「うわー・・・」

全員が(珪君除く)そんな声を発するほど、中もすごかった。

赤い絨毯。豪華なシャンデリア。

「この階段、シンデレラに出てくるやつみたいじゃない?」

「ガラスの靴を落とす所? そう言われてみればそうだね。蓮って結構ロマンチスト?」

「え?そうかな?思ってみたこと言っただけなんだけど」

「・・・俺もそう思った」

「珪君も?やっぱそうだよね。こんな階段めったにないもんなぁ」

「気に入っていただけましたか?」

ヤバイ。この人のこと忘れてた。

「はい。とっても素敵ですね。ここはホテルなんですか?」

「いいえ。一般の方はお泊めしておりません。ここは別荘なんです。限られた方達がたまにお泊りになるだけです」

「じゃあ何で私たちは・・・?」

「旦那様が、くじ引きに提供したと言っておられました。誰もいないのは寂しいですからね」

なっちゃんはくじ引きで当てたのか。ホテルにしては、変だと思った。

カウンターもないし。別荘と言われれば納得がいく。

「さぁ、お部屋にご案内します」

私たちの部屋は一番上の3階だった。

「お好きな部屋をどうぞ」

「あれ?1人1部屋なんですか?」

てっきり、2人ずつなのかと思ってたのに。

「ベットが部屋に1つずつしかないのです。お話をされたければ椅子がありますので大丈夫ですよ」

一人部屋なんて恐縮しちゃうな。

右から、なっちゃん、まどりん、珪君、私の部屋にすることにした。

「もうすぐ夕食ですので、それまでおくつろぎ下さい。食事が出来ましたらお呼びしますので」

「じゃ、夕飯まで部屋にいよっか。荷物出さなきゃだし。はー疲れたー」

なっちゃんが、首を回しながら言った。

「また後でね」

それぞれ自分の部屋に入ってく。

何かが彫刻されたドアを開けると、中もすごかった。

アンティーク調で統一された家具。絨毯はここも赤だった。

ベットは豪華だし。ここの旦那様は超お金持ちに違いない。

「綺麗だけど、何か落ち着かないなぁ」

スポーツバックをベットの上に置いて、荷物を出す。

窓を見ると、外は夕闇だった。バルコニーがついてて、外に出られるようになってる。

小さなドアから外に出ると、夕日を反射した湖が金色に光っていた。

「きれーい・・・・」

「そうだな」

思わずもらしたつぶやきに、いきなり返事が来たのでびっくりする。

横を向くと、隣の部屋のバルコニーに珪君が立っていた。

「びっくりしたぁ。珪君も夕日見てたの?」

「ああ・・・綺麗だな」

「うん。こんな機会めったにないしね」

しばらく無言で湖を見つめていた。

「・・・夜はどうなるんだろうな」

「夜?月が映って綺麗なんじゃない?そーいえば今日満月だよ」

「なぁ。後で・・・」

珪君が何か言いかけた時。

「れーん!ご飯だってー」

なっちゃんがドアの前で叫ぶ声がした。

隣の部屋の方でも

「おい葉月! 飯やで。出てきいや」

まどりんが言う声がした。

「今行く!」

なっちゃんにそう答えて、また珪君の方に向く。

「何言いかけたの?」

「・・・・食事の後に言う」

「そう?じゃ、行こうか。ご飯何かなー?やっぱフランス料理とかかな」

嬉しそうに喋る私の横で、彼はただ湖をじっと見詰めていた。