人形人形人形
お前は俺の人形だ。
セフィロスの声がする。
失敗作失敗作失敗作
失敗作だと思っていたのに・・・
宝条の声がする。
ごめんなさい。許して。
俺は繰り返す。
もう何も考えられない。
頭の中は空っぽだ。
騙してたみんな。
ごめんなさい。
俺は人形で、失敗作なんだ。
「・・・ド」
・・?
どこからか声が聞こえた。
「クラウド!!」
それは、俺じゃない誰かの名前だよ。
俺が演じてきた男の名だ。
「何馬鹿なこと言ってるのよ!」
声はさっきよりも鮮明に聞こえた。
でも姿は見えない。
なぁ、あんた誰だ?
「ちょっと本気で言ってるの?怒るわよ?」
忘れてなんかいない。
この懐かしい声。
でも聞こえるはずのない声。
「本気で忘れちゃったワケ?ふーん。やっぱ薄情な奴だったんだねぇ」
・ ・・エアリス?
「そうだよ。覚えてるんじゃない」
どうして君の声が聞こえるんだ?
「今回はね。特別。クラウドが泣いてたから」
・ ・・泣いてた?
泣いてなんかいないよ。
人形の俺は、涙なんて出ない。
「泣いてるのは、クラウドの心だよ。私には見える」
心なんて・・・俺にはないよ。
「もう!さっきからウジウジしちゃって!あの自信家でクールなクラウドは、どこいっちゃったのよ?」
あれは俺が作り出した偽者だよ。
「偽者なんかじゃないよ」
・ ・・・・
「私はそう思ってる。初めて会った時、花を買ってくれたよね?レノから助けてくれたよね?人形はそんなことしないよ」
・ ・・そうかな。
「それに・・・作りものなら、私、貴方のこと好きにならなかったよ」
俺を・・・好きに?
「そうだよ。ニブいから全然気づかなかったでしょ?」
・ ・・ごめん。
「いいの。私の為に泣いてくれたから」
あの時は・・・とても悲しかった。
いや、悲しいなんて言葉じゃ足りない。
胸から、色んな想いが込み上げてきたんだ。
「ほら。クラウドはクラウドだよ。沢山の感情を持ってる人間だよ」
でも・・・セフィロスが人形だって。
宝条が失敗作だって・・・。
「胸をはるのよ。俺はクラウドだって。ね、私とデートした時のこと覚えてる?」
・ ・・ああ。
いつも急だったな。
「そうそう。クラウドいつも嫌な顔して。でも仕方ないなってつきあってくれるの」
本当は楽しかったんだ。
次に何を言い出すのか全然分からなくて、いつも内心慌ててた。
「そうなの?私はね、クラウドを困らすのが好きだったの」
何だよ。それ。
「・・・私はティファみたいに、貴方の過去は知らない。でも、いいじゃない。私と過ごした思い出は本物でしょう?」
・ ・・・・
「私がクラウドだって言ってるんだから、そーゆーことにしなさい!」
・ ・・強引だな。
「私はもう傍で支えてはあげられないけど、みんながいるでしょ?」
みんな・・・失望してないかな。
「大丈夫。クラウドが信じていれば。手のかかる奴だなって笑ってくれるわよ」
そうだといいな。
「さぁ目を覚まして。いつまでも泣いてたら、バレットにからかわれるわよ?」
それは嫌だな。
俺は立ち上がって、上を見上げた。
真っ暗だったはずの空からは、微かな光が見えた。
「でしょ?もう大丈夫だね。でも忘れないでね」
私はいつでもいるよ。
一番遠いけど、一番近い場所に。
だから大丈夫。
貴方は一人じゃない。
いつでも君は傍にいてくれた。
空っぽの俺を照らしてくれた。
人形だって失敗作だっていい。
君が命を与えてくれた。
君が愛してくれた。
俺はクラウド・ストライフだ。