長かったゲームも、今日で最後。

城の中には、本当に姫がいるのだろうか?

色々な思いがぐるぐると朝から巡っている。

そんな気持ちを振り払うように、俺は夢中でボールを蹴った。

今は体育の授業中。

グループに分かれてサッカーの試合だ。

こう見えてもスポーツは得意なんだぜ?

どんどん敵をかわしてく。

「いっけぇぇぇぇっ!」

俺が3本目のゴールを決めると同時に、チャイムが鳴った。


「桂。今日絶好調じゃん」

「まーな」

「一週間ボーっとしてた奴とは思えねぇ」

友達が肩を叩いて、通り過ぎていく。

「真壁君」

後ろから声がした。

「久留米か」

「スポーツ得意なのね」

「程々にな」

「謙遜しちゃってー。さっきかっこよかったよ」

「そ、そうか?」

そんなにストレートに言われると、照れてしまう。

「スポーツマンって好きだな」

それって・・・

しかし俺が口を開く前に、久留米が呟いた。

「でも残念。後一歩だったのに」

久留米は下を向いていたので、表情は見えなかった。

俺はなぜか怖くなって、その言葉の意味を聞けなかった。


この一週間、学校帰りはいつも考え事ばかりだ。

エンディングはどうなるんだろう。

早く見たいような、見たくないような。

それよりちゃんとクリアできるのか?

気づくと、見知らぬ道に立っていた。

確かに家に向かっていたはずなのに。

ここどこだ?

建てている途中なのか壊しているのか分からない、足場に囲まれたビルが目に入る。

作業をしている人間の姿はない。

いや。

ガラスのない窓枠から、少女がこちらを見ていた。

「危ない!!」

と、どこからか声がする。

窓にいた少女は、いつの間にか消えていた。

雨かと思った。

しかし、実際は銀色に輝く無数の鉄パイプ。

俺が見たのは、そこまでだ。


「呪いなんてオオウソ。イケメンひっかけるためのテストよ。おしかったんだけどねぇ。弱虫なのはマイナス」

足を組んで座っているのは眠り姫。

いや、久留米だろうか。

「ざんねーん」

言葉とは裏腹に、その声はむしろ楽しそうだ。

「でもま、代わりはいくらでもいるし?」

紅い唇が、笑みの形に歪んだ。

暗闇から誰かの声がする。

「お姫様は残酷だねぇ。これが本当の話。知らなかった?ニセモノの王子様は茨に刺されて死んじゃうんだよ」


忘れてたでしょ?王子は主役になんてなれないのよ

だってタダのオマケなんですもの



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