にヒナタが説明したが、カカシが驚いたのはほんの一瞬だけだった。
「おー。ほんとにいるとはな。どっから拉致ってきたんだ?」
「向こうが襲ってきたんだってば!さーみんなでドラゴンを倒・・」
みなまで言うより早く。
「水遁!水龍弾の術!」
ごぉっ
「いてー!!!」
ぼと。
「「「弱っ」」」
「ウスラトンカチが・・・」
「ナ、ナルト君・・・!!」(小声)
直撃をくらい、地面に落ちるドラゴン。
威嚇のつもりか火を吐いてみせるが、ぼひゅっとげっぷのように出ただけだった。
「んじゃトドメね」
血も涙もないカカシが投げたクナイに当たり、ドラゴンは悲鳴をあげた。
ぼんっと煙につつまれる。
「アタシ先生が怖くなってきたんだけど・・・」
「これで勇者ごっこも終わりでいいだろ?」
「まだよ!あれを見て!」
ドラゴンがいた場所には、ナルトが泣きそうな顔で座り込んでいた。
「ひでーってばよ・・」
「何だナルトだったのかー?」
しらじらしく言うカカシ。
ナルトは涙をぐっと堪えて、用意されていたセリフを読んだ。
「えーと・・勇者よ!俺は魔法でドラゴンにされてたんだってば。助けてくれた礼に、この剣をやるってばよ!」
一方的に攻撃されたというのに、ナルトも健気なものだ。
「剣?」
見れば、大きな剣がある。
西洋風の刀幅が太いものだ。
「これじゃないと魔王は倒せねーんだ」
「魔王・・・?」
を見ると、またしてもニヤニヤと笑っている。
「カカシ先生・・じゃなかった、勇者様!今度はお姫様よ!何か燃えるわね。しゃーんなろー!」
「姫〜?」
「魔王とくれば、お姫様連れ去ったに決まってんじゃない」
魔王っぽい人間は、二人ほど思いつく。
の交友関係から考えれば、お姫様とやらも想像がついた。
「上忍を手玉に取るとはな・・・」
末恐ろしい。
それに、魔王とやらが本気でかかってくるとすると、厄介な事になりそうだった。
ラストステージは崖の上だった。
下には川が流れている。
魔王はそこに座っていた。
やたら豪華な椅子だ。
「いい格好だな。勇者サマ」
ニヤっと魔王が笑う。
「お前かよ・・・」
「おせーから、ドラゴンに食われたかと思ったぜ」
「んなわけないデショ」
「じゃ、めんどくせーからさっさと俺を倒してくれよ」
「・・・やる気ねーなオイ。お前魔王だろ?ラスボスだろ?」
カカシの言葉に反応するかのように、椅子の裏から誰かが出てきて魔王の頭をはたいた。
「アスマ!真面目にやりなさいよ!!あんた魔王でしょ!?」
「魔王でしょって言われてもなぁ・・・めんどく・・」
ごめす。
最後まで言い終わるより先に、紅の手に握られたモーニングスターが、魔王の頭を直撃した。
「魔王は沈黙したから、私が今から魔王よ」
紅が何事もなかったかのように言い切る。
一筋の汗を流して、カカシが呟いた。
「な、仲間じゃないのか・・!?」
「弱肉強食だからね」
「でも、まだ倒したわけじゃ・・・」
が魔王に歩み寄って、軽く揺さぶった。
「魔王さーん!生きてますかー?」
サスケがぼそっと付け加える。
「・・・返事がない。ただの屍のようだ」
「サスケ・・・!?お前がそんなナレーションをするなんて・・・!?」
サクラが慰めるように、カカシの肩に手を置いた。
「もう後には戻れないってことよ・・・」
「魔王―。許さないぞ!」
それがバトル開始の合図だった。
戦いは凄惨を極めた。
飛び交う怒声に、高度な術。
地形は姿を変え、仲間は殆ど倒れた。
結局剣は使わなかった。
「ハァ・・ハァ・・・お前強かったぜ・・・」
「あんたもね・・・仕方ないから勇者って認めてあげるわ」
「これで・・・終わりだな」
「まだよ。エンディングが残ってるじゃない」
「は?」
魔王は倒した。
助けるはずのお姫様が魔王になったのだから、これで終わりではないのか?
その時。
「勇者サマーvお待ちしていましたわ〜」
野太くデカイ声。
どこからか走ってくる、ドレス姿の人物。
これがお姫様なのか?
しかしカカシは認めたくなかった。
激眉に、おかっぱ頭のお姫様なんて・・・!
「うわぁ・・・さすがにきついわね・・」
遠くでサクラの声が聞こえる。
サスケは視界に入れないようにしているようだった。
ヒナタは険しい表情を浮かべている。
「さすが勇者サマだわ。あの魔王を倒すなんて。さ、お礼を受け取って頂戴!」
「いや、いらないから」
姫だと言い張る物体に背を向けようとする勇者。
しかし姫は恐るべき力で、彼を振り向かせた。
「駄目よ!私からの熱いキッスを受け取って!んちゅ〜」
「キモイ!やめろ!!」
必死で身を捩る勇者。
迫る姫。
さすがに不憫に思ったのか、ただ単にビジュアル的に嫌だったのか、が割って入った。
「ガイ先生、そこまでしなくていいですから・・・」
「邪魔よ!魔法使いの分際で!勇者サマは私のものよ!」
ドンっと突き飛ばされ、よろめく。
しかも、ここは崖だった。
「うわっ!?」
の悲鳴。
ボチャンっという音。
「!!!」
「カカシ待て!」
周りの制止も聞かず、カカシは崖からダイブした。
カカシが運んできたは、ぐったりとしていた。
不意打ちで油断したのか、おぼれたようだ。
を横たえ、カカシが自身の口布をはずす。
周りが息を呑んだ。
誰もが人工呼吸だと分かっていた。
一番適切な処置だと。
でもそれはまるで。
眠る姫君を起こす、王子様のキスのようだった。
「で、結局何がしたかったわけ?」
みんなが解散した後。
「・・・楽しくなかった?」
「まぁ、楽しかったって言えば楽しかったけど・・・」
「先生がゲームしてる時に、RPGは男のロマンだって話してたでしょ?」
「・・・まさか本気にしたのか?」
「嘘だったの!?」
「・・・ま、それはいい。でも何で急に?」
は苦笑した後、言った。
「誕生日プレゼント。アタシ、先生の欲しいもの何も思いつかなくてさ」
ふふっと笑った後。
カカシがを抱き寄せた。
「バーカ。プレゼントなんて、お前が隣にいりゃいいんだよ」
ハッピーバースデー
一番のプレゼントを貴方に
カカシ先生誕生日記念SSです。
いつも通り、普通の誕生日ネタが思いつかなかったので(笑)
まぁ、どこのサイトさんも書いてるからうちはいいかな、と。
みんなの衣装ですが、色々ごっちゃです。
先生は一応ガウリイがモデル。
主人公とヒナタとサクラは、ドラクエ6辺り。
サスケは本文にもあったように、ドラゴンボール。
オレンジ色の胴着ね。
紅は個人的にはボンテージを着ていたという設定です(笑)
アスマは、戦国無双の信長みたいな衣装で。
ガイは・・・普通のドレス。出来ればピンク。
カカシ先生に迫るガイは、見たいような見たくないような。
何はともあれ。
カカシ先生、お誕生日おめでとう 愛をこめて
9月15日