胸の奥が締め付けられる。

この気持ち、なんてゆーの?

こんなこと聞いたら、また君に笑われちゃうかな?

でも君にしか聞きたくないんだ。



「変なこと聞くけどさ。切ないってどんな気持ち?」

大真面目な顔でそんなこと聞かれたから、私は思わず飲んでいたジュースを吹き出してしまった。

「ぶっ!な、何なんですか?急に」

「ご、ごめん。しっかし、そんな驚くことないじゃんか」

制服に飛び散ったジュースを拭くのを手伝ってくれながら、先輩は口を尖らせた。

「誰に聞いたって驚きますよ。何で私に?」

「この前さ、どんな気持ちでヴァイオリン弾いてるの?って聞いたら、切ない気持ちって言ってたでしょ?」

「そういえば、そんなこと言った気が・・・」

確か、感傷的なワルツを先輩の前で弾いた時だ。

「ずっと考えてるんだけど、わかんないんだよ。俺には縁のない言葉だからさ」

先輩は本当に悩んでるみたいだった。

でも、よりによって何で私に聞くの?

自分で蒔いた種だけどさ・・・

切ないって言ったら、アレしかないじゃん。

「えーと・・・切ないってゆーのは、胸が苦しい、みたいな?」

「胸が苦しい?」

「あ、病気でとかじゃないですよ。特定の人に対してだけ苦しくなるんです」

「特定の人・・・?」

この人はー!

もっとはっきり言わないとわかんないの?

「あーもうっ!恋すると苦しくなるんですっ。相手のこと考えるだけで、切ない気持ちになるんです!」

先輩は、私の剣幕に驚いたようだった。

そして、困ったような焦るような、何とも言えない表情を浮かべた。

躊躇いながら、聞いてくる。

「あ、あのさ・・・君にはその・・・好きな・・人、いるの?」

あんただよ、とも言えず、私は意地悪をした。

「それは・・・・」

「・・・それは?」

「秘密です!」

「えー!?」

「切ない気持ちはね、先輩も誰かに恋したら分かりますよ」

「・・・・してるよ」

聞こえるか聞こえないかの声で、先輩が呟いた。

少し恥ずかしそうに。

「え?」

「俺はね、好きな子から楽しい気持ちをいっぱい貰ってるんだ。聞かせてくれるのが悲しい曲でも、俺は幸せな気持ちになるんだよ」

それってまさか・・・

いやでも、違うかもしれないし。

必死に脳みそをフル回転していると。

「そのジュース、一口ちょうだい!」

私の手から素早くペットボトルを奪った先輩は、そのまま飲んでしまった。

「へへっ。間接チュー?」

「○△×☆―!?」



恋は切ない。

でも楽しい。

この気持ちは、片思いの特権だと思わない?

勿論、両思いのほうが、幸せだけどね!


うわっ恥ずかしー!(笑)
名前は意図的に書かなかったので、皆さん自分だと思って読んで下さい(笑)
火原っちは可愛いなぁ・・・