「ふわぁ・・・」

俺はベッドの上で大きく伸びをした。

まだ眠いが、起きないと学校に遅刻する。

あ?あれからどうなったのかって?

別に何もないぜ。

覚悟を決めて、湖に飛び込んだとこで終わったんだ。

画面がいきなり真っ暗になってさ。

どうやら1時間で自動的に終わるらしいな。

「桂―?遅刻するわよー」

母親の声が階下から聞こえてきて、俺は慌ててベッドから飛び降りた。


教室に入ると、マサトが寄ってきた。

「眠そうだな。またネットしてたんだろ?」

「まーな。あ、そうだ。お前、変なオンラインゲーム知らないか?」

マサトはゲームにものすごく詳しい。

今オンラインゲームにハマっていると言ってたから、もしかしたら知ってるかもしれない。

「変なゲーム?何か始めるのか?それならー」

ゲームを薦めようとしたマサトを遮る。

「違う。そうじゃないんだ。いきなりメールがきて、そこにゲームのアドレスが書いてあるやつ」

俺の言葉に、マサトは首を捻った。

「結構やってるけど、そんなのは初めて聞いたな。お前んとこにきたのか?」

「え?あ、ああ違う。そんな噂を聞いたから、お前に聞いてみただけだ」

「そうなのか?でも面白そうだな。何か分かったら教えてやるよ」

「ああ・・・・」

マサトが知らないとなると、かなりマニアックなゲームなのかもしれない。

そうだよ。登場人物と会話ができるゲームなんて聞いたことがない。

しかも相手は俺の名前を知っている・・・・

「こらー!早く席につかんか!」

担任が教室に入ってきて、みんな慌てて自分の席に戻っていく。

俺も座った。

「転校生を紹介する。中に入りなさい」

教室に小柄な女の子が入ってきた。

かなりの美少女だ。

「くるめはるひです。よろしく」

そう言って頭を下げた。

担任が黒板に名前を書いてゆく。

久留米春姫。

めずらしい名前だな。

春姫なんて。

・・・・・姫?

俺の心臓がドキンっと音をたてた気がした。

「・・・壁。真壁!」

担任が呼んでる。

「な、なんですか?」

「お前の隣に座るから、教科書とか見せてやれよ」

「はい・・・」

久留米がすたすたと歩いてきて、俺の隣に座った。

「真壁君、よろしくね」

そう言って、にこっと笑った。

「あ、ああ・・・・」

この子が眠り姫なんて、どうかしてる・・・

そりゃオヒメサマみたいに可愛いけどさ。

あれはゲームの話じゃないか。

おかしな考えを振り払うように、俺は頭を振った。

そして急に思い出した。

俺の隣の席は、空いてたか・・・?

いや、昨日まで確かに誰かがいたはずだ。

でもそれが誰だったのか・・・・

思い出せないんだ。