廊下を駆け抜けていく。

どこまで行っても安全なんてない。

それでも走り続けなければいけない。

なんて理不尽なんだろう。

「もう・・・ええと・・・ちゃうか?」

息を切らしながら姫条が言う。

その言葉で4人はやっと立ち止まった。

「さっきは蓮のおかげで助かったわ」

「あーあれね・・・気づいたら投げてた」

「・・・・さすがやな。そーゆーとこが好きやで」

「どーも。さてこれからどうしよっか」

蓮が周りを見渡していると、葉月がつぶやいた。

「・・・あいつの言葉が気になる」

「言葉?何のこと?」

「向こうが先に殺したって・・・言ってただろ?」

「そういえば・・・・」

「でも幽霊だってことが確定しただけやんか」

「あいつには親から殺されるだけの理由があった・・・それが分かれば何かできるかもしれない」

「怪物と呼ばれた子供・・・昔から凶暴だったのかな?」

「あんな子供いたら、親でも恐いもんね」

「殺したりするから俺らが巻きぞいくらっとんのやで?バカ親が!」

興奮した姫条が壁をドンっと叩いた時。

「お?」

壁がいきなりぐるんと回転して、危うく姫条は挟まれるところだった。

「あ、危ねー」

「隠し通路か・・・・行ってみよう」

「マジか?なんや地下に続いてるみたいやで?」

「何かあるかもしれないし、行こうよ」


壁の裏には薄暗い階段が続いていた。

「何で家に隠し階段なんてあるねん・・・」

「作った人の趣味じゃないのー?」

「趣味で作るか?」

「・・・昔の貴族の家には地下があるのが普通だった」

「何に使うの?」

「襲われた時に隠れたり・・・罪人を閉じ込めたり」

「牢屋ってことか?趣味悪いな〜」

「でもここ日本だよ?」

「・・・外国から持ってきたんじゃないのか」

「珪君詳しいんだね」

「そうでもない・・・」

「あ、ドアだ。こんなとこで生活してたら変になりそうだけどねー」

奈津美がドアを開けると、そこは書斎のようだった。

部屋中に本が並んでいる。

「ここ・・・あいつの父親の部屋か?」

「そうっぽいね。読書家だったのかなぁ?」

葉月が本の一つを手に取った。

「悪魔憑き・・・」

「悪魔?あーこれ全部それ関連だよ。伝承とか、悪魔祓いの方法なんてのもある・・・」

「子供が悪魔にとりつかれてるって思ってたのね」

「効果がないとこみると、違ってたみたやけどな」

みんな思い思いに部屋を物色している。

その時、葉月が声を出した。

「これ・・・日記じゃないか?」

机の引き出しに入っていたのは、革表紙の本だった。

DIARYと書いてある。

「本当だ!読んでみようよ」

「ああ・・・」

紙は劣化していて、かろうじて字が分かる程度だった。

所々かすれていて読めない。

"どうして・・・な子が産まれてしまったのか。見た目は普通の子供なのに。残虐すぎて・・・のか分からない"

"妻は悪魔のせいだと言う。本当にそうなのだろうか?でもあの異常な力は・・・しか思えない"

"一体どうすればいいのだ。ありとあらゆる方法を試した。しかし効果はない。ますますエスカレートしていく。私達はあの子に怯えることしかできないのだろうか?"

"最後の希望というべき物を見つけた。でもこれを使う時はあの子を殺す時だ・・・・"

「希望・・・?」

"私達の計画を気づき始めている。・・・を隠さなければならない。

"もうだめだ。あれは使えない。普通のやり方で殺すしかない"

日記はここで終わっていた。

「まて・・・最後のページに何か書いてある・・・」

"これを読んでいるということはあの子は生きているのだろう。最後の希望を本棚の裏に隠しておく。私は祈っている。誰かがあの子を止めてくれることを・・・"

「本棚見てみようよ」

「裏って言われてもなー。これ動くんか?」

本棚を押してみたが、びくともしない。

「おいおい、どうすりゃええねん」

「・・・本出してみない?」

本を抜き取っていくと、小さな空洞がある場所があった。

「何か・・・置いてある」

手を突っ込んで出してみる。

「ナイフと・・・ペンダント?」

「これがそうなの?」

穴の中には赤い宝石がついた短剣と、不思議な形をしたペンダントがあった。

「六紡星の形してるけど・・・」

「ロクボウセイって何や?」

「均衡を表す形だよ。逆に五紡星は不均衡を表すの」

「へー物知りやな。で、どっちを使えばええんや?」

「・・・・さぁ?」

「どっちかが本物ってことか・・・」

「・・・違うほうを選んだら?」

「・・・アウトだな」

「何でそんな分の悪い賭けせなあかんねん!」

「そうよ!役に立たない親ね!」

「ちょっ、落ち着いてよ。とにかくやってみなきゃわかんないってことか・・・」

「ナイフは分かるにしても、ペンダントなんてどうやって使うの?」

奈津美が素朴な疑問を出す。

「わかんない・・・・今のところ信頼性があるのはナイフの方だね」

蓮が顎をしゃくると、なにやら考えていた葉月が口を開いた。

「・・・行くぞ」

「行くって・・・どこへ?」

「子供の所。・・・・迎えうつ」