だって不安なんだもん

秘密って言葉はドキドキするけど

そんなの最初だけだ

ねぇ

私がワガママなの?


「ねー、先生。私たちの関係って何?」

突然、がそんなことを言い出したので、カカシは飲んでいたお茶を盛大にふきだした。

それを見て、が顔をしかめる。

「汚いなー」

「お前が変なこと聞くからだろーが!」

「私と先生は変な関係なの?」

「〜っ!」

カカシはの真意を量りかねて、頭を抱えた。

まるで不倫カップルの会話みたいではないか。

こんな意味のないこと、もうやめましょうよ。

ベッドの上で、けだるく呟く女。

男は無言で、女に唇を重ねる。

そしてまたずるずると・・・

カカシが妄想を繰り広げていると、が顔を覗き込んで言った。

「アタシは、先生の彼女だよね?」

「そうだよ」

「じゃさ、紹介してよ」

「誰を?」

はにっこり笑った。

「私を。上忍の先生達にv」

「ダメだー!!」

カカシの絶叫が、虚しく響き渡った。



あの後がキレて、その話はうやむやになった。

少し可哀相なことをしたと思う。

できれば紹介してやりたい。

が、自分は上司で、あいつは部下なのだ。

部下に手を出したと分かったら、世間の目は冷たいだろう。

もう手は出してしまったが・・・

「おーカカシ。どうしたんだ?そのほっぺたの傷。猫にでも引っかかれたか?」

呑気な口調でアスマが話し掛けてきた。

「まぁ・・・似たようなもんだよ・・・」

引っかいたのはだが。

「さては・・女だな」

「な、何でだよ」

「お、図星か」

「・・・・」

余裕の笑みを浮かべて、髭男は煙草をくゆらせた。

「別れ話がこじれたのか?まぁお前の場合、いつもひっぱたかれてるけどな」

「・・・そうだっけ?」

「安いもんだろ?一発殴られるのを我慢すりゃ、おさらばできるんだからさ」

「嫌な言い方するなよ。それに別れ話を切り出すのは向こうだぜ?」

「お前がそう仕向けてるからだろ?一回でも相手を引きとめたことがあったか?」

「・・・・ない」

「お前は誰とでも上手くいくだろうけど、誰にも愛情は与えない。女は気づくのさ。全ての人間が、お前には同じようにしか見えていないことを」

「・・・・・」

そうなのだろうか?

だから俺は、誰とも長続きしなかったのか?

どんなに我侭を聞いてデートを重ねても、貴方は冷たいと言われたのは、そのせいだったのか?

アスマが俺の肩を叩く。

「んな真剣に考えるなよ。それに、今回は少しいい傾向だな」

「何が?」

「落ち込んでたから。今まで別れてもケロっとしてたじゃん」

「まだ別れてない!」

思わずそう言ってしまってから、しまったと思った。

「何だよ。じゃ、喧嘩でもしたのか?今回の女は脈アリだな。会わせてくれよ」

また思い出した。

会わせられないから悩んでいるというのに。

ため息をついた俺を見て、アスマは肩をすくめる。

「あー、そーだ。明日からお前のとこに一人増えるぞ」

「は?」

「中忍だ。よろしくな。増えるったってお前のチーム一人しかいないんだし、楽なもんだろ?」

「・・・それはもう決定なのか?」

「ああ。がんばれや」

何もこのややこしい時に来なくても。

俺は、まだ見ぬその中忍を恨んだ。

しかし、会ってからもっと恨むことになる。



新人との待ち合わせ場所。

は明らかに不機嫌だった。

しかし、俺との一件でのことではなく、二人チームを邪魔されるのが気に食わないようだ。

「つーかさ、何でうちにくるわけ?中忍なら一人立ちすりゃいーじゃん!」

「お前、人のこと言えるのかよ・・・」

にキっと睨みつけられ、俺はそれ以上言うのはやめた。

「先生と堂々と二人でいれるの、任務中だけなのに・・・」

・・・」

思いがけず気弱な声を出したに手を伸ばす前に、問題の中忍は現れた。

「遅れてすいません。少し用事があったもので」

「ちょっとアンタ!普通新人は一番先に来るもんでしょ?遅刻なんていい度胸じゃない」

「真っ先に喧嘩売るなよ・・・」

既に臨戦態勢に入っているをなだめながら、新人を見やった。

年のころはと同じくらいか、少し上だろうか。

背は俺より少し低いくらい。

漆黒の髪に、闇色の瞳。

長い髪を束ねもせずに、風になびかせていた。

かなりの美形だが、その美貌は氷の輝きに似ていた。

喧嘩を売られたはずの彼は、しかし全く動じず、頭をぺこりと下げる。

「初めまして。結城クガネと申します。以後お見知りおきを。さん」

「へ?アタシ?」

が戸惑った目で、俺を見上げる。

クガネはから視線を逸らさない。

その目は先ほどの冷たいものではなく、むしろうっとりするような目だった。

こいつまさか・・・

「私は君がいたから、この班に来たんですよ」

・・・いい度胸じゃねーか。

完全に無視された俺は、こいつを潰すことを誓ったのだった。