「じゃあ3グループくらいにわけるか・・・」
「あたしサスケ君と!」
早速いのがサスケの腕を掴む。
サクラも負けじと、反対側の腕を掴んだ。
「私もサスケ君と!」
「お前らな・・・」
「ダメだって言ったってきかねーんだから、適当でいいじゃんか。めんどくせーし」
シカマルが投げやりに口を挟んだ。
「・・・・ヒナタは?」
「へ?」
いきなり話を振られて、ヒナタはきょとんとする。
「いのとサクラは選んだんだから、お前のリクエストも聞いてやる。誰がいい?」
「え!?えっと・・・あの・・・その」
途端にモジモジし始めるヒナタ。
「ちょっとアスマ。この子にそんなこと聞いたら、恥ずかしがるに決まってるでしょ?」
紅がアスマを小突いた。
その時ヒナタの脳内では。
ど、どうしよう・・・
ナルト君と一緒になりたいけど、そんなこと恥ずかしくていえないし・・・
でも一緒になりたいし・・・
でもでも、せっかく聞いてくれたんだから、思い切って言ってみたほうがいいかな・・・?
ここで何も言わなかったら、ちゃん怒るよね・・・
「あ、あの・・・!」
「ん?どうした?」
「わ・・私・・・その・・・ナ・・・」
「な?」
唾を飲み込んだ。
「ナルト君とがいいです・・・!」
意を決してそう言うと。
「俺とー?別にいいけどさ」
「ほ、ほんとに?よ、よかった・・・」
ほっと安堵しているヒナタを見て、アスマはニヤリとした。
「ふーん・・・・。若いっていいねぇ」
「年寄くさいわよ。アスマ」
結局、「サスケ、サクラ、いの」「ナルト、ヒナタ、シカマル」「キバ、シノ、チョウジ」という組み合わせになった。
「・・・何だか不安が残るチームなんだけど」
「どうせ探し物するだけだし、大事にはならねぇだろ。よっしお前ら!鏡見つけたらここに戻って来い。昼飯は昼になったら各自で食え。以上だ」
鬱蒼とした森を歩きながら、ナルトが聞く。
「おいシカマル。お前どこにあると思う?」
「はぁ?何で俺に聞くんだよ」
「頭で考えんのはお前の仕事だろ?俺とヒナタは肉体派だから」
「・・・ヒナタまで一緒にすんなよ。つーか悪いけど、俺は手伝えねーわ」
「何で?」
「こんなかったりー任務やってられっかよ。それにちょっと用事があるんだ」
「ハァ!?何いってんだってばよ!サボるのか!?」
「そーゆーこと。まぁ、今度一楽でラーメン奢ってやるから。後は頼んだぜ」
「お、おい!シカマル!」
ナルトが腕を掴むより先に、シカマルはさっさと消えてしまった。
「ど、どうしよう・・・・?」
「責任感のねーやつ・・・ま、行っちまったもんは仕方ねーか。二人で探そうぜ」
楽観的に物事を考えられるところが、ナルトのいいところだ。
「え!?ふ、二人!?」
「別に探し物くらい二人で大丈夫だろ?」
「そ、そうなんだけどっ・・でも・・あの・・」
「?」
「な、なんでもない。・・・私、頑張るね」
「おう」
夢のような展開に、ヒナタの心臓は壊れそうだった。
全部ちゃんが仕組んでるの!?と思うほど。
ヒナタとナルトが一緒に任務することなど、殆どない。
そもそも違う班が組むことなど、滅多にないのだ。
「死ぬ気でやらなきゃ!」
思わず口に出したヒナタに、ナルトはちょっと気おされた。
「お前そんなキャラだったっけ・・?」
陽はかなり高くなっている。
昼はとっくに過ぎているようだった。
しかし、鏡などどこにもない。
「あー・・・腹減ったってばよ・・・でも俺、弁当持ってきてねーし・・」
「あ、あの!」
「ほえ?」
「わ、私、お弁当作ってきたの!二人分・・・あるから、あの、その・・良かったらでいいんだけど・・・食べ・・・ない?」
「マジで!?さっすがヒナタ!お前のそーゆー気がきくとこ大好きだってばよ!」
「えっ!?」
自分の妄想でなければ、今大好きと言われなかったか?
ナルトが、自分を?
