ほしいものは ただひとつだけ



生まれて持った性格っちゅーもんは、そうそう変わるもんやない。

俺はチャラチャラ生きてきた。

それがいっちゃん楽やと思うてた。

何も問題なんてない。

俺がこんなんになったんは、もしかしたら親父のせいかもしれん。

仕事しか頭にないクソ親父みたいになるのはまっぴらやったから。

おかんはいつも泣いとったで。

いくら仕事ができても、人一人幸せにできん奴はろくでなしや。

それでも、この性格を恨んでるわけやない。

いや、なかったと言うべきか。

軽口しか叩けん自分が、うらめしくなるわ。

何でってそりゃあ・・・分かるやろ?


「じめじめしてると気分が沈んでくるよねぇ」

雨が降る窓の外を見ながら、うらめしそうに蓮ちゃんがつぶやく。

「何や、めずらしく元気ないな」

「まどりんは嫌じゃないの?そういえば、さっくんも雨を喜んでたんだよねー」

「さっくん?ああ、メガネ君か。梅雨を喜ぶ人間もおるんやな」

「紫陽花が綺麗に咲くからだってー。ほんとに花が好きなんだね」

「あいつは自分より花のが大切やからな」

俺といるのに、他の男の話題を出されて、少しぶっきらぼうに答えてしもうた。

「優しいんだよ。まどりんも梅雨好きなの?」

「あ?ちゃうちゃう。いやーな湿気を吹き飛ばすイベントがあるさかい!」

「イベント?6月に何かあったっけ?」

「当ててみい」

「えー?給料日とか?」

「ちゃうって。もっとウキウキするようなことやねん」

蓮ちゃんは首を捻って、しきりに考えこんでる。

はよう気づいてくれ。

「あ!分かった!期末テストの問題盗みに行くんでしょ!?」

「何でやねん!んなことしたら氷室センセに殺されてまうやんけ」

さんざ考えて、出た答えがそれかい。

そんな風に思われてるかと思うと、切なくなるやん・・・

「冗談だってば。後はー・・・あ、もしかして誕生日?」

「正解。18日は俺の御生誕日やで」

「そっかー。誕生日が近いと思えば、梅雨なんかぶっとぶね」

俺は蓮ちゃんの笑顔見れるだけで、いつでも晴天や。

「そやろー?でもこの年で楽しみにしてるんも子供っぽいけどな」

「そんなことないよ。大事な日じゃん。欲しいものある?」

「くれるんか!?」

「うん。だって誕生日でしょ?」

「あかん。泣きそうやわ・・・」

「まどりんは一々大げさなんだよ。バレンタインの時も泣いてたし」

「そ、それは言わんでくれ・・・感極まってやん」

「別にいいけどさ。で、何がいいの?」

「ほんまにええんか?」

「うん」

「・・・・ほんまに?」

「欲しいものあるんでしょう?」

真っ直ぐな瞳で、聞いてくる。

「それは・・・・」


言えてしまえたらどんなに楽やろう。

・・・きっと本気にはしないと思うけど。

しゃーないから、心の中で言うわ。


欲しいものは、唯一つだけ

君の全てを

独り占めしたい



前日に誕生日だと気づいて、大急ぎで書いたもの(笑)
あんまり誕生日SSっぽくないですね。
王子とは大違いだ(笑)
いや、愛があるからこそ1日で書けたんですよ。