踊り続けましょう?
足が千切れるまで。
「はい。そこまで!」
先生の声で私は現実に引き戻された。
いつもそう。
踊り始めると、何も見えなくなる。
ただ真っ白な世界で、私はだんだん溶けていくの。
もう少しで完全に一つになる、というところで邪魔が入る。
融合する瞬間は、気持ちいいのだろうか、苦しいのだろうか。
さっきから何の話をしてるかって?
バレエよ。
小さい時から習ってて、20歳の今まで踊るのが大好きなの。
プロになりたいとは思わないけど、ずっと続けていたい。
私の名前は畠真弓。
大学に通ってて、将来は保母さんになりたい。
ありふれた夢でしょ?
家も普通、顔も平凡な私の唯一の非日常がバレエなの。
もっとうまくなりたい。
もっと踊っていたい。
「レポートやんなきゃなぁ」
家に帰ってきて、パソコンに向かった。
私の趣味と言えば、バレエとネットくらい。
ふふ、暗いでしょ?
でもオンライン上の友達なら沢山いるよ。
顔も名前も知らない電波で繋がってる友情。
チャットしたり、メールしたり。
確かに存在してる。
ピピっと電子音が鳴って、メールが到着した。
誰かな?
タイトルは・・・カーレンへ?
カーレンって何?
頭を捻りながらメールを開くと、書いてあったのはたったの一文だった。
赤いくつが待ってます
そしてその下にどこかのURL。
これ何なの?
くつってトウシューズのこと?
バレエやってる子の誰かが送ってきたのかな?
?で頭をいっぱいにしながら、URLを開いた。
そこには予想通りトウシューズの写真と、「プレゼントします」の文字。
しかし靴の色は白だった。
真っ白。
赤いくつじゃないの?
気味が悪かったけど、私はいつの間にか送り先を入力していた。
だって靴が私を呼んでいたんだもの。