幸福感で溶けそうになりながら、それでもお弁当は出した。
「いやーヒナちゃんも頑張ってますな」
「何でこんなデバガメみたいな真似・・・」
ナルトとヒナタを覗き・・もとい見守りながら、が嬉しそうに言う。
「正直、ここまで頑張るとは思わなかったな。カップル誕生も間近って感じ?」
「うーん・・・ナルトはそーゆーの疎そうだしなぁ」
「やっぱそう思う?じゃあ次はどうしよっかな・・」
「まだやるのかよ!?」
「えー駄目?」
「そんな顔しても駄目」
「ちぇー、ケチ」
あまり残念そうでもない顔で、がぷーっと膨れた。
「周りがどうこう言ってもしょうがないんだよ。好きにさせとけって」
なだめるカカシの言葉を聞きながら、は何かを思い出したようだった。
「ねぇせんせー」
「んー?」
「その鏡、本物?」
カカシのジャケットには失くしたはずの鏡が入っていた。
「まさか。違うやつ」
言いながら、取り出す。
「ふーん・・・」
「何だよ?」
「それってさ・・・プレゼント?」
「は?・・・・何だ。気になる?」
カカシは意地悪い笑みを浮かべる。
「べっつにー!」
「昔のカノジョから貰ったの」
「マジで!?まだ持ってんの!?」
案の定食いついてきたを笑いながら、
「うっそ。嫉妬なんて可愛いとこあるじゃん」
「そんなんじゃないってば!」
恥ずかしさを隠して、カカシから鏡を奪い取ると。
鏡はの手から、するりと抜け落ちた。
「あ、ヤバっ」
慌てて手を伸ばしたが、もう遅い。
手が届くはずもなく、そのまま地に向かって落ちていく鏡。
しかし、不幸中の幸いというべきか、木の途中にあった鳥の巣の中に、鏡は落ちた。
「危なー。割れなくて良かったぁ」
「まったくお前は・・・」
「ゴメンゴメン。今取ってくるから」
が身を乗り出しかけたその時。
視界にナルトとヒナタの姿が飛び込んできた。
辺りに気を配っていなかったため、全く気がつかなかったのだ。
いつのまにか、昼ごはんは終わっていたらしい。
「まずいなー・・・」
今鏡を取りに行ったら、確実に二人から自分の姿が見える。
「後で取りにいけばいいだろ?・・・・ん?」
「あれは・・・!」
草を踏む音。
それも人間ではない。
ウゥゥゥといううなり声も聞こえた。
食べ物の匂いにつられて、集まったのだろう。
「何でこんなとこに狼が・・・?」
一匹や二匹ではない。
下手をすれば、百以上はいそうだった。
「それより二人が危ないよ!」
飛び出しかけたを、カカシが押しとどめた。
「出て行くな!」
「何でよ!?」
「このくらいどうにかできなきゃ、下忍じゃない」
「っ・・・・」
「それにナルトの腕の見せ所だろ?」
「先生・・・」
「ま、ヤバくなったら助けにいくさ」
そう言うカカシの顔は、教える者の顔になっていた。
自分の部下への絶対の自信に溢れている。
「・・・そだね」
あっさりとは体を元に戻す。
「やけに素直だな」
はニヤっと笑う。
「二人を信じてるから」
ナルト達も狼に気づいた。
「ど、どうして・・・?しかもこんなに沢山・・・」
怯えるヒナタを見つめ、ナルトが何かを決意する。
黒い大群のような狼を睨みつけ、叫んだ。
「ヒナタは、俺がぜってー守ってやる!」
「ナルト君・・・」
「影分身の術!!」
何十人にもなったナルトが、狼たちに向かっていく。
私も・・・守られてるだけじゃ駄目だ。
だって、好きな人にかっこ悪いとこは見せられないもの!
「白眼!」
一匹一匹は大したことがなかったが、いかんせん数が多かった。
やっとのことで追い払い、二人で座り込んでハァハァと息をつぐ。
「お前・・・結構やるじゃん・・・」
「そ・・んな・・ほとんどナルト君が・・追っ払ったんだよ」
「いや、数は俺のが多いけど、お前は確実に倒してたってばよ」
「あ、ありがとう・・・」
どちらからともなく、へへっと笑いあう。
穏やかな時間だった。
ばたんと寝転がったナルトが、その穏やかな時をぶち壊す声をあげる。
「っあー!!!」
「え!?ど、どうしたの!?」
「鏡!」
木の根元にキラキラ輝く小さな鏡。
さっきの騒ぎで、巣から落ちてきたのだろう。
駆け寄って拾い上げると、ナルトは満面の笑みで、ヒナタに見せた。
「やったな!ヒナタ!」
「う、うん・・・!すごいね、ナルト君」
「なーに言ってんだってばよ!二人で見つけたんだろ?」
「え?」
「俺一人じゃ、きっと見つけられなかったってばよ。だからサンキュ」
「ナルト君・・・」
「よっしゃ!じゃ、サスケに自慢しに行こうぜー!」
「せ、先生のところにいくんじゃないの・・・?」
「そんなの後だってばよー!」
「ナ、ナルト君―!?」
走り出したナルトを、慌ててヒナタが追いかけていく。
しかし、その顔はとても嬉しそうだった。
