「ハァ・・アタシ何やってんだろ・・ウップ」
ハイウインドの指定席で、私は込み上げてくる吐き気を必死で堪えてた。
乗り物は全部キライだ。
気持ち悪くなるから。
船に比べればハイウインドはまだマシだけど、それでも揺れることに変わりはない。
地響きのようなエンジンがダメなのだ。
下を向きながら考えていた。
この地獄のような乗り物酔いを我慢してるのは、全部マテリアのため。
マテリア持って、ウータイに帰るため。
でも本当に?
私、マテリアのためだけに生きてるの?
・・・ちがうよ。
クラウドがいるから、ここにいるんだよ。
「ユフィ?」
心なしか頼りない声の主を見上げると、クラウドが青い顔をして立っていた。
昔のことを思い出したら、乗り物酔いまで復活したらしい。
「大丈夫か?」
「クラウドこそ大丈夫なの?」
「俺は・・・ウッ・・大丈夫だ」
大丈夫、と言いながら、クラウドは口を押さえてる。
「全然平気じゃないじゃん・・・」
クラウドの背中をさすりながら、私は呆れた声で言った。
クールでちょっと気取ってるクラウドもかっこよかったけど、優しくて、そして弱いクラウドも好きだ。
みんなに心配させないように、無理してるクラウドも。
「悪いな・・・大分良くなったよ・・・」
「いーって。酔い仲間じゃん」
「ああ・・そうだ」
クラウドはポケットをごそごそ探ると、私に何かを差し出した。
「アメ?」
「レモンキャンディー。少しは気分がまぎれる」
「・・・クラウドのは?」
「一個しかないんだ。ユフィにあげるよ」
そう言うと、クラウドは優しく微笑んだ。
コイツ、確信犯か?
・・・よし。
そっちがその気なら、こっちだって!
「ありがと」
アメの包みを取って、口に入れた。
甘酸っぱい香が広がる。
確かに口の中はさっぱりした。
「じゃ、俺は戻るよ」
「ちょっと待った!」
みんなの所へ戻ろうとしたクラウドを、呼び止めた。
そして振り返った彼と、素早く唇を重ねる。
「気持ち悪いのなんて吹き飛んだでしょ?」
呆然としているクラウドに、私はニヤリと笑った。
ファーストキスは、レモンの味。
って感じ?
