「ね、デートしよっか」
「はぁ?」
いきなりの提案をしたエアリスに、クラウドは間抜けな答えを返した。
「さ、いこっ」
「お、おい!」
クラウドの腕を引っ張って、宿屋から抜け出す。
「ほんの少しだから。ね?」
「・・・・」
エアリスは町を出ると、何もない草原の上に、いきなり寝転がった。
「クラウドもどう?気持ちいいよ」
「・・・ああ」
断ると面倒なことになりそうな気がしたので、大人しく並んで寝転がる。
空には降るような星が輝いていた。
「やっぱり外はいいよね。ミッドガルには空ないもの」
「そうだな」
「星を見て、未来を占う人がいるんだって」
「・・・いきなりなんだよ」
「星の位置や、輝きで分かるんだって。すごくない?」
「何が言いたいんだ?」
エアリスがいきなり自分の方に顔を向けたので、クラウドはドキリとした。
「もし、未来が全部分かってたらどうする?」
「はぁ?」
「明日も、10年後も、ずっと先も。全部知ってるの」
「・・・便利じゃないか」
「本当?本当にそう思ってる?」
「一体、何が言いたいんだ?」
エアリスの言葉は脈絡がなくて、言いたいことがさっぱり分からない。
飲み込みの悪いクラウドに、彼女は少しイライラしたようだった。
「じゃあ、もしセフィロスに負けることが分かってたらどうする?それでも戦う?」
「っ・・・!」
「あ、怒った?ごめんね。でも分かりやすい例えだったでしょ」
「勝てるとは思っていない。でも、それでも決着をつけなきゃいけないんだ」
「それは、まだ未来が分からないからでしょ?まだ希望が残ってるからでしょ?一欠けらの希望もないと知っていて、クラウドは戦える?」
「・・・・・」
「私たちは変えようのない結果が分かってて、それでも覆そうとできるほど強くないんだよ。少なくとも私はそう。だから未来は知りたくないな」
「そうかも・・・しれないな」
自分の行き先に絶望しかないと決まっていたら、この旅を諦めていたかもしれない。
エアリスの言うとおりだ。
そこまで考えたことなど、なかった。
彼女は決まりが悪そうに微笑むと、また空に視線を戻した。
「意地悪なこと言ってごめんね。クラウドが便利だーなんて言うから」
「・・・悪かった」
「先が見えないのは不安だけど、だから楽しいんだと思わない?私ね、クラウドたちと旅できて楽しいよ」
「・・・そうか」
「ちょっとー!男なら、俺も君と一緒にいれて楽しいよ、くらい言いなさいよ!」
「はぁ?」
クラウドの答えが不満だったのか、エアリスは近くの草をむしって、彼に投げつけた。
「それだからモテないんだよ?まったくもう」
「俺は別にモテたくはない」
「あー、そーゆーこと言うんだぁ。じゃあ一生一人でいれば?もう知らない!」
「お、おい!エアリス!」
エアリスは素早く立ち上がると、クラウドを置いて走り出した。
慌ててクラウドが後を追う。
「宿屋まで競争ね!」
明日が明るいとは限らない。
でも暗いと決まったわけじゃないから、俺たちは旅を続けるんだ。
君がそう教えてくれたんだよ。
