私たちの沈黙を破るように。 教室のドアが開いた。

スーツを着た男の人。 先生だ。

まだ若い。20代後半だろうか。 なかなかのハンサム。

でも私が苦手だと感じたのは。

切れ長の目にだろうか。

それとも氷のような雰囲気にだろうか。

「静かにしたまえ!早く席につきなさい!とっくにチャイムは鳴っている」

教室が水を打ったように静まり返る。そしてあわてて席につく音。

「今日からこのクラスを担当する、氷室零一だ。君達は氷室学級の生徒として節度を持った行動を心がけるように。何か質問は?」

「はーい!先生恋人はいますかー?」

「たった今節度を持てと言ったはずだ。他には?」

「・・・・・」

「よろしい。・・・ん?そこ。大滝!」

「ハ、ハイ?!」

「スカーフが曲がっている。直しなさい」

「はぁ・・・」

焦る私の横で。

「お前・・・目つけられたな」

珪君が面白そうにつぶやいた。 何で初日からこうなの?


HRが終わって、先生が出て行った後。

「すごい先生に当たっちゃったな・・・。珪君は恐くないの?」

「別に。興味ない」

「興味ないって・・・担任なのに。ハァ。あーゆー先生苦手なんだよねぇ。先生全部苦手だけど」

「・・・何で」

「私いいかげんだから、先生に嫌われるの」

「・・・・」

「フォローしてよ・・・」

今日はこれで学校は終わり。後は帰るだけ。

珪君が席を立つ。

「・・じゃあな」

「え?あ、待って!一人で帰るの?一緒に帰ってもいい?」

私がそう言うと。珪君は不思議そうな顔をした。

「何で?」

「え・・・一緒に帰りたいから」

「・・・」

「ごめん。迷惑だよね・・・」

「別に・・・かまわない。早くしろ」

「本当!?やった!」

「・・お前表情コロコロ変わるな」

「そう? 行こ!」

二人が出て行った後。 奈津実は蓮を探していた。

「もう帰っちゃったのかなぁ? 一緒に帰ろうと思ったのに。そーいえば隣に葉月が座ってたみたいだけど、平気だったのかな・・・こっちきたばっかで隣がアイツなんてついてないねー」

奈津実は葉月があまり好きではない。かっこいいとは思うが、テングになってる気がする。

人ともあまり関わらないので、蓮が葉月と一緒に帰ったなんて夢にも思わなかった。

「明日励ましてやるか!」