「神子。また何か作っているのか?」
「あ、泰明さん。みんなにあげるクリスマスカードですよー」
「くりすますかーど?」
「文みたいなものです。気分だけでもクリスマスになろうかなって」
「くりすます、とは何なのだ?」
「神様の誕生日です。ケーキ・・・お菓子のことですけど、を食べたりもみの木に飾りつけしたりするんです」
「神子の世界の人々はそんなに信神深いのか?」
「うーん・・・ちゃんと祝ってる人は少ないですね。ただ家族や恋人とお祝いする日になってます」
「そうか・・・手伝う」
「本当ですか?泰明さん器用だから助かります」
「神子は不器用だからな」
「うっ・・・・そんな改めて言わなくても・・・」
「・・悪かった。何をすればよい?」
「木の形に紙を切って下さい。こんな風に」
「これは木なのか?」
「木なんです!」
「うにみたいだな・・・・」
「ヒドイ泰明さん・・・・」
二人は黙々と作業を進めた。
あかねのものより、明らかに泰明が作ったほうがうまい。
「誰に渡すのだ?」
「八葉のみんなと藤姫にです。あ!」
「どうした?」
しまった、という顔をしたあかねに、泰明は訊ねた。
「泰明さんにもあげるのに作らせちゃった・・・・。私ってバカー!」
「そんなことか。気にしなくてよい。私が手伝うと言ったのだ」
「でも・・・そうだ!泰明さんには他の物も用意しますね」
「別にいい」
「私がしたいんです!ヘヘ何にしようかな?」
「・・・・・」
ニコニコしながら考えているあかねを、泰明は優しく見つめていた。
クリスマス当日。
「メリークリスマース!」
「み、神子殿・・・?」
あかねは八葉にカードを配って歩いていた。
だいたいは困惑した表情をしていた。
目の前にいる頼久も、わけがわからない顔をしている。
「はい!頼久さん」
「これは文・・・ですか?」
「みたいなものです。私の世界の行事なんです。じゃまた後で!」
「神子殿!?」
あまりにも適当な説明をしてあかねは去っていく。
これで理解しろ、という方が無理だろう。
「あ、友雅さーん!」
「あかね。姫君が走るものではないよ」
注意しながらも、友雅はあかねが会いにきたので嬉しそうだった。
「メリークリスマス!」
言いながらカードを手渡す。
「・・・また何かやっているのかい?」
「私の世界の行事なんですよ」
「泰明殿とは一緒じゃないのかい?」
「どうしてそんなこと聞くんですか?これを作るのは手伝って貰いましたけど・・・」
「この前も二人で何かしていたからね。私もたまには誘っておくれ」
「えっ友雅さんにこんなことさせられません!」
「泰明殿ならいいの?」
「そういうわけじゃないんですけど・・・・」
「ふふっ困らせてしまったようだね。あかねが泰明殿とばかり一緒にいるから妬いてしまったのだよ」
「またそんなこと言ってからかうんだから。あ、他の人の所にも行くので失礼します。お仕事がんばってくださいね!」
走り去っていくあかねを見ながら、友雅はおかしそうにつぶやいた。
「私は本気なのだけれどね・・・・」
「はい泰明さん、メリークリスマス!」
「これは・・・柊か?」
「はい!柊の葉っぱでリースを作ったんです。あ、リースっていうのはクリスマスの飾りなんですけど」
「どのように使うのだ?」
「家にでも飾って下さい。柊は魔よけの効果があるんですよー」
「そうか・・・・感謝する」
「手伝ってもらったお礼です。みんなには内緒ですよ」
「手伝ったことか?」
「そうじゃなくて、リースのことです。泰明さんにしか作らなかったから・・・」
「・・・・・」
「あ、一つお願いがあるんですけどいいですか?」
あかねはそう言うと、泰明にごにょごにょと耳打ちした。
「あかねは何するつもりなんだ?」
「クリスマスに関係あることだと思うんだけど・・・」
あかねはカードに、夕方に屋敷にきて下さいと書いていた。
天真と詩紋はさすがに驚いていないが、他の面々は何が始まるんだろうと言った表情をしている。
「神子殿は何をなさるつもりなんでしょう?」
「また泰明殿もいないね・・・?」
空がオレンジから藍く染まり始めた時、それは突然起こった。
「何だ!?」
庭中の木々が色々な色に輝いている。
まるで色とりどりの蛍がとまっているかのようだった。
「えへ。驚きました?」
木の影からあかねと泰明が出てくる。
「神子殿!これは何なのですか?」
「私の術だ」
「泰明殿がやったのですか・・・」
「私が頼んだんです。いつもお世話になってるみんなに喜んでもらおうと思って」
「クリスマスツリーか」
「うん。もみの木じゃないんだけど・・・・」
「ふふっあかねが考えることは面白いね」
あかねがにっこり笑って言う。
「私から大好きなみんなへ。メリークリスマス!」
