いい天気。
空は抜けるような青。
心地よい風。
心なしか、気分も軽くなってくる。
が、そんなことはこの二人には関係がなかった・・・・
「何でお前はいつもそうなんや!」
「・・・こういう性格だから」
「その馬鹿にしたような言い方が気に食わんねん。どうせいつも俺のこと馬鹿やと思うとったんやろ?」
「・・・・・」
「図星なんやろ。お前との友情もこれで終わりや!」
「勝手にすれば」
「あー勝手にするわ!もう絶交やで!!」
「・・・・」
小学生のようなセリフを残して、姫条は肩をいからせながら去って行った。
それを葉月が無言で見送る。
あいつとのことは気まぐれだったと思えばいい。
また・・・昔の自分に戻るだけだ。
胸の痛みは、きっと気のせい。
「あんなつもりやなかったんやけどなぁ・・・・」
自分で怒り出したくせに、もう後悔していた。
事の始まりは些細なことだった。
遊びに行こう、と誘った姫条に葉月が断っただけだ。
ここまでは大してめずらしいことでもないのだが、今日に限って変な方向にこじれてしまったのだった。
葉月は寝起きで機嫌があまり良くなく、姫条は氷室に怒られてイライラしていたのだ。
思い出してもくだらない。
「あいつも悪いねんで・・・いつも飄々としてるから」
そのうちなんとかなるだろうと思っていたのだが・・・・
「体育祭は赤組と白組に分かれます。1、2組は赤で、3、4組は白です」
体育委員が、黒板の前で説明している。
「変な分け方―。クラスごとにする必要ないのに。ね?」
蓮が葉月に同意を求めた。
「・・・ああ、そうだな」
いつにも増して適当な相槌だ。
「なんか心ここにあらず、って感じ。あ、まどりんと分かれちゃったから?」
「・・・違う」
「ほんとに?あー!タマちゃんとも違う組だぁ・・・」
蓮の話題が他にそれたので、葉月はほっとした。
その頃、姫条も頭を抱えていた。
「また嫌な時期に・・・」
「おい姫条!ぜってー優勝しようぜ!お前スポーツ得意だろ?」
クラスメイトが声をかけてくる。
「お、おう。まかしとき」
「お前葉月と仲いいみたいだけど、情けはナシだからな」
「情けなんかかけるかい!あんな奴どーでもええわ!」
「その意気だぜ!」
やっちまった・・・
しかしもう遅い。
そして、この組分けは色々な問題を巻き起こしたのだった。
「1組なんかに負けねーからな!」
「それはこっちのセリフだ!」
こんなやり取りを、1日5回程は聞くことができる。
学年を二つに分けたのは、失敗だったとしか言いようがない。
行く先々でちょっとした小競り合いが起こるのだった。
勿論ここでも・・・
「あら、辛気臭い白組じゃない」
「ちょ、ちょっとやめなよ。なっちゃんたら」
廊下でばったり会った姫条と友人達に、奈津美が早速ケンカを売る。
「誰やと思うたら、赤猿やんけ」
「猿!?もういっぺん言ってみなさいよ!」
「おう、何度でも言うたるわ」
「もう、怒るよ!勝負は体育祭でしてよ!」
蓮が怒鳴ると、二人は静かになった。
「だってコイツが・・・」
「先に藤井がケンカ売ってきたんねんで・・・」
「言い訳は聞かない!」
そう言うと、すたすたと歩いて行ってしまった。
「ちょっと待ってよ!蓮!」
慌てて奈津美が後を追う。
後ろに立っていた葉月も歩き出したが、姫条と目があった。
二人とも何も言わない。
葉月はそのまま行ってしまった。
「なんやねん・・・」
姫条の呟きだけが、廊下に残った。
体育祭の練習が着々と進められていく。
生徒たちは自主的に特訓していた。
「はよう帰りたいねんけどなぁ・・・」
ぶつぶつ言いながら、バトンを取りに体育倉庫へ向かう。
体育委員に頼まれたのだ。
扉は半開きになっており、先客がいるようだった。
「えーとバトンバトン・・・」
ごそごそと探していると、突然悲鳴が上がった。
「うわぁっ!?」
ガラガラと何かが崩れ落ちる音。
「どうしたんや!?」
慌てて駆け寄ると、男子生徒が様々な道具の下敷きになっていた。
「大丈夫か!?」
乗っかっているものをどかそうと手をかけた時。
「どうした!?」
何人かの生徒がわらわらと集まってきた。
「黒須!!」
友達らしく、名前を呼びながら駆け寄ってくる。
「急に叫び声が聞こえて・・・・」
姫条が説明をしようとした時。
「お前がやったんだろ!」
思いもよらないセリフを言われた。
「ハァ!?何いっとんねん。俺は今来たばっかり・・・」
「嘘つけよ!黒須はリレーの選手だったんだ。だから怪我させたんだろ!」
あまりな言いがかりにあっけに取られたが、よく見てみれば彼らのハチマキの色は赤・・・・
「あのなーいくら俺が白組やからって、そんなせこい真似するかい!言いがかりや!」
「じゃあ違うって証拠みせてみろよ!」
赤組のやつらが詰め寄ってくる。
姫条大ピンチ・・・・
