「なぁ、昨日まで俺の隣は誰かいたよな?」
休み時間に慌ててマサトに聞く。
しかし返ってきた答えはそっけなかった。
「何言ってんだよ。先月転校してったじゃねーか。まだ寝ぼけてんのか?」
「転校・・・?」
「送別会したじゃねーか。騒いでて隣のクラスに怒鳴られただろ」
「そう・・・だったっけか?」
マサトは、付き合いきれないといった風に、肩をすくめた。
「授業中に寝てると、後が大変だぞ」
「そうだな・・・変なこと聞いてごめん」
ここまで言われても、ちっとも思い出せなかった。
まるで、そんなこと最初からなかったかのように。
俺がおかしくなったんだろうか?
「さーて、二日目にいきますか」
そう呟きながら、また昨日のアドレスをクリックした。
パっと画面が変わる。
昨日と同じ湖の前に立っていた。
「剣探せったって、どーやって水の中で・・・」
そこまで言って、俺は苦笑した。
潜るのは俺じゃないじゃないか。
何、息継ぎの心配してんだよ。
馬鹿らしい。
湖は深かった。
俺のキャラはどこまでも沈んでゆく。
回りには、何もない。
魚も、草も。
ただ薄青い画面が広がるだけ。
と、下の方でぼんやりと光っているものがあった。
剣だ!
ゆらゆらと漂っている。
近づいて、手に取った。
随分古いようだ。
鞘に納まっているが、錆びたりしてないのだろうか。
あっけなさに拍子抜けしつつ、水面に向かって泳ぎ始める。
もう少しで水面という時。
変わり映えのない水が、突然ざわめいた。
視界に急にでかいものが映った。
「・・・・・!」
馬鹿でかい鮫が突っ込んでくる!
慌てて身をよじって、鮫をかわした。
「いきなり現れんなよ!」
そのままどっかにいくと思われたが、急に方向転換してまた襲ってきた。
びっしりと生えた歯が迫ってくる。
ここでやられるわけにはいかないと思った時、剣を持っていたことに気づいた。
急いで鞘から抜く。
水の中にずっとあったというのに、剣は磨きぬかれたように鈍い光を放っていた。
しっかり両手で握り、前に突き出した!
ドンという手ごたえ。
「ギシャー!!!」
鳴き声のような音が聞こえて、次に水が赤くにじみ始めた。
剣が鮫の口を貫いたのだ。
「危ねぇ・・・・」
俺がほっとしてため息をついた後画面に再び目線を戻すと。
そこには鮫はもういなかった。
ただ元の静かな青が広がるのみ。
倒した敵はすぐに消えるようになってるのだろうか?
「・・・・そーいやゲームってこんなもんだよな」
拍子抜けして、水面に顔を出した。
二日目終了。
エンディングはまだ遠い。

