京の寒さは厳しい。
一段と冷え込んでいると思っていたら、案の定白いものがちらちらと見える。
「うー・・・寒い」
両腕で体を抱くようにしながら、あかねは上着を羽織って庭へ出た。
ただ寒いのは嫌だけれども、雪が降っているとなれば話は別だ。
「京で雪を見るのは初めてだなぁ」
言いながら、空を見上げる。
どれくらいそうしていたのだろう。
ふいに後ろから声がかかった。
「これほど寒いというのに、神子殿は元気だねぇ。やっぱり若さかな?」
少し目を細めながら、友雅が微笑んでいる。
「ねぇ友雅さん。雪ですよ!」
「知っているよ。こちらに向かう途中から降りだしていたからね」
あかねが伸ばした手のひらの上で、舞い落ちた雪が溶けてゆく。
「そんな薄着で雪に触れていたら、風邪をひいてしまうよ」
言いながら、友雅は庭に降り立って、あかねの手のひらに自身の手を重ねた。
「ほら、こんなに冷たくなって」
「ねぇ友雅さん」
「何だい?」
友雅はあかねの後ろに立っているので、彼女の表情は見えない。
「この雪みたいに、一つになって溶けてしまえればいいのに・・・」
あかねの口から紡がれた言葉に、友雅の瞳が少し見開かれる。
「・・おやおや。今日は大胆だね」
「ふふっそうですか?きっと雪のせいですよ」
「ならば私の体温で、君という雪を溶かしてしまおうかな?」
本気とも冗談ともつかないように言って、友雅はあかねをふわりと包み込むように抱きしめた。
シンと凍る庭先で
聞こえるのは、互いが打つ鼓動の音だけ
貴方への恋しさで、この身溶けてしまいそう
