出会いは桜とともに
恋なんてめんどくさいだけ。そう思ってた。
今までの経験で疲れてしまった私は、恋する喜びを捨てた。
何もない日常は平和だけれど。どこかつまらない。
それでもいいと思ったのは。私は自分が・・・・恐いから。
高校の入学式。男の子がいるという光景にとまどいを覚える。
中学は女子校だったから。
ここは私立で、小学校からつながってるみたい。回りはみんな知り合いらしく、楽しそうに喋ってる。
・・・・やりにくいな。
やっぱりちょっと遠くても、前の学校に通い続ければよかった。
クラス発表の掲示板を見ながら、私は早くも後悔し始めていた。
「1組か。私1組多いなぁ」
そんなどうでもいいことをつぶやきながら、回りを見渡す。
校舎の右側は森のようになっているのだが、そこに建物の屋根が見えた。
尖った屋根の上についてるのは・・・
「十字架? 教会かな?」
目が悪いのでぼやけてしか見えないが、多分そんな感じ。
時計を見る。「まだ入学式まで時間があるな・・よし!見に行こう!」
新入生の間を抜けて森に向かう。
「広いなーこの学校。前の学校は小さかったから、なんか変な感じ」
案の定辺りには誰もいない。そりゃそうだ。入学式にこんな所へ来るバカは私くらい。
薄暗い木々が突然開けた。まぶしさに目を細める。
目の前にある白い建物は、やはり教会だった。
なぜ学校に教会があるのだろう。キリスト教でもないのに・・・経営者の趣味だろうか?
吸い寄せられるように近づいて、扉に手をかけるが。
カギがかかっていて開かなかった。
「なーんだ。つまんないの。・・・さてもう行こうかな」
私が振り返った瞬間。 前にいた何かとぶつかった。
「わっ!?」バランスを崩してしりもちをついてしまう。
「いたたた・・・・」腰をさすっていると、上から声が振ってきた。
「大丈夫か?・・・・ホラ」
「へ?」
顔を上げると、手を差し伸べる男の子が見えた。綺麗な顔。天使みたい。
彼はあっけにとられて動かない私に「いつまで座ってるんだ?」と言って
私の腕をつかんで立たせた。
「あ・・・ごめんなさい。後ろに人がいると思わなくて」
「別にいい・・・お前1年か?」
「そうですけど・・・先輩ですか?」
「・・・いや。俺も1年」
大人びた顔をしているから、年上かと思った。
「・・・入学式始まる。いいのか?」
「え?わっほんとだ! 早く行かなきゃ!」
慌てる私をよそに、彼は動かない。
「あれ?君は行かないの?遅れるよ?」
彼はなぜか視線をそらすと。「俺はここで入学式・・・・」
「???」
わけのわからない私の耳に、入学式の始まりを告げるアナウンスが聞こえる。
「ヤバイ!あ、またね!」
「・・・・ああ」
彼の正体は疑問だらけだが、入学初日から遅刻するわけにはいかない。
私は森をダッシュしながら、今まで感じたことのない気持ちになっていた。
それが何なのかに気づくのは、もっと後なのだが。
「あ、名前ききそびれちゃった・・・・」
これが二人の出会い。